あけましておめでとうございます

あけましておめでとうございます。

2023年は「da.gasita」の再販に始まり、「eyes」出版で終わるという素晴らしい一年だった。個展も2月に新宿の北村写真機展で「da.da in monochrome」を、5月にギャラリー冬青で「da.gasita」の展示があり、グループ展にもいくつか参加。たくさんの方に来ていただき、本当にありがとうございました。

また、昨年の「2B channel」では100本以上の動画を投稿。年末も27日まで収録があり、編集が終わったのが30日。忙しいながらも、充実の年になった。と思いきや、、、

年末最後の収録後、メインで使っている10万円以上の大型LEDが突然点灯しなくなった。メーカーが中国のため、保証期間が終わっているので修理には多額の送料と時間がかかることが判明。年明けからの収録に備え、急遽LEDライトを追加購入。そして大晦日に届いた新しいライトやカメラの配置を再調整している最中、重いスタンドを何かに引っ掛けて転倒させてしまった。そして連鎖的にソニーFX 30も倒れ、マイクハンドルとレンズ、合わせて14万円が大破。本体は一応無事な感じだが、マウントがいかれている可能性あり。そうなると40万円コース。しかも、もう一台のFX 30も突如動作が不安定になり使用不可能に。年末の浮かれ気分を一気に吹っ飛ばすような事態に唖然茫然。思わずへたり込んでしまった。妻は「機材が身代わりになってくれたんだよ」と言うので、そういうこともあるよなと思うことにしたが、最後の最後にやっちまった。

さて、気を取り直しつつ迎えた2024年。5月に京都と名古屋で展示があり、何より僕の新作写真集も制作します。2017年の「demain」以来なので、なんと7年ぶり。今年も皆さまどうぞ宜しくお願いいたします。

一日中セッティング

朝=バゲット、サラダ、スープ、スクランブルエッグ/夜=フライドチキン、菊芋の炒め煮、豚汁

遅めの朝ごはんを食べてからすぐに部屋にこもって、収録用の機材のセッティング。昨日だいたい決まったのだが、微調整をしているうちに、いつの間にか全部やり直しになってしまった。座り位置、カメラの位置、ライトの位置、全部やり直し。妻に座ってもらってチェックして、実際に録画してバランスを見る。すると、気になる点が出てきて変更、チェック、変更を繰り返しているうちに夕方の5時になってしまった。他には何もしてない。なので日記でも書こうかと思った次第。こういうセッティングとか好きなんだろうな。以前はバイクに夢中で、サスやキャブレターの調整を一日中やっていたし、暗室作業はセッティングそのものだったし。

カメラはシグマfP LとFX30を2台、俯瞰用にZV1と計4台をスイッチャーで連動させようと思っていたけど、FX30の片方がなんだか不穏な動きをする。心配なのでα7Ⅳに切り替え。据え置きはシグマの方がいいような気がするので、来年は今使っているfpLの他にfpも使ってみようかな。このセッティングでうまく撮れれば来年の収録はグッと楽に、そしてクオリティも高くなるはず。海外の写真系Youtubeを見るとライティングが本当にうまい。部屋が広いのか、何かテクニックがあるのか。2BChannelも5年目を迎えるし、ちょっとは近づきたいものだ。

〈2021年12月26日の日記から〉  

おにぎりをストーブで焼きながら、森山大道のドキュメンタリー映画『過去はいつも新しく未来はつねに懐かしい』を見る。劇場公開を見逃していたのだが、先日Netflixで配信されていることを教えてもらった。部屋のカーテンを引いてプロジェクターで鑑賞。あれこれエプソンの文句を言っていたが、画質はまったく不満がない。もう食堂に据え付けているから設定問題もクリア。いつもはYoutubeのミュージックビデオを流しっぱなしにしているのだが、家に遊びに来た人からも評判がいい。さて映画だが、80歳になる森山大道が街中をスナップする様子が満載でそれだけで嬉しい。時折ニコンのコンパクトカメラの背面液晶が写るのもいい。80歳になっても20歳の頃と同じ場所を取り続けている。「飽きませんかと聞かれるけど、まったく飽きないね」と言っている。話の大きな筋はブックデザイナーの町口覚さんが森山大道1968年発行の『にっぽん劇場写真帖』を復刻する工程が描かれている。冒頭の写真集用の紙の原木を切り出すシーンが印象的に描かれる。森山さんの映画であると同時に町口さんの映画にもなっている。「日本一の造本家」と言われる町口さんが、どのように写真集を作るかを垣間見ることができる。東京印書館のプリンティングディレクター高柳さんも出てきた。この間見た小林紀晴監督の「トオイと正人」も面白かったが、他の写真家のドキュメンタリーも見たくなる。というか撮りたくなる(笑)。短いのを1本撮ってみようかな。2B Channnelで出せるし。でも来年5月の冬青の写真展の準備というか撮影もあるし。こっちはかなり切羽詰まってきた。

 

 

配信部屋のレイアウトを変更

朝=カラスミとカリフラワーのパスタ/夜=銭湯からの高円寺フジ

金曜日で配信の仕事はひと段落したので、来年出そうと思っている写真集の構成に手をつける。もう出版社には打診をしていて、年明け早々にデザイナーとの打ち合わせがある。最初に作ったダミーはA4にプリントアウトしたもので、「こんなの作りたい」という叩き台。そこから二つ折りで左右を確認するためにA3にプリントしたものを作る。綴じるまではいかないが、本になった時のイメージを確認していく。これまでに4パターン作ってみた。

プリンターは最上位機種のエプソン1Vではなくて、普及機のエコタンクプリンター。すでにA3を200枚くらい印字しているからボトルでインクを補充できるエコタンクプリンターはコスト的にありがたい。しかも発色がいい。表面がザラザラしているマット系の紙に印刷する場合、むしろエコタンクプリンターの方がいい感じになる。暇さえあればプリントアウトを繰り返して写真集のダミーを作っている。なんとか来年5月の展示には間に合わせたい。

そして年末なので配信部屋のレイアウトをちょっとだけ変更。床に広がるカメラやモニター、マイクのケーブルを一旦全部抜いて、机を移動。再度配線を組んで、テストしてみると、部屋もちょっとだけ広く使えるし、なかなかいい感じだ。

<2021年12月24日の日記から>

朝の8時に来客。京都の荻野直之さんが展示のために夜行バスで上京してきたのだ。それでうちで朝ご飯ということになった。彼とは年二回くらい会って、その時に考えていることを話す。不思議なことに、お互いが折々で考えていることが一致する。今日は朝っぱらからガルシア・マルケスについて(笑)。孤独の解決方法として「火」は有効なんじゃないかという話になる。午後から冬青で写真集の初稿戻し。全ての写真を見直して1枚づつ指示をしていく。もちろん僕じゃなくて高橋さんと凸版のディレクターのやりとり。この時点になると、僕は何もすることがない。あとは来年早々に本番印刷だ。大学の講義で「良い質問者になれると社会で役に立つ」ということを書いたが具体的にはどんな話だったのか聞かれたのでちょっとだけ。まず質疑応答で一番困るのが自説を述べて終わっちゃう人。次に抽象度が高すぎる質問。例えば「あなたにとって写真とは?」と聞かれても答えに窮する。質問者にとって有効なのは「知っていることを聞くこと」だと思う。知らないことを聞いて答えをもらったとしても、大抵忘れる。でも知っていることなら相手の話によって自分の知っていることに厚みが出るし、その後の話が盛り上がる。学生には質問をするためにメモを取ることを勧めた。気になるところを丸で囲んでそこから質問を考えていく。質問がはまると、した側とされた側で奇妙な連帯感が生まれる。

 

「ハルさん指輪を買うってよ」

朝=モス野菜バーガー、モスチキン、ポテト/夜=カツオのカレー、サラダ、人参の和物、その他もろもろ

マックは食べないけど、モスは年に二回くらい食べる。玄米ぜんざいが好きなのに高円寺店にはなかった。

夜にパリコレで14回もショーを行っているファッションデザイナー中里唯馬さんが2BChannel収録のために家に来てくれた。パリコレって年に2回もあるって初めて知った。そしてオートクチュールでパリコレに出ているデザイナーは森英恵さんと中里さんだけなんだそうだ。ファッションと写真は馴染みが深い。中里さん自身も写真を撮る。カメラはライカM11にお祖父さんが使っていたズマリット50mF1.5。配信は年明けの予定です。貴重な話を聞けました。

昨日「よーくかんがえよー」の日記を出して、その一部をXにあげたら「指輪を買うべきだ」ってコメントがたくさんついた。電動自転車でお茶を濁そうと思ったが、無理っぽくなってきた。「ハルさん指輪を買うってよ」っていう動画でも撮ろうかな。まあ、絶対に怒られるだろうけど。続く(笑)

<2021年12月19日の日記から>

深夜にカップヌードル。「いい年して何やってんですか」と怒られそう。でも美味かった。そんな気分になったのは全13回の美術史講座の第4期が全て終わったから。開放感が半端ない。1月からは「写真史講座」が始まるが、ちょっとの間、講座配信はお休みになる。オンラインでの配信は慣れてきたが、やっぱり対面がやりたい。このままコロナが落ち着いたら来年早々始めたいと思っている。美術史講座を受けてもらっている方を対象に写真ワークショップを開けば、かなり面白いことができるんじゃないだろうかと期待してしまう。「GRオンラインイベント」は加納満さんがお相手だったので、90分があっという間だった。最後はかなり脱線したが、加納さんがいたから安心して話せる。普段ひとり配信だから掛け合いができるのは本当に楽しい。「オンラインイベント」ではあるが、担当者や他の出演者とも会えて「浮かれた」気分だった。視聴者プレゼントで、加納さんが最新作のプリントを額装でプレゼントするというので驚いた。だって、本気の銀塩プリント。これもらえたら最高のクリスマスプレゼントだよ。

🎵よーくかんがえよー

朝=カレーうどん/夜=鹿肉ミンチのドライカレー、フルーツサラダ

昨日もカレー、今日もカレー、明日もカレー、三日間カレー(笑)。うちに来てくれるお客さんに出すのは大体カレー。妻がスパイスから作るカレーは評判がいい。野菜の盛合せも出すけどメインはカレー。月に3、4人くらいが収録や打ち合わせでやって来るので、もれなくカレーが出る。昨日お客さんがあって、明日もお客さんなので、間の今日は残り物カレーであれこれ食べることになる。好きだからいいけどね。

僕が好きなものばかり買っているから、妻も何か欲しいと言う。「もちろんです、何かお好みのものは?」と聞くと「クリスマスだし、ずーーーと買ってないから指輪」。その瞬間テレビから保険のCMが流れた。「🎵よーくかんがえよー。おかねはだいじだよー🎵」。あまりのタイミングに吹いた。結局、電動自転車に落ち着いた。

来年のGWは、京都と名古屋で展示があるので、今のうちからホテルを予約することにした。半年前だけど、結構高い。名古屋のほうは、ある程度ギャラリーが負担してくれることになっているけど大変だろうな。プリントがたくさん売れたら、最後の夜は名古屋駅の上にある「マリオットホテル」に泊まりたいな(笑)

<2021年12月18日の日記から>

昼過ぎまで仕事を片付けて上野の「The 5th Floor」に石川竜一を見に行く。木村伊兵衛賞を受賞した「絶景のポリフォニー」。ニコンサロンでやっていたものと同じプリントだった。この展示は前回原宿のギャラリーで石川竜一を見た時に渡邊浩行さんに強く勧められていた。「絶景は石川竜一の発明」と誰かが言っていたが、その意味がプリントだと良くわかる。写真集もすごいが、プリントになると数倍強くなる。通常「絶景」は普通にはお目にかかれない風景を指すわけだが、石川竜一の「絶景」はその辺にある。でもそこにあるのに誰も見ようとしないから「絶景」。そしてポートレートも彼にとって「絶景」。展示を見てから、彼の分厚いプリントを束ねたブックを見ていたら、最後の方には具合が悪くなってきた。比喩ではなくて胸の辺りがグッと圧迫されて胃がムカムカしてくる。僕は心に鍵をかけて、石川竜一が撮る「絶景」を見ないようにしているんだと思う。石川竜一はその鍵を開けてしまったんだと思う。だから彼はもう戻れない。生きて行くことと写真を撮ることを直結させてしまった。そういう人は稀だが、いつの時代にもいる。多分最初に写真でそういうことをやったのは、ダイアン・アーバスで、上流階級育ちの彼女は最終的に耐えきれなくなったんじゃないだろうか。渡邊浩行さんは「僕は宇宙船竜一号に乗ってそういう世界を見ているんです」と言っていたが、まさしくその通りで、その宇宙船はかなり揺れる。揺さぶられるから気持ち悪くなる。でもその先には鍵を外した「絶景」が待っている。

発送完了

昼=豪徳寺の「オールドネパール」

3回目となる「オールドネパール」。美味しいという言葉では足りない料理が出てくる。ネパール料理ってカレーの印象しかないけど、当然現地の人はいろいろなものを食べているわけで、その地方によっても香辛料の使い方は変わってくる。そのエッセンスを使ったコース料理が出てくるのだけど、一皿ごとに「なんだこれは!」って思ってしまう。3ヶ月ごとにコースの中身が変わるのだけど、もう一回これ食べたい。

週明けから写真集『eyes』を発送するための手配が続き、ようやく今日の午後に全ての注文に対応できた(早くから注文をしていただた皆様、お待たせして申し訳ありませんでした)。Amazonnや楽天からも出版社に大量の注文があったそうで、なんと楽天では本の売り上げが総合3位、写真集部門では羽生結弦の写真集を抑えて堂々の1位。一時的なことにせよ、その反響に驚くばかり。現在増刷のために奔走している。

2023年は1月の『da.gasita』再販に始まり、『eyes』で締めるという、写真集にかかわる年になった。

<2021年12月15日の日記から>

スーパーで見つけた激辛インスタントラーメンが食べたいのだが、どのタイミングで食べるべきかで悩む。本当は夕ご飯の後の夜食で食べたいのだが、そこは我慢して昼に食べた。辛かったけど美味しい。午後から、冬青でお手伝いしている写真集の印刷テストの上がりを確認する。印刷前に校正刷りをするのだが、その前に数点キーになりそうな写真4点を印刷してもらって紙との相性を見る。僕は一応編集という立場なので「どうですか?」と聞かれるのだが、この段階だと、もはや口を挟む余地などまるでない。しかし、まあ、こんな難しいデータをよくも印刷するもんだと感心した。凸版と冬青のチームは、間違いなくドイツのシュタイデルに匹敵すると思う。来年2月の発売が楽しみだ。2Bchannnelで「石川竜一ポートレートの流儀」をアップした。https://youtu.be/6TBS4CeyWM4   今最も注目される「石川竜一」と、名もなき「写真学生」の目指していることは似ている。「よく見る」写真を撮るものにとって大事な言葉だ。いや、すべてに通じるな。

売れてます!

朝=玄米パスタ、バケット/夜=鍋焼きそば

土曜日は、友人数人と家で忘年会。香箱蟹、鰤しゃぶ、大王鳥を焼いたもの、パンやチーズ、ワイン、日本酒。ひさしぶりにたくさん喋ってゆっくり飲んだ。日曜日は長唄の会に行ってきた。長唄って歌舞伎の歌の部分が独立してできたものだったんだね。だから歌にはストーリーがあった。

土曜日のお昼にH・J写真集「eyes」の動画をアップしたら、写真集の注文が次々とやってきて、対応が追いつかない状態になってしまった。昨夜は注文メールのお知らせが止まらず興奮してしてしまった。購入していただいた皆さま、いましばらくお待ちください。週明けの時点で、1000冊作ったはずなのに出版社にも、Amzonにも、作家に渡した分もなくなって、ほんの少しが2BChannelの販売サイトに残っているだけ。

2BChannelプロデュース H .J写真集『eyes』  https://youtu.be/B0jkMzamw3M

自分の本を作った時は妙に冷静になってしまうけど、今回は本当に嬉しいし、楽しい。本作りを続けている出版社の気持ちが初めて分かった気がする。

<2021年12月11日の日記から>

先日TIPの速水さんにインタビューしてもらった動画がアップされた。動画のクオリティが高くて、つい2B Channnelと比べてしまう。

「ストーリーテラー#31」https://youtu.be/T3W1f5FwLLw

ひとつのシリーズを掘り下げるという企画だったので2017年に作った『demain』について話すことにした。実はこれまで5冊の写真集を作った中で一番好きな1冊。これを作れたことでもう一度積み直そうと思えた。詳しくは是非動画をご覧ください。さて本日は何もしないことにした。最近色んなことが重なって複数のやり取りを重ねていたら、夢の中でもずっと喋っていて、寝てても起きてもずっとせわしない。夜に友人と会食をする予定もあったので、事務所部屋に入るのをやめて、連絡事はiPad miniで対応することにした。でも結局プロジェクターでNHKオンデマンドの「100分de名著」を一気見してしまって、脳は全く休まらなかったけど。

 

 

 

Youtuberの渡部さとるさん

朝=トマトリゾット/夜=新高円寺「高味園」で鉄板豆腐、台湾焼きそば、紹興酒

妻が出かけてひとりの夜は、何を食べるか朝から悩む。とりあえず近くの銭湯でひと風呂浴びて、外に出ると近くの小料理屋をふたつばかり覗くが、今回はスルーして台湾料理を食べに行く。ここは何を食べても美味しいので悩むまでもないのだが。

動画を3本編集。とはいえ、自宅収録で、お相手が石井朋彦さんなので、ほぼカットなしだから2時間もあればひとつ完成。1日かけて3本全てアップロードできた。12月はYoutuberにとって稼ぎどき。広告単価が通常の倍近くになるからだ。とはいえ、2BChannelは相変わらず。今年もバズることも炎上することもなく、淡々と週に一度の編集動画とライブ配信を続けてきた。

2BChannelは来年で5年目になる。とりあえず目指せ登録者3万人。そのくらいあればYoutuberと胸を張って名乗れる(笑)最近は講演会やイベントなので紹介してもらうときに肩書きは「Youtuberの渡部さとるさん」にしてもらっている。だって他の何よりも時間を費やしているから

写真漬けの日

朝=肉うどん/夜=いちご煮ごはん、かつお焼き、リンゴと野菜のサラダ、豚汁

師走だ。そわそわする。今年は23日で仕事納めにするって思っているけど、そもそも最近何が仕事なのか、どこまで仕事なのかがよくわからない(笑)。

2023年は、たくさん動画用機材を揃えたのに、大体の仕事は家の中でやっているので、使う機会が少ない。メインの機材は三脚に据えられたままのシグマfpL。配信を見た知り合いの多くが、「あの色いいね」と言ってくれる。fpLのカラーモード「ティールアンドオレンジ」をマイナス2に設定するとコクのある色味が出るのだ。fpLがソニー並みのAF性能があったら最高なのになといつも思う。排熱もしっかり効くし、外付けSSDに外部収録できるし、色もすごくいい。なので3台あるソニーは出番が少ない。

土曜日は、エプソンのプリンターを使ったワークショップの講師に呼ばれて、京橋まで行ってきた。モノクロプリントに特化したもので、2BChannelの動画と連動したものになっている。「僕のモノクロプリントの設定はこれ エプソン SC-PX1V」

https://youtu.be/fAGkZhBHng0

こういった機材を扱うワークショップは準備が大変。個人では到底無理。だからインクジェットを使ったプリントワークショップはメーカーの協力なしではできない。今回は8人の受講者に対して、6台のプリンターを用意してもらった。担当者が前日入念なチェックをしていたにもかかわらず、講座当日、思わぬところで問題が発生。それをなんとか乗り越えながら、それぞれ5枚ほどのプリントを作ることができた。

僕がモノクロ時に使っている設定をレクチャーして、一度自分で画像調整してもらいプリント。それに対してPC上の画像とプリントを見ながら再調整をしてもらって再プリントという手順。バライタ調の用紙も使ってみた。2BChannelで公開している動画でも言っているが「2の10」の設定にするとモノクロプリントが際立って見える。

結局、午後1時から5時まで4時間のワークショップになった。終わった後も参加者のポートフォリオを見せてもらって30分以上話をして、帰る頃はすっっかり日が暮れていた。久々に写真漬けの1日だった。

<2021年12月3日の日記から>

鈴木麻弓さんから「スペイン料理一緒に行きません?」と誘われたのが鎌倉由比ヶ浜にある一軒家のレストラン。ご飯を食べた後に鎌倉から帰るわけだが、わざわざ誘ってくれるからに美味しいんだろうな、ということで妻と二人で出掛けてみることにした。せっかく鎌倉まで行くならと、お昼に家を出て鶴岡八幡宮で参拝して、近くの神奈川県立美術館鎌倉別館で開催中の「フェリアー今道子」写真展を見る(2022年1月30日まで)。1991年に木村伊兵衛賞を受賞している作家で、自分で魚を使ったオブジェを作りそれを4x5の大型カメラを使って撮影している。初期から現在までの作品を見ることができた。見ているうちに16世紀イタリアの画家アルチンボルトが浮かんできた。それとやはり16世紀の版画からの影響もあるんじゃないかと勝手なことを思ってしまった。約束の時間までまだあったので、江ノ電に乗って長谷寺へ。何度か行った記憶があるのだが、あんなに仏像があるとは知らなかった。今まで何をみていたんだか。妻はすっかり忘れていたけど、実は結婚する前に一番最初に出かけたのが長谷寺。「紫陽花を見に行きませんか」と誘ったのを覚えている。まあそんなこと妻はなにも覚えちゃいない(笑)夕方、江ノ電に乗りながら海を見たいという妻の提案で、ちょうどいい頃合いに来た電車に乗り込んだものの、なんと反対方向。戻ってみたものの、すでに外は真っ暗になっていた。さて、鈴木夫妻は食べることが好きで、昨年も一緒に六本木のスペインレストランに行ったのだが、その時は席に案内されるまでに、なんだかファンタジーのような演出があって面白かった。今回の料理は出された料理の多くが和食と言われても通じるようなものが多かった。素材の出汁がきいているからかもしれない。どれも美味しくて、日本の風土にあったスペイン料理という感じ。11種類の料理に11種類のお酒がついてくるコースだったけど、ワインだけじゃなくて、リキュールも何種類か出てきた。6時半から食べ始めて、家にたどり着いたのは11時半過ぎだった。

写真展の苦い思い出

朝=鰹、温卵、納豆、海苔、味噌汁、白米/夜=鍋焼きうどん

2BChannelでお世話になっているふたりが、同時期に初の個展を開いた。ひとりは石井朋彦さん。GINZASIXと横浜そごうのライカストアで来年の3月7日までのロングラン展示。もうひとりは「写真学生」として何度も出てもらっている田辺知之さん。高円寺駅前のギャラリーで4日間だけの展示だった。

個展を一度経験すると、多くが後戻りできなくなる。僕も最初に個展をやった後は、その大変さに「二度とやるものか」と思っていたのに、半年も経つとムズムズと次のことを考えるようになった。個展をして儲かるなんてことは、ほぼないと言っていい。音楽なら入場料が取れるのに、写真展は基本無料だ。例外的に美術館は有料だけど、個人で行う展示では、余程のことがない限り、お金を取る事はないと言っていい。

僕は35歳の時に、会場費用はかからなかったけど、展示自体に100万円かけて大掛かりな個展をやったことがある。入場者は多分千人くらい。ひとり頭で割ってみると千円になる。その時に思ったのが、「何もない会場に僕がいるだけで、来た人に千円札を渡した方が面白いし喜ばれるんじゃないか?」ということだった。あ、いま思えば、これって現代アートだな(笑)

むろんお金が一番重要ではないわけで、それはわかるが、たった1週間の展示に100万円かけるって尋常じゃないなって、終わってから気がついたらというか。大金を投じたにもかかわらず、その後期待したほどの効果もなく、僕はちょっとだけ病んでしまった。プロモーションとしては大失敗。

アジアの島を回り出したのも、それが大きく影響していることにいま頃になって気がついた。島に行くことで次のことを考えられるようになったんだな。そしてそれは2000年に写真集『午後の最後の日射(ひざし)』になったのだ。

「FLOW」

朝=名古屋マリオットホテルでクラブハウスサンドイッチ/夜=親子丼、豆腐の味噌汁

2BChannelでお世話になっている石井朋彦さんの初個展が、GINZASIXライカと横浜そごうライカで23日から始まった(2023年11月23日〜2024年3月7日まで)。僕は会場の構成を手伝ったので、初日は一緒に在廊することにした。

まずは銀座へ。オープンと同時にびっくりするくらいの来場者がいて驚いた。そもそも初個展がライカって聞いたことない。石井さんは、映画プロデューサーでありながら、すっかり写真の人になっている。15時で銀座を離れ、横浜そごうに移動。1時間ほど、来てくれた方々に対応したあと、今度は一緒に名古屋に移動。新人アイドル並みのスケジュール。石井さんは映画のプロモーションで慣れっこらしいが。

名古屋での用事を済ませると石井さんは東京にトンボ帰り。僕は駅前のホテルに1泊して、翌日ギャラリー「FLOW」で北桂樹さんとトークイベント。来年の5月にそこで個展をすることになったので、下見を兼ねての来訪だった。トークイベントは平日の午前中にも関わらず、ギャラリーの椅子が足りなくなるほどのお客さんが来てくれた。

「FLOW」は3年前にできたばかりの若いギャラリー。オーナーの中澤さんは月曜日から木曜日までサラリーマンをして、週末の金土日だけギャラリーを開けるという、二重生活。3年間も。休日はない。

この話を聞いて、僕はこのギャラリーでやってみたいと思った。格式の高いギャラリーよりも、なんだか面白そうだ。それで、僕はイベントの中で中澤さんにある提案をした。「パリフォト目指しましょう」。

パリフォトは世界最大の写真フェアであり、出店したいと申し込んでも、厳しい審査ののち、事務局からの招待がなければ出ることはできない。最低5年の実績、扱っている作家の質、そしてこれまでの実績を問われる。パリフォトに出店できれば、それは一流ギャラリーと認められたと同じこと。日本からの出展費用は軽く見積もっても500万円。もちろんすぐには無理。でもギャラリーに関わる作家やファンやコレクターがみんなで「FLOWをパリフォトへ」と思うようになれば可能だと思う。まずはFLOWに集まる人たちと共にパリフォトを視察して、熱気に浮かれて「パリフォトにFLOWを送り込むぞ!」って思ってくれれば、実現に一歩近づいたことになる。

僕は以前、屋久島のフォトフェスティバルでそれに近い経験をしてきた。右も左もわからない状態で何かを作り出すのは面白い。だからFLOWが中澤さんがジタバタするのを見たい、僕もまたバタバタしたい(笑)。ロールプレイゲームのように仲間を集めてパリフォトを目指すのだ。