「これってアレだな」

朝=冷やし中華/夜=銭湯からの高円寺「フジ」

お盆休みの1週間。米沢に帰ろうかなとチラッと考えたけど、結局、この暑さだし大人しくしていた。この夏はワークショップで八戸に行ったあとは、どこにも出かけないので、新宿歌舞伎町にある、ちょっといい感じの映画館で『デューン 砂の惑星』を観ることにした。僕はてっきりヴィルヌーブ監督作品だと思っていたら、上映が始まって、それがデヴィッド・リンチの作品だと気がついた。後で知ったのだが、1984年に制作されたものだった。場面場面が断片で、ストーリーがさっぱり頭に入ってこない。すっごいカルト映画を観た気分(笑)   。気になってしょうがないので、翌日Amazon Primeでヴィルヌーブ版の『デューン 砂の惑星』をあらためて観た。それでようやく何の話なのかがわかった。「スパイス」と呼ばれる物質をめぐって二国が争う物語で、イスラム教を彷彿させるところが多かった。砂漠だからかな。 

先週末、写真家の萩庭桂太さんが来てくれた。石井朋彦さんと一緒にライブ配信をやった。ありがたいことに、その切り抜き動画を作るだけで新作を作らなくても、しばらくは動画を更新できる。萩庭さんの話は捨てるところがない。さすがだ。ああいう人を一流って言うんだろうな。僕は一流の人がいつもやっているような仕事をたまにやれるようなカメラマンだったから、萩庭さんの話もわかるし、そうでないカメラマンの話もわかる。それが意外とこの歳になって役に立っている。

何を聞かれても「これは、アレだな」と話を繋げることができる。これを読んで、高橋源一郎を思い出した方は同世代でしょう。毎日新聞の連載をまとめた書籍があるのだが。様々なネタを小説や漫画を引き合いに、どんどん繋げていく語り口が面白い。僕が 2B Channelでやっていることはまさにこれ。

最近はタイパという言葉が流行っているけど、まとめ動画では何も頭に残らない。そういう意味では、2B Channelも、ただ聴いただけでは何も変わらない。そこから「これってアレだな」と違ったものと結びつけることで定着されるんだと思う。

10年以上前、僕は「写真を写真から語らない」と決意して、様々な本を読んできた。最近読んでみに沁みたのが、岡本欣也『ステートメント宣言』。コピーライターの作者が広告での経験をまとめたものだが、文章を書くってそういうことだよなと思えたし、これは写真につける文章もまた同じ。読みながら何度もうなづいてしまった。