朝=笹巻き、納豆、卵のお汁/夜=カボチャとズッキーニのオイル炒め、豚肉と長ネギの豆板炒め、胡瓜とセロリのダシあえ、笹巻き納豆
笹巻きは蒸した餅米を笹に包む簡易保存食で、米沢ではこの時期にだけ食べる。きな粉をまぶしたり納豆をからめて食べる。ぼくにとっていまでは唯一、米沢を感じる食べ物になってしまった。
2B Channnelの登録者が1万5千人になった。2019年9月1日に始めたので34ヶ月たったことになる。3年弱だ。最初に立てた目標が登録者数1万5千人。これは写真雑誌の公称発行部数。つまり1万5千人の視聴者がつけば、単純に写真雑誌というメディアと同じ影響力を持つことになるのではと考えたのだ。実際には視聴回数が1万5千回までいく動画はそんなに作れていないが、3年近く続けたことで随分と環境が変わってきた。
写大ギャラリーで、古谷誠一の写真展を見てからずっと気になってしまって。10年前に買った小林紀晴の「メモワール 古谷誠一との10年」を引っ張り出した。買ってあったけど、すっと読んでなかった。読んでしまったら何かが変わってしまいそうな気がして。2日間かけて読んで、今まで読まなかったことを後悔した。ある写真家の存在を通して、写真を選んだ者が持ってしまう「呪われた目」について考えてしまう。誰しもが持つが、写真をやっているとそれに支配されてしまう。「良い写真」を求めてまだ誰も見ぬ光景を探してしまう。アーティストとは違った「呪われた目」の持ち主が写真家なのか。小林紀晴はこの本を書くために生まれてきたんじゃないかと思う。取り憑かれたように古谷誠一を追い続けることで、写真とは何かを考え続けていたのだ。
<2007年6月23日の日記から>
カラーの自動現像機から大量の液漏れ有りと連絡。井の頭公園で写真を売って生計を立てている写真家がいるという話は以前から聞いていた。その作家は昨年度日本写真協会新人賞と写真の会賞をダブル受賞しているという。国内作家のオリジナルプリント相場というものがあるとすれば3万から20万円というところだろうか。決して安いものではない。1枚の写真を購入するとなるとある程度の決心が必要となる。ところが井の頭公園で売っている値段と言うのが1枚「1000円」なのだ。1万円ではない、千円だ。その作家の名前は風間健介という。夕張の炭鉱を撮った写真集は知っていた。骨太ながっしりした写真を撮る人だという印象を持った。写真賞を受賞しているのにかかわらず、1枚1000円で写真を販売して生計を立てている不思議さに、前々から井の頭公園に行ってみたかったのことが、今日実現した。
休日の公園はお天気がいいのもあって驚くほどの人出だった。公園入口の焼き鳥伊勢屋は長蛇の列。昔は閑散としていたものだったのに。写真好きな知り合い8名ほどで連れ立って、風間さんを探しに、伊勢屋を背にして池を左回りに歩いていった。道沿いにはフリーマーケットさながら色んな物を売っていたり、ところどころで演奏をしている。結構楽しい気分だ。
ふと横を見るとシートを広げて写真を並べている人がいた。風間さんだ。思わず通り過ぎてしまうところだった。挨拶もそこそこに写真を物色する。RCペーパーで焼かれたものの中にはバライタ印画紙のものもある。思わず「ここにあるもの全部1000円なんですか?」と聞いてしまった。並べてあるものもケースに入れてあるものもRCバライタ問わず、モノクロは全部1000円。カラーは2000円だった。炭鉱のバライタプリントを2枚、海が写っているものを2枚選んで購入した。4枚買っても4000円だ。
一緒に行った人たちも、それぞれ好きな写真を選んで買っていた。風間さんに聞いたら一日5枚ほど売れるということだった。ただしニコンやキヤノンをぶら下げているおじさんは見向きもしないという。なんとなくわかるような気がする。1時間ほどいろんな話を伺った。でも記憶に残ったのは写真の話ではなくて「焼酎を1日1リットル飲む。身体のためを考えてウコンで割っている。毎日5時間飲む。昔は1ヶ月で一升瓶20本の焼酎を飲んでいた」という武勇伝。なんだか昔ながらの作家のようで格好がいいではないか。今年46歳というから僕と同年代だ。風間さんは北海道の夕張に20年近く住んでいた。数年前北海道に行った知り合いは、風間さんの自宅ギャラリーを訪れている。風間さんの家の窓にはガラスがなくビニールがヒラヒラと貼られていたそうだ。冬でもそのまま。夕張の冬はマイナス20度になるはず。自分のことを「体が弱い」と言っている風間さんだが、そんな部屋に住めるのなら十分丈夫なような気がするが… 焼酎を飲む理由も寒さ対策だったのだろうな。伝説になるであろう井の頭写真販売を堪能し、帰り道「狼の毛で作った筆」を買い、吉祥寺駅前のハモニカ横町で飲んで帰った。かなり充実した休日である。