センチメンタルなアーバス

朝=鮭とキャベツの玄米フィットチーネ/夜=玄米トマトリゾット/夜食=フルーツサラダ、ゴルゴンゾーラのピザ

日曜の「H+」のワークショップは、鈴木麻弓さんが急遽特別参加で、東京都写真美術館へ。20年前に僕のアシスタントしていた彼女は、現在は日大芸術学部の准教授だ。今回の「メメントモリ」の展示は、かなりお得感があると参加者全員が言っている。とても良いコレクション展だ。死と写真という切り口もいい。こういうのをもっと見たい。

ずっと写真の枠の拡張の話をしているけど、個人的に20歳の頃に触れた写真が刷り込みのようになっているのは間違いない。音楽もそうだ。40年経ってもあの頃聴いていた音楽を、今でもかけている。ただ「あの頃が最高だよね」とは言いたくないだけ。写真で生きているのだから、新しいことも知りたいし、知る必要もある。

今回の展示で一番響いたのは、荒木経惟の「センチメンタルな旅」とダイアン・アーバスだった。意外だったのは古谷誠一の「メモワール」がなかったこと。でもそれは工芸大の写大ギャラリーで、ちょうど今始まったところだから、そっちも見に行かないと。

 

<2011年6月20日の日記から>

土曜日、ギャラリーから電話があった。「ワークショップ中にすみません。渡部さん、25枚目が売れました。おめでとうございます。写真集作りましょう」高橋社長からだった。25枚目は「地獄池」だった。この写真は八甲田山登山口近くで撮った、おそらく会場でもっとも印象が強いプリントだ。ワークショップが終わってから、5時に会場に入るとたくさんのお客さんがいた。大阪からわざわざ来て来てくれた方が26枚目を買ってくれた。岩場に波が流れ込んでいるものだ。最後まで会場にいてくれた10人と中野の居酒屋へ。社長とスタッフの宮崎さんも交えて祝杯をあげた。写真集はまだ具体的なことは何も決まっていない。冬青社は現在5冊の写真集を平行して制作していて、年末から大きなイベントに関わることになっている。僕の写真集は来年から制作を始めて、10月の完成を目指す。そして11月に同名の写真展を冬青で開く。今回はパブリシティを含め、全てのことを抜かりなく行う。これが高橋社長の考えだった。1年以上の先の話だが、今まで2冊の写真集は、出すことにいっぱいいっぱいで、先のことはなにも考えられなかった。だからじっくり作るのもいいかもしれないと思えた。とにかく次の話に繋がった。今回プリントを買ってくれた方々には、次回写真集を贈呈する。それには何か特別感を持たせようと社長と相談している。