実によかった「ボテロ」

朝=ホットサンド、新玉ねぎのトマトスープ/昼=「永坂更科」の蕎麦/夜=キャベツと蒸し鶏のポン酢サラダ、厚揚げとズッキーニの胡麻油炒め、玄米の人参炊き込みごはん

妻がBunkamuraでやっている「ボテロ展」みをに行こうと言う。ボテロねぇ、なんか気乗りしない。でも他の美術館を探しても、どこもちょうど架け替えの時期のようで、めぼしいものをやっていない。「ボテロでもいいか」という感じで見に行ったのだが、これが実に良かった。現役のコロンビアの作家。特徴はなんでも太らせる作風。こう書くと漫才のタイムマシーン3号みたいだが(実はファン)、ボテロはあるときに「ふくよかな魔法」を手に入れたんだそうだ。どんな者でも柔らかくふくよかにしてしまう。それが人を惹きつける。モナリザだってマリーアントワネットだって、キリストだってふっくらしている。

渋谷の東急百貨店は、来年の1月で建て替えのために閉店だそうだ。Bunkamuraで展示をみたら、百貨店8階の「永坂更科」で蕎麦を食べるという、僕たちの黄金パターンがなくなってしまう。ここの蕎麦は本当に美味しい。妻はいつもカレー蕎麦一択。ぶれたことがない(笑)。

渋谷から新宿に出て「OM  SYSTEM  GALLERY」へ中藤毅彦さんの展示を見にいく。新宿のギャラリーもエプソンが銀座に移り、リコーペンタックスがなくなり、オリンパスが「OM  SYSTEM  GALLERY」 にと様変わりしている。中藤さんが撮っているのは一貫してストリートスナップ。今回は渋谷だ。森山大道と桑原甲子雄がまじあっている。香港の紛争を撮影した写真集を購入。今度の2B Channnelライブでストリートスナップの話をしてみようかと思う。

 

<2012年6月25日の日記から>

月曜日は自分のお休みの日にすることが多い。しかし、そもそも僕の場合「お休みってなんだ」ということになる。撮影をしていても、プリントをしてるときでも、仕事をしているという感覚が希薄だ。もう少し若いころなら「仕事で撮影している」という自負も気概もあったような気がするが、そこらへんが薄れてきている。近ごろは忙しいといってもたかが知れていて、せいぜい2週間くらいスケジュールが詰まるくらいだ。暇ではないが、働いている気はしない。お昼ぐらいに家を出てプールに行ったりするときに、現場で働いている人を見かけると心の底から罪悪感に見舞われる。それはもう本当に、本当に申し訳ない気がしてくる。「好きなことをして暮らしていけるっていいですね」と言われることがあるが、とんでもない、こんな暮らし方をしていていいのだろうかと常々思っている。本当は「ちゃんと働きたい」と心のどこかで思っている。大学時代に才能の差をまざまざと見せつけられ、新聞社にもぐりこんだものの折り合いがつかず、フリーになってからは「俺って天才」と自分にいい聞かせ、なるだけ先のことを考えずに生きてきた気がする。どうやら自分には、才能ある人とはどういう人なのかが分かるだけの才能はあるみたいだ。だから余計自分との差が見えてしまうわけだ。映画「アマデウス」でサリエリが「神はモーツァルトが天才だということを理解する才能だけを私に与えた」と嘆くシーンがあるが、自分も大学時代からずっとそうだった気がして深く頷いてしまった。低気圧の月曜日はこんなことばかりを考えて、何も生産せずグズグズと一日が終わるのだ。