ベッドの中で閃いた

朝=クランベリーとナッツが入ったパン、ソーセージとスクランブルエッグ、トマト野菜スープ/夜=高円寺「フジ」のチキンソテー定食

布団に入ると10秒後には寝てしまえるお得な体質だけど、年に数回は途中で目が覚めて2、3時間寝付けないことがある。珍しくそれが連日続いた。そしてそういう時に、なぜかその後を決定するようなアイディアが浮かんでくる。何か始める時のアイディアは、大概ベッドの中で浮かんでくる。

今回の眠れない夜に思い浮かんだのは「新しい写真集を作ろう」。2019年に冬青社から出す予定で打ち合わせを重ねていたが、『じゃない写真』(梓出版)を書いていた途中だったので、2020年に出版しようと思っていた。ところがコロナ禍になってしまって、なんとなくその話は立ち消えになり、僕も出すタイミングを失ってしまった。一度機会を失なうと、もう一度同じことをやるのは意外と難しい。その間に考え方や感じ方はどんどん変わっていくから。

幸いにもコロナ中も『da.da』(松本広域連合)や『撮る力見る力』(ホビージャパン)を出すことができて、写真集のことはすっかり忘れてしまっていた。そして去年『da.gasita』を10年ぶりに再販したこともあって気持ち的には満足していた。

ところが新しい本のアイディアが寝ながら閃いた。それはどんどん具体化していって、ついにはタイトルまで決まってしまった。タイトルが決まれば写真集はできたも同然。さっそく、朝起き抜けにテキストを書いてみたら、もう完成形が見えた。あとは今年撮った写真に、これから撮り足して行って、それをデザインし、パッケージしてもらうだけ。来年に向けてやることが、ベッドの中決まってしまった。

<2021年11月15日の日記から>

2012年に出した僕の写真集に『da.gasita』というのがある。「だがした」と読むのだが、これは米沢の方言「んだがした」からきている。米沢に帰ると、もっとも耳にする言葉かもしれない。いいことも悪いことも「ああ、んだがした」と言って何かを断ずることなく全て受け流してしまう魔法の言葉だ。態度を明らかにせず、保留の状態を作るのは米沢の人の性格になっている気がする(笑)。僕がその言葉の凄さに気がついたのは、母の入院で病院に泊まり込んだ時だった。同室には他にもおじいさんがいて、夜になると何かとナースコールをする。その度に看護師さんはやってくるわけだが、ただ眠れないからという理由なので本来は対処のしようがない。それでも看護師さんはおじいさんの話に頷いて最後に「んだがした」という。それを何度か繰り返したあと、おじいさんは何か安心したように眠ってしまった。その語尾の柔らかい口調を何度も聞いた僕は、方言の凄さを感じてしまったのだ。何も解決していないのに、物事が丸く収まる力が「んだがした」にはあった。いま作っている松本市の写真集のタイトルにも方言を使おうと、担当者にいろいろあげてもらった。その中で松本市の人にはわかるが、他県の人には他の意味にも取れる言葉が見つかった。タイトルが決まったことで全体のイメージがにわかに立ち上がってきた。言葉は曖昧だけど役に立つ。

 

気になる

朝=きのこの玄米パスタ/夜=キャベツと三つ葉の温サラダ、カレー

11月になっても夏日だと思っていたら急に冬になった。ということで石油ストーブ投入。寒いのは嫌いだけど、石油ストーブの生活は好き。昔は夏が好きだったけど、最近はむしろ冬の方がいい。これは仕事のほとんどが家でできるからだな。

2B Channelでお世話になっている石井さんが、パリフォトに行っていて、その様子を動画で送ってくれた。「djiオズモポケット3」という小型軽量のVlog機で撮ったものだが、おそろしく画質がいい。ジンバル内蔵で手ぶれは全くなく、音声も極めていい。すごいものが出たなあと感心してしまう。

石井さんに、出発前にちょっと触らせてもらったのだが操作性も良い。しかも価格が7万円くらいと、このカメラインフレ時代に激安とも言えるほど。知り合いも何人か買ったみたいだ。

2019年に2B Channelを始めたとき、手伝ってもらっていたレタッチャーの塚本さんが、その当時出たばかりのオズモポケットの1型を持っていて、収録に使わせてもらったのだが、感想は「面白いね」というくらい。結局オズモポケットは購入することもなく、似たようなアクションカメラのGoPro9を手に入れた。しかしほとんど出番なし。本体が小さすぎて、撮っている感じがしない。

ジンバル用にソニーのVlog機を3台も買ったけど、思った感じでは撮れない。そこらへんのモヤモヤを一掃してしまうようなものが今回のオズモポケット3。これでdjiが儲かってグループのハッセルブラッド支援になれば、それはそれでいいんだけどね。石井さんの動画をみていたら、また海外のフェアに行きたくなってきた。アルルかパリフォトか、来年はどっちかは行こう。どうせなら観客じゃなくて、またプレーヤーで参加したいな。

〈2021年11月13日の日記から〉

松本の写真集用のダミーブック作り。まずはめぼしいものをプリントして床に並べる。72ページあるのだが、判型がA4を半分にしたA5なので基本見開きで32枚使う。そうするとページを開いたときにA4サイズの写真になって見やすい。観光目的だけど、観光写真っぽいものは1枚もない。構成は小細工なし、写真がどーん、どーんと続く。A4にプリントしたものを半分に折って、重ねてみてパラパラしてみる。「ああ、俺って天才」。夕方からYoutubeの配信で「キヤノン新世紀」のグランプリ発表があった。7名の優秀賞受賞者が最後のプレゼンを東京都写真美術館1階ホールで公開で行う。それを昨年から配信でも見れるようになったのだ。僕はこの審査を毎年見ているけど、予想が当たったことがない(笑)。今回ライブで見ていて、プレゼンも作品もともに光岡さんに決まりだと思っていた。もしかしたら千賀さんの逆転あるかとも思っていたら、なんと賀来庭辰さんだった。作品は湖をモノクロの動画と静止画でまとめたもの。会場で見てとても好感のもてる、僕が好きなタイプの写真だったが、グランプリを取るとは全く予想していなかった。最後の選評においても「なぜこの作品だったのか」ということについてほとんど言及されていなかったように思う。これで30年の歴史を閉じることになるキヤノン新世紀。もうメーカー主導イベントの時代ではなくなったということだ。

ソニーが新型

昼=「おお田」の和定食/夜=豚ピーマン鍋

 

ソニーが新型のカメラα9Ⅲを発表した。とうとうゴローバルシャッターを搭載してきた。キヤノンが最初かと思っやらソニーだったねえ。グローバルシャッターとは物理幕を使わないセンサーのデータを電子的に読み出すもので、従来の電子シャッターは順番に素子を読み出すからどうしても最初と最後の素子では時間的なズレが生じて歪んでしまったけど、今回のα9Ⅲは全画素同時読み込みだから歪みというものが存在しないことになる。とにかく夢のシャッターなのだ。最高速が8万分の1秒で、ストロボも全速同調する。AFもAI制御だし、シャッターを押す前から記録開始しているから瞬間を逃すことはない。

 

このカメラ持って40年前の新聞社時代に戻れたらなあ。あの頃は、マニュアルで望遠レンズのピントを合わせたんだよ。ピントが合っているだけで誉められたんだから。40年の技術革新はすごいね。

日大芸術学部の学祭「日藝祭」に行ってきたけど、写真の上手い下手という概念はなくなっていた。みんなプロ並みの仕上がりになっている。腕の差よりもカメラの差の方が仕上がりに大きく影響していそうだ。学校は何を教えていいのか悩むだろうなあ。生徒は何を覚えればいいのか困るだろう。写真学科はカメラマン養成の場所ではないのは確か。もしかしてプレゼンテーション養成学科になるのかもしれない。

X2Dはいいやつだ

朝=玄米パスタ/夜=イカ炊き込みご飯、手羽元の黒酢煮、味噌汁、漬物

日記自体を書くのは1ヶ月ぶり。10月はルデコの2B&Hグループ展が終わった後、すぐに1週間、熊本へ。天草に3泊してから、山都町の山奥の農家に泊まり、高千穂にも連れて行ってもらい、最終的に鹿児島市に1泊して帰宅。それぞれの場所で友人にお世話になってきた。

持っていくカメラはローライフレックスにするか、買ったばかりのハッセルブラッドX2Dにするか悩んで、結局ハッセルにした。最近はなかなかフィルムカメラに手が伸びない。フィルムはストックがあるんだけどね。体はひとつだから、両方持って行くことはしない。「旅にカメラとレンズはひとつだけ」が僕の昔からの信条。

今回はX2DにXCD65mmF2.8をつけた。このレンズは真ん中に全振りしている設計のようで、周辺は崩れるが、中心の解像度はびっくりするくらいだ。ソニーのツアイスから出ている55mmF1.8と同じような写りになる。

両方とも、日本のメーカーでは絶対作らない、偏った設計になっている。真ん中を重視するあまり、過剰補正になっているのか周辺はかなり崩れている。そんなレンズはダメかというと、そんなこともなくて、ポートレートには最適だったりする。あ、でも周辺のボケを気にする人には向かないか。

X2Dを使い始めて「一億画素の意味ってなんだろう」ってずっと考えている。でも答えなんて出るわけない。選んだカメラがたまたま一億だっただけ。なんだか交際相手を選ぶときに言ってそうなセリフだな。X2Dはいいやつだ。ずっと付き合っていける。

<2021年11月2日の日記から>

朝9時過ぎから学生さん3人がルデコグループ展の相談にやってきた。3時間ほど雑談。20歳の話を直に聞けるのは貴重。あっという間に時間が経って、あやうく次の打ち合わせに遅れそうになった。まだ詳しくは話せないが、来年2月を目処に出版する写真集の編集のお手伝いをしている。これも「写真的解決」のひとつだな。束見本と呼ばれている印刷前の白いページの本に写真を貼りつけて、打ち合わせ中にダミーブックを作っていく。するとかなりいい感じのものができた。いつも思うのだけど、このダミーブックの状態が一番写真集っぽい。「俺って天才」と思う瞬間だ(笑)

<2003年11月2日の日記から>

鼻水が出る、くしゃみも。風邪かな。土曜日はジェームズ・ラブロック氏のプリント。1枚目のトーンがなかなか出ず、10枚同じものを焼いた。自分でもなにがなんだかわからなくなる。そういう時は暗室から「2B」にプリントを持っていって床に並べてみる。濃いグレーのトーンだけで構成されているからほんのちょっとの差で印象が変わる。最後に撮った夫人とのポートレートは今年一番の出来だ。いいものが撮れた。2人の関係性が出せたと思う。その後ロケハンのため代官山へ。。ジェームズ・ラブロック氏が超大物なら、来週撮影する女優はプチ大物。どのくらいかといえば「身体にワインが流れている」くらい大物。予定してあった某有名レストランカフェがほぼ使い物にならないので、近くの西郷山公園にいってみる。そこもたいしたことはなかったが、なんとかなりそうだ。それにしてもどんよりとした空だった。オープンテラスのお店はほぼ満員。お茶も飲まずに帰った。代官山近くの旧山手通りには結婚式の客があふれていた。街道沿いの多くのレストランで結婚式をやっているのだ。黒い礼服が違和感を誘う。日曜日はワークショップ。新宿の中央公園でポートレート実習。いい天気で気持ちよかった。ほかにもモデル撮影の集団が大勢いた。10人以上で女の娘を囲む図は結構怖い。対して弱小ワークショップ集団の我々は3人一組となってモデル、カメラマン、アシスタントを交代でこなす。モデル役をやると、撮られる気持ちがちょっとは分かるのだ。中藤毅彦写真展「DeepHabana」をコニカミノルタギャラリーに見に行く。写真集を購入。中藤作品を見た後で隣のブースの写真展を見たら、普通のモノクロプリントが物足りなく見えた。それほどに中藤写真の粒子は際立っている。明日は青山ブックセンターでの「文学フリマ」に間借り出店。

8期オンライン「美術史講座」募集開始

第8期オンラインzoom「美術史講座」(全13回/有料)のご案内

講座は2023年11月12日(日)から2024年2月23日まで。zoomによるオンラインで、13回の連続講座です(単体の受講はできません)。毎週日曜日の午後8時からのライブ配信で、見逃した方のために、その週の金曜日午後8時にもう一度同じ講座を再度ライブ配信します。さらに、どちらも見逃した方、もう一度聞きたい方のために、各回の配信動画も受講者限定でその都度アップしていきます。

 <受講料> 全13回 28,000円(税込/追加料金なし)

受講料振り込みを確認した上で、視聴アドレス等をお送りします。

<支払い方法>

@クレジットカード払い 「BASE」から

https://2bh.base.shop/items/66164629

 <時間> 本配信=日曜/再配信=金曜ともに20時~22

★受講者限定で講座に使う資料と配信講座の動画のダウンロード可能。

★各回の講座では、zoomのチャット機能を使って質疑応答を行います。

本講義では、「歴史は苦手です」という方や、「美術史は初めてです」という方に是非、ご参加いただきたいと思っています。西洋史から美術の流れを知っていく講座ですが、ひとりの作家や作品を詳しく解説するのではなく、その作家や作品が生まれた時代、社会的な背景を、その時々の事件・情勢を交えてお話します。そのため経済、宗教、哲学、思想を横断するように解説していきます。美術の歴史はそのまま世界史と繋がり、現代のアートを理解する上で非常に重要な知識となります。本講座を修了後は、さらに詳しく解説する「写真史講座」(別途/有料)へと繋げます。

<日程と主な内容(2023年11月12日〜2024年2月23日)>

 

■1回 11月12日(日)/<再>11月17日(金) 

「ルネッサンスってなんだ?」   「ルネッサンス」は、日本語に訳すと「再生」。では、何からの再生だったのか? そこには商業の発展とキリスト教の支配の歴史の関係が見えてきます。#ダヴィンチ #ボッティチェッリ #メディチ家 #ローマ教皇 等々

 

■2回 11月19日(日)/<再>11月24日(金)

「荒ぶるバロック」  調和が優先されたルネサンス絵画から、動きのあるバロック絵画へ。突如花開き、あっという間に散ったオランダ絵画たち。宗教改革の歴史を知ることは、美術を見る上でとても重要ポイントになります。#カラバッジョ #ルーベンス #レンブラント #フェルメール 等々

■3回 11月26日(日)/<再>12月1日(金)

「フランス革命が変えた世界観——近代のはじまり」  現代美術を考える上で、実はもっとも大事なのは、近代の理解。近代と現代とは、いったい何が違うのか! フランス革命で何が変わったのか。#ダヴィット #アングル #ドラクロア #クールベ #ミレー #コロー 等々 

 

■4回目 12月3日(日)/<再>12月8日(金)

「印象派の誕生——写真の発明がもたらしたもの」  1800年になると急速に科学が発達し、産業革命による経済の格差や写真の発明が起こりました。ブルジョワが誕生し、絵画を需要する幅が増えていった時代です。#マネ #モネ #ルノワール #超重要画家セザンヌ #ゴッホ #ゴーギャン 等々

 

■5回目 12月10日(日)/<再>12月15日(金)

「二度の世界大戦がすべてを変えた」  第一次世界対戦はヨーロッパの人々に大きなダメージを与えました。信じていたものが崩れ去り、世の中に虚無感が広がります。ダダイズムとシュールレアリズムがもたらしたものとは。現代美術はここから生まれました。 #デュシャン #ピカソ #ロシアンアバンギャルド #バウハウス 等々

 

■6回目 12月17日(日)/<再>12月22日(金) 

「アメリカファーストの時代へ」  1950年代、経済の中心はニューヨークに移ります。そしてアートもアメリカファーストの時代に。それはなぜか。絵画は対象物を描かない「抽象表現」へと変容していきます。#キスリング #ミュシャ #クリムト #ポロック #ロスコー #CIA 等々

 

年末年始で休講

 

■7回目 2024年1月7日(日)/<再>1月12日(金)

「コンセプチュアルアートってなんだ?」  時代は美しいものを求める「美術」から「概念」自体を問うアートへと変化していきます。そこには、大量消費社会や日本の「禅」も大きくかかわってきます。#ジャスパー・ジョーンズ #ウォーホール #リキテンシュタイン #モンドリアン #バスキア #キース・ヘリング 等々

 

■8回目 1月14日(日)/<再>1月19日(金)

「ついに何がなんだかわからなくなる現代のアートへ」  社会は関係性でできています。それを現すのが現代アート。社会批評や貢献すらもアートの範疇に。経済界の人々はなぜ現代アートを好むのでしょうか? #マウリツオ・カテラン #バンクシー #KAWS(カウズ)#ジェフ・クーンズ#奈良美智 #塩田千春 等々

 

■9回目 1月21日(日)/<再>1月26日(金)

「日本アートの歴史」  日本の美術の歴史をいっきに解説します。中国の影響から日本独自の絵画へ。そして西洋化へ。すべては村上隆へと繋がっていました。#狩野派 #浮世絵 #藤田嗣治 #岡本太郎 #オノヨーコ #草間弥生 等々

 

■10回目 1月28日(日)/<再>2月2日(金) 

「思想と哲学」   難しいと思っている人が多いけれど、かなり楽しい思想と哲学の世界。人間とは何か、社会はどのようなものか、ギリシャ時代から、人間は考えて続けています。#プラトン #デカルト #ニーチェ #フロイト #ユング #サルトル 等々

 

■11回目 2月4日(日)/<再>2月9日(金)

「現代思想」  ここがとっても大事! 実存主義から構造主義へ。そして現在の主流とは? 現代アートに大きく影響してくる「現代思想」をできるだけわかりやすく解説。   #ソシュール #フーコー #バルト #レビィ=ストロース #ジャック・デリダ 等々

 

■12回目 2月11日(日)/<再>2月16日(金)

「宗教」  日本人は宗教をあまり知らないと言われていますが、実はアートととても密接に繋がっています。世界三大宗教から日本の宗教までを解説。#ユダヤ教 #キリスト教 #イスラム教 #仏教 #密教 #神道 等々

 

■13回目 2月18日(日)/<再>2月23日(金) 

「音楽・建築、映像の歴史」  音楽も建築も映像も、美術と同じく歴史と密接に関わっています。古代の建築から現代のアニメーションまで、その流れを一気に解説します。

 

来週10日からルデコです

朝=おろしうどん/昼=のり弁/夜=居酒屋で打ち上げ

急に季節が変わったみたいで、朝晩は寒いくらい。大学の講座も7日の土曜日に無事に終了してひと段落。次は10日から渋谷のギャラリー・ルデコで僕が主宰する「2B&H」のグループ展が始まる。今年も4フロアを使っての展示だ。毎年このG展が終わると、なんとなく年末感が出てくる。ぜひ見に来てください。

「2B&H」グループ展  

会期=10日(火)から15日(日)まで。

時間=11時〜17時(最終日は17時まで)。

昨日から京橋駅を中心に「T3フォトフェスティバル」が始まっている。グループ展を開くだけでもなかなか大変なのに、16名の写真家の展示を各所で行うなんて信じられない。さらに今年のT3の招待作家がすごい。よく集めて来たものだと驚いてしまった。レセプションにお招きいただいたので、先週行ってきたのだけど、大盛り上がりだった。毎年見ているけど、今年が最高だと思う。こういうのって段々トーンダウンしていくことが多いけど、T3は毎年前年を更新し続けているのがとにかくすごい。僕のルデコのグループ展は、毎年何も変わらず。でもいつものお店に行くような感じだから、安心感はあるな(笑)。

さて、これから名古屋のギャラリー「FLOW」の中澤さんと北桂樹さんと来年の展示の打ち合わせ。最近、名古屋に縁が多い。関西での個展は初めてなのでとても楽しみだ。打ち合わせだけでは勿体無いので、あわよくば「2BChannel」の収録もしてしまおうと思っている。何にでもネタにするのがYoutuber(笑)。

<2021年10月8日の日記から>

京都グラフィを見るにはどうしても3日かかる。でもせっかく京都に来ているから観光もしたい。なので朝6時に清水寺に向かう。ここは早朝から開門していると宿の人が教えてくれた。観光客がほとんどいないので清々しい。3日目の目玉は二条城での展示だった。「生花と竹のオブジェがいい」と聞いていて「えー、写真じゃないのか」と思っていたのだが、素晴らしかった。これだけ見に行ってもいいと思う。竹でオブジェを作ったアーティストのインタビュー動画が流れていて「制作で使った竹は90%再利用する。アートだからといって環境を壊すような行為はしたくない」と言っていて、銀塩写真をやる身としてはうなだれてしまった。二条城の展示がいちばんかと思っていたら、KG+枠「石橋英之 Latent」の登り窯跡地での展示がすごすぎて、、、日帰りならこのふたつを見るのがおすすめだ。自宅に帰り着いて、猫番してくれていた娘がもう一晩泊まるというので、お土産の鯖寿司を家族で食べてほっと一息していたら、家が突然揺れて携帯がキュンキュン鳴り始めた。テレビをつけたら、電車も止まっているようで、タイミングよく帰ってこられて本当によかった。

週末は先生

朝=おにぎり、豆腐のスープ/夜=板わさ、きのこ天ぷら、鍋焼き蕎麦

9月の週末は、社会人向けの大学院大学 で16コマ分の講義をしている。僕の専門は写真だけど、それだけではなくて、現代アートビジネスの授業になる。

ここ数年間、単発でやっていた大学での講座が評判良くて、ありがたいことに半期の講座に昇格になった。MBAを取りにきているような方々に向けに授業をすることになるので、始まる前は「僕の講義内容なんて受講者はみんな知ってるんじゃないのかな?」と思っていたのだけど、いざ始まってみたら全然そうでもなかった。午前の講義をオンラインの方で授業を聞いていた方数名が、対面で受講したいとのことで、午後の講義にわざわざ教室までやって来てくれたり、終わったあとは多くの生徒さんから感謝された。こんなの今まで経験がない。授業中の反応もいいし、質問も多岐に渡るし、まさに講師冥利に尽きる。

そして僕の役得として、ゲスト回を設けていいということだったので、大学の担当教授にお願いして、2回目には日本の現代アートコレクターの第一人者の方に来ていただくことができた。90年代から海のものとも山のものともつかない日本の現代アートを収集し、今ではそのコレクション展が世界規模で開かれている。その話が面白くないわけがない。講義はあと2回、それぞれお呼びしているゲストもすごい方々。まさかそんな人たちと一緒に授業ができるとは。講義をするのがこんなに楽しいなんて!

<2021年9月26日の日記から>

「マイク沼再び」のことをFacebookに上げたら皆大騒ぎ。「やれやれ、買い替えろ!」と言う声が聞こえてきそうだ。一旦はその気になったが、冷静に考えればZOOMでの美術史講座配信は特に問題はないので、このままSUREのマイクでいい。2BChannnelラジオは、しばらくやめにする。今週アップした録画だけどラジオっぽい編集動画は再生回数も多いし、視聴維持率も高いから続けても良さそうだ。「プレミアム公開」にすればチャットが使えて、僕もチャットで質問に答えることができるのでライブの代わりになる。編集動画の場合はパソコンを手元に置く必要がないからファン問題はクリアできる。次にマイク問題だが、手元にある「ZOOM H5」というマイク内蔵のレコーダーを使えば音はかなりクリアに録れる。これを「シグマfp」で撮影した映像と編集で同期させる。そんなに手間はかからないはず。

まずはこれで1本作ってみようと思う。カメラはやっぱりパナソニックの「S5」よりもシグマの「fp」の方がしっくりする。ティールアンドオレンジの設定にすると顔色が良くなる。このやり方が極めてシンプルで効果的のような気がする。

水を撮る

朝=トマトスープ、チーズとウィンナーのマフィン焼き/夜=なかよしの餃子

10月10日(火)から、渋谷のルデコで年に一度、僕主宰のグループ展があって、最近はそっちの方で忙しくなってきた。地下、4階、5階、6階の4フロアを使って展示で、毎年のイベントとして20年間続けている。今回は地下が「モノクロ縛り枠」で6階が「フォヴィオン枠」。このフォヴィオン枠は、出展者がシグマのフォヴィオンセンサーを使った写真を展示する。使いづらいカメラで写真を撮る意味は何かというと「もしかしたらすごいのが撮れちゃうかも」という宝くじみたいなカメラだから、毎年すごく面白い作品が揃うこと。

展示ではいつも、自由作品の他に「共通課題」を設けているのだけど、今年は「水」になった。なんとなくイメージは湧くのだが、実際にどういうシチュエーションで撮るかというと難しい。大きなバケツか、バットに水を入れて取ろうかと思ったが、部屋はすでに配信スタジオ。足の踏み場もない。水は平面でなおかつ不定形だから撮りづらい。であれば固めてしまえばいいと考えた。氷の塊なら立体的だし光の反射がフォヴィオン向きだろう。でかいが欲しかったが、氷柱はそうそうコンビニでは売っていなかった。業務用スーパーに行けばあるのかなと思っていたが、妻がAmazonで検索したらちゃんと売っていた。クール宅急便で運んでくれるのだ。すぐに30センチ角はある中ぶりの氷柱を3本注文してみた。まさか氷がネットで買えるとは。小売店がなくなるわけだ。

さて、今回の氷を撮るアイディアはバッチリ決まった。dpメリルで撮ったものをプリントすると、「俺って天才!」が久しぶりに発動した。これはちょっと自慢したいので、来月ルデコでお待ちしています。ぜひ見にきてください。

<2021年9月21日の日記から>

昼間は、高円寺でご飯を食べて、そのあとプラプラ写真を撮りながら帰宅。夕方からは、東中野のポレポレへ、知り合いの映像作品を見に行った。いろいろ書こうと思ってたけど、夜にちょっといいワインを飲んだら全部忘れてしまった(笑)。そんな日。 

<2015年9月21日の日記から>

ジムに通い始めて早6か月、体重は66キロ台から63キロ台まで落ちた。これは26歳の時と同じだが、筋肉量は大きく違う。54歳ともなると体力というか基礎的なものの衰えを感じざるをえない。近頃同世代の友人に会うと血圧の話になる。ついにそういうお年頃になったかと思うとシミジミする。ジムに血圧計が置いてあるのでたまに測ってみるが、110-65くらいなので、これは問題なさそうだ。そして血圧とともに語られるのが「五十肩」。誰でも一度は経験すると脅かされていたが自分には関係ないと思っていた。しかし、ついにその日はやってきた。2ヶ月前くらいから右肩に違和感を感じていた。トレーニング中ある動作の時にピリッとくることがある。気のせいにしようと思っていたが、右肩に決定的な痛みが走った。それは引き伸ばし機のピントを合わせているときに起こった。暗室経験のあるかたなら分かると思うが、ピントルーペを覗いた姿勢で右手を引き伸ばし機上部のピントダイアルにのばすと窮屈な姿勢になる。上体を折って下に向け、手を上にまっすぐ伸ばす感じだ。大四つ切りサイズにプリントしようとすると、引き伸ばし機のヘッドが上がり、ますます窮屈になる。ピントルーペに顔を寄せピントダイアルに手を伸ばした瞬間、ビリッときた。あうう、と顔が歪む。ついにきた、五十肩だ。まさにその時、ラジオではピエール瀧が五十肩について語っていた。「それは焼けた火箸を突っ込まれた痛さ」。なんて恐ろしい表現なんだよ。もしかしてこれからそうなるわけ? 妻に五十肩のことを話すと「君にもようやくきたようだね。大丈夫辛いのは一年。でも右肩が治ったら必ず左肩もくるからねえイヒヒヒヒ。不思議と同時にはこないみたいよ」と両肩経験済みの彼女はにこやかに僕の五十肩デビューを祝ってくれた。適度な運動は必要ということみたいなので、シュクシュクとトレーニングを続けることになる。幸い僕の使っている引き伸ばし機には手元でピント調整できるワイヤーノブがあるから大きく手を伸ばさずにプリントできる。来年1月の展示があるからこれから暗室の日々なのだ。

X2Dは“新ロマン主義”

朝=肉うどん/昼=「七つ森」のパスタ/夜=生姜焼き、煮物、白米、スープ

ご近所のhanaさんが富士フィルムの1億画素機GFX100Sを持っているので、僕のX2Dと一緒に撮影してみることにした。Youtubeの定番「比べてみた」動画を作るためだ。で、いざやってみると、検証動画はかなり面倒くさい。設定もアングルも焦点距離も全て同じにしなくてはならない。光が変わったら比較にならないので、スタジオじゃないと無理がある。それでも個人的に気になるところではあるので、モデルさんをお願いして撮ってみた。

X2DとGFXのセンサーは、ソニー製の同じものを使っている。だから解像度は同じく1億画素になる。新しく発売されたGFX2は1億200万画素とあるけど、おそらくセンサーは同じはず。どうやって200万分増やしたんだろね。新型はAI搭載でAF精度は格段に上がったみたいだ。センサーは同じでも、受けとった信号を画像に反映するときに個性が生まれる。木立の中で人物を撮ると、周りの木々が影響して顔に緑の色が被ってくる。本来肌色に緑は存在しないので、見たときに違和感を感じる。フジは顔色を健康的に整えて出してくる。しかしRAWデータ撮っていれば、その色の差はいくらでも変えることができるし、さほど問題にはならないはず。今回は両機とも45ミリの焦点距離のレンズを使ったのだが、描写性能にも大きさな差はない。なのにX2DとGFX100Sには40万円の価格差がある。普通に考えるならGFXなんだろうが、僕は圧倒的にX2Dの方が好き。価格差を考えてもX2Dの方がいい。僕はずっと機能でカメラを選分じゃなくて、ロマンで選んでいるな。そうでなければローライフレックスの二眼レフなんて使い続けるわけがないよね。新ロマン主義のカメラがX2Dというわけです。

ちなみに、つい先日フジからGFXⅡが発表された。1億200万画素の爆速オートフォーカス機になっているらしい。動くものにもピントが合う1億画素。どこに需要があるのかわからないけど、これもまたロマン。

<2021年9月16日の日記から>

僕が主催する11月のルデコグループ展示に向けて、相談にくる人が多くなってきた。今日も学生がひとりやってきて2時間半くらい話をする。3年生ながら精力的に活動している。先日も学生主催のグループ展に参加していたし、11月のルデコに参加したあとは、個展も開く予定。すごいね。学生時代に何をやるかで10年後が決まる。学生時代にボーっとしていた僕は、その後失われた10年になったわけだ。水曜日は配信の日。いろいろ資料を揃えて準備するのだが、今回配信状態が乱れて止まってしまった。再度入り直すもちょっとグダグダ。スティーブン・ショアの写真集紹介だったが、これはもう一度きちんと説明したいと思う。どうやら“ヴァナキュラー“という言葉がキーワードになってきそうだ。本来フォークとかネイティブと同じ意味合いなのだが、アートや建築においては別の使われ方をしている。今回ショアのインタビューなどをまとめていて「話し言葉のように撮る」という言葉が引っかかった。書き言葉は頭の中のものがワンクッションおいて出てくるが、話し言葉は直接的。でもそこにクセは残る。その辺が写真的だ。「2BChannnelラジオ」を続けることで、なんだか自分の写真に対するアプローチが定まってきそうな感じがしてきた。

<2012年9月17日の日記から>

写真集「da.gasita」が届いた。米沢を中心に山形、福島、秋田そして青森の写真で構成されている。“da.gasita”とは米沢の方言「んだがした」のこと。言葉に意味はなくて相槌をうつときに使う言葉。すべてを丸く収めてしまう言葉だ。子供のころからずっと耳にしてきて、一番残っている言葉だ。写真集のカバーは目に鮮やかな表紙。真っ赤ではなく、マゼンタが入っている。すぐに梱包して、昨年の個展でプリントを買ってもらった方々に郵送した。この写真集ができたきっかけは、昨年6月の冬青での個展で「25枚プリントが売れたら写真集を作ってください」と賭けにもならない申し出を社長が受けてくれて、38人の方にプリントを買ってもらったことによって始まった。だから一番最初に見てもらいたかった。カバーの色を誰かが「さくらんぼ色」と言った。たしかにその色だ。さくらんぼは米沢の名産。これからカバーのことを聞かれたらそう答えることにしよう(笑)

 

ジンバルのように動く体だったのか?!

朝=暗殺者のあんかけパスタ/夜=高円寺「フジ」のチキンソテー

コロナで外に出る習慣が3年間なくなって、その間に体が固くなってしまった。左足の付け根の可動部分がかなり狭くなっている。そうなると胡座が辛くて、できなくなってしまう。もともと筋肉がつきづらい体質で「積極的な運動はむしろ体に支障を生じるからおすすめできない」と、以前に整形外科の医者から言われてしまった。しかし写真を撮るのは体を使う行為だから、可動範囲が狭まっているのは気になっていた。

妻はヨガに通っているし、自分も何かないかと思っていたら、家の近所に「靭トレ」という看板を見つけた。「筋肉ではなくて、靭帯を鍛えるってこと? 」って、ちょっと興味が湧いたのでお試しで行ってみることにした。

トレーナーは同い年の62歳で、さまざまなところを掛け持ちしてやっているそうだ。彼は僕の体を動かしながら「植木屋さんですか?」と聞いてくる。違うと答えると「たこ焼き屋さんとか?」。どうやら特殊な職業の人の体つきなんだそうだ。狭くて体の自由が効かないところで、手足ではなくて、体全体を動かして作業をする体つきだと言う。

「仕事はカメラマンです」というと、「そうなんですね! 実は、こういう体つきの人を説明するときに、よくカメラマンも例えに出すんですよ」と驚いていた。確かに僕自身、撮影のときはカメラの位置を変えずに前後左右に動くことはよくある。

関節を開くことで体を動かすタイプなんだそうだ。動画のカメラに使うジンバルのような動き。軸を動かさずに部位だけが動く感じ。あちこち体を触りながら「いやー、珍しい」を連発する。どうやら筋肉は硬いが関節がそれを補っているようだ。長年の撮影行為でそうなったのか、もともとの体質なのかはわからないけど、写真を撮るのに都合が良い構造になっているみたいだ。

<2021年9月13日の日記から>

朝、テレビをつけたら「写真甲子園」の番組をやっていた。本来は北海道東川町で行われるのだが、今年は課題を地元で撮影し、リモート審査を受けるものになっていた。写真に順位をつけるのって難しい。1位と2位の差がどこにあるかなんて明確な答えはない。体操とかフィギュアスケートのように、見た印象を技術点として割り出すこともできないし、そもそも技術が高いから良い写真とは限らない。ロバート・フランクのプリントはゴミだらけだったりする。高校生相手だけに「写真甲子園」の審査員も大変だろうな。今年の優勝校は沖縄工業高校だった。最終的に提出された6枚の写真はロング、ミドル、アップ、広角、標準、望遠を使い分けて沖縄の生活をとっていた。わずか数日で撮られたとは思えないバリエーション豊かなものだった。まるでユージンスミスのフォトエッセイのようだ。確かに僕が審査員でも間違いなく推すだろう。しかしこの方法論は、1960年代の雑誌掲載を前提としたもの。60年も前の「良い写真」の形だ。コンテストにはレギュレーションがあるから、上位入賞のためのテクニックというものは存在する。ツボは間違いなくある。番組で追いかけていた女子学生が最後に「そういうものから離れた写真をこれから撮っていく」と語っていた。なんだ心配しなくてもちゃんとわかっているんだな。

<2013年9月13日の日記から>

アレック.ソス。ちょっと変わった名前の写真家が今世界で注目を浴びている。最年少でマグナムの正会員になって、出す写真集はあっというまに売り切れ、無表情の全身ポートレートと、風景とアブストラクト(抽象的)なものを組み合わせたソススタイルは、ここ数年写真のスタンダードになっているところがある。その彼が来日して様々なイベントを行うというので、昨日スライド&トークショーに行ってきた。彼はレビューサンタフェでアワードを獲り、その後大きく活躍したとあって向こうでも話題に上ることが多かった。僕はお土産代わりに現地の写真集専門の書店「Photo eye」でソスの写真集を2冊買って帰った。1冊は、いわゆるソススタイルになる前のモノクロスナップのストレートな写真だ。これがなかなか面白い。ちょっとナイーブというか、ガンガン攻める写真ではない。経歴としては最初は彫刻を専攻していて後に大学の授業がきっかけで写真を始めている。意外とも思えたのがロバートフランクに大きな影響を受けていると言っていたことだ。トークショーの中で記憶に残ったのは、

「移動が大事。物理的な場所の移動も、写真の中の視線の流れも」「アメリカを撮る。しかし海外にも行く」「写真の並べ方には自分だけのルールがある。並べられた1枚目と2枚目には隠された共通点が潜んでいるが、あえて説明はしない」「最初はポートレートを撮るのが苦手でガールフレンドしか撮れなかった。訓練としてまず子供を撮り始めて、その後はあんまり怖そうじゃない人を選んで撮影していた」「本にするのが好き。出版社の社長でもある」「(ソスと言えば8X10のカメラを使うことで有名という前提で)今回は8X10のカメラを持ってきたのか?という質問にに対し、僕が8X10のカメラで撮ったシリーズは2つだけ。プロジェクトに合わせてカメラは変えていく。今回はデジタルカメラ(会場に持ってきていたのは八セルのHシリーズだった)だし、先月旅行に行ったときはディスポーザルカメラ(使い捨てカメラ)だった」「プロジェクトありきで写真を撮る。大きなものだけでなく小さなプロジェクトもたくさん行う」「写真の制作を行うにはまずは訓練が必要で、全てをコントロールできるようになったら肩の力を抜いて撮る。”マッスルメモリー”を身に付けるにはおよそ10年が必要と言われているが自分もそうだった」「卓球が大好き。日本でも卓球大会をやるから皆来てね。大きなトロフィーも用意したから」。

今世界でもっとも注目度が高い写真家のトークショーということで、どんな難しい話になるかと思ったら、普段自分が考えていることと似ていて驚いてしまった。しかも卓球好き。写真の質問じゃなくて卓球の質問したほうが喜んだに違いない。ソスはとてもフレンドリーらしく、ショーが終わっても丁寧に質問に答えていた。卓球大会行ってみようかな(笑)

 

 

界隈でお馴染みの「ニコラペルシャイド」

朝=暗殺者のパスタ/夜=焼き鳥屋で打ち上げ/夜食=残りカレーを一口

東陽町の江東文化センターで開かれていた「エイトバイテン展」は無事終了。僕が展示していた鉄製の額は大評判で会う人ごとに「額いいよねえ」と褒められる(笑)。10年前だったら中身ではなく額を褒められるのは屈辱だと思っていたかもしれないが、最近ではむしろ嬉しかったりする。「内容よりも大事なのは外側」と松岡正剛も言ってたし。

エイトバイテンの集まりには高校生からアメリカで活躍するアーティストまで幅が広い。そこで交わされる会話には普段は絶対使わない単語が往来する。「ニコラペルシャイド」って言っても99.999パーセントの人は知らないと思うけど、ここでは普通に出てくる。コミニュティというのは、交わされる語彙から生まれる気がする。昨日もビールを飲みながら「写真を発明したフランスのダゲールは運がいい山師だったのではないか」という話で盛り上がった。すかさず「その話2BChannelでやらせてください」とお願いしておいた。

今日はハッセルブラッドX2Dと富士フィルムGFXの撮り比べ動画を撮ろうと思っていたが、台風で断念。杉並区にも午前中に大雨警報が出ていた。なので部屋で依頼されていた原稿を1本書く。僕は頼まれた原稿は、その日のうちに書き上げて送ってしまう。編集者が驚くというか、呆れる速さ。ここ20年に限って言えば締切に遅れたことは多分一度もない。これはきちんとしているというのではく、ただの性格。ずっと保有することが苦手、だから株も投資も性格的に合わなかった。持っているとそわそわする。カメラも増えすぎるとストレスになって処分してしまう。だから常に手元には、ほぼ必要な分しかない。だからなんでも貯まらないわけ。

<2021年9月8日の日記から>写真家ユージン・スミスがジョニー・デップ主演で映画化され、9月末から公開される。それに合わせるようにお茶の水の「ギャラリーバウハウス」でユージン・スミスの写真展が7日から開かれている。初日に見に行ったのだが。なぜフィルムと印画紙でこれだけの情報量が出せるのか不思議でしょうがない。ユージン・スミスのモノクロプリントは印刷では絶対にわからない。何度か美術館で見ているがその度に驚く。それが今回の展示では70点もまとめてみることができる。文章でプリントの凄さを言ってもしょうがないので、これは見に行くことをお勧めします。地方から出てくる価値があります。そしてギャラリーだからプリントを買うこともできる。それが彼自身のプリントにもかかわらず20万円から40万円なのだ。映画化されるほどの作家の代表作プリントが40万円で買える。他のジャンルでは考えられない。2年前にYoutubeで配信を始めてから、ずっと部屋の壁を塗りたいと思っていた。そしてついに部屋の一面を濃い青緑に塗った。今回はひとりで。リビングと玄関の壁を友人に手伝ってもらって塗った経験から、養生さえしっかりすれば大丈夫だということがわかったのでチャレンジしてみたのだが、なかなかいい感じに仕上がった。

 

<2007年9月10日の日記から>明日から1週間、仕事でインドのバンガロールとシンガポールへ行って来る。インドは滞在2日、まるで高砂親方のモンゴル滞在みたいなもんだ。インドに行くのは初めて。まだインドに入るのにビザが必要だということを初めて知った。IT、ITと騒いでいるわりには、いちいち入国にビザがいるのは面倒だ。機材はネガフィルムが中心。ペンタックス645Nのセットと、ローライを持っていく。フィルムは30本。デジタルはオリンパスE-510。ネット連絡用にノートブックPC。予備バッテリー。その他コード類。ストロボは持っていかない。いざとなればE--510の内臓ストロボがあるし。コンパクトにしたつもりなのに重い。手荷物で持ち込める重量をはるかに超したな。ディレクターからは「今後ロケが続くから絶対屋台禁止」と釘を刺されている。宿泊するホテルは高級ホテルのようだ。朝晩ホテルでの食事になりそうだ。

 

 

 

 

額を見に来てくださいw

朝=肉そーめん/夜=キャベツと茗荷の黒酢あえ、カレー

新しいカメラがやってきて、嬉しくて触り倒している。近所の神社でお祭りがあったので撮りに行く。700グラム以上ある大きくて重い40万円以上するXCD65mmF2.8というレンズをつけているので、機動性のかけらもないけど、写りは抜群にいい。今まで使っていたX1D2のボディだとAFが遅くて使う気になれなかったのだが、X2DになってからはAF制度が格段に良くなった。

このXCD65mmというレンズの周辺描写は全然良くない。絞りが開放だと大きく伸ばした時に流れているのがわかる。でも中心部の盛り上がりはすごい。国産のレンズは周辺と中心の差がないほど「良い」とされているけど、ハッセルの設計者の感覚はまるで違う。「真ん中にドン」と被写体を置くためのレンズ設計。

今週木曜日まで、東西線の東陽町駅から徒歩5分程にある江東文化センター2F展示ロビーで「8x10(エイトバイテン)」で撮られたグループ展をやっている。僕も参加していて6点のプリントを展示中

 https://photoandculture-tokyo.com/contents.php?i=2711 

その中の2点は鉄の廃材を使った額を使っている。鉄のアーティストの方に、ハンドメイドで作ってもらったもので存在感がすごい。ずっとアルミの額を使っていて、さすがに飽きていた。最近はいろんな額を探しては購入していたのだが、この鉄の額は最高にしっくりきた。是非写真でじゃなく、額を見に来てください(笑)

<2021年9月4日の日記から>

「100年に一度の天才と言われている若者が個展やっていますから見てください」と教えてもらったので、神保町まで見に行った。作者の大西ちふは18歳で岡本太郎賞を受賞。高校3年生18歳の時だ。2会場で行われていた展示はすでに回顧展の様相を呈していた。圧倒的な質量。作品の多くに販売を示す赤丸がついている。20年後には価格は100倍くらいになっているかもしれない。中学生からすでに完成された、いや何を持って完成というか分からないが、とにかく見るものを圧倒する。ひとりで戦後美術史をやっているんじゃないかというくらい。フリーダカーロ、フランシスコベーコン、エドワードホッパーも。太い線で輪郭を描くのは日本的だし。すごいもの見ちゃった。その足で「南青山ギャラリーストークス」で服部一人写真展。彼は現在日大芸術学部の准教授で、僕の同級生。彼が学生時代に旅先で撮った写真が展示されている。プリントは今年焼いたものだが、こんなにすごいプリント久しぶりに見た。とても学生が撮ったものだとは思えない。彼が大学2年と3年の間ぐらいの春休み期間で撮ったものだというから20歳だよ。モノクロプリントが好きという人は見に行った方がいい。驚くから。夜はビールじゃなくてワインでも飲もうと思って床下収納のから1本取り出した。自分で買ったものではなくて、頂き物だったり、娘が買い集めているものだから、値段とかさっぱり分からない。コルクじゃなくてスクリューキャップだから、なんとなくリーズナブルなのかと選んだ1本が、なんとべらぼうにうまい。「こんなに美味しいということは…」とアプリで値段を調べたら、5千円以上するワインだった。どうりで美味しいわけだ。娘にまた怒られそうだ。でも開けちゃったから「今日はお祝いだ」ということにして飲んだ。

<2007年9月3日の日記から>

土曜日はワークショップ22期の第1回目だった。開始当初8回だった講座は11回に増え、人数も午前午後4人づつだったのが6人になり、部屋も大きくなった。それでも内容は相変わらずモノクロフイルムで撮影しプリントをする繰り返し。同じことをやっていて飽きないの?と聞かれることがあるが、今のところまだ飽きていない。1回目は、毎回僕も受講者も手探り状態で始まる。僕は聞き手の写真に対する知識を探りながら話す内容をちょっとづつ変えていく。11回を終了するころには露出計がなくても写真が撮れる様になるのが目的だ。露出計がなくても写真が撮れるということは、どんなカメラでも使うことができるということだ。日曜日は9月25日から渋谷ルデコで行われるワークショップグループ展の打ち合わせ。2階、3階がワークショップグループ展、5階が「猫」展6階が「漂流者展」と、前回に続きルデコジャック。期日が迫ってきて参加者に緊張感がでてきた。たかが6,7枚の写真を展示するのがこんなに大変だとは思ってもいなかっただろう。月曜日、整体師の人に来てもらい身体をみてもらう。この人は脈を診ただけで昨日頭痛があったことがわかるのだ。それも「我慢できないほどじゃないけど、違和感はありましたよね」と指摘するのだ。確かに昨日の夜は軽い頭痛があったので皆と飲みに行かずおとなしく家に帰ったのだった。今日診てもらったら「腰はもう大丈夫。大事にならなくてよかった。身体を冷やさないでね。水物は控えめに」ということだった。夏場は水を飲まなくてはならないという脅迫観念が余分な水を摂取し、身体を冷やしていたようだ。来週のインド行きに不安がなくなってよかった。