写真展の苦い思い出

朝=鰹、温卵、納豆、海苔、味噌汁、白米/夜=鍋焼きうどん

2BChannelでお世話になっているふたりが、同時期に初の個展を開いた。ひとりは石井朋彦さん。GINZASIXと横浜そごうのライカストアで来年の3月7日までのロングラン展示。もうひとりは「写真学生」として何度も出てもらっている田辺知之さん。高円寺駅前のギャラリーで4日間だけの展示だった。

個展を一度経験すると、多くが後戻りできなくなる。僕も最初に個展をやった後は、その大変さに「二度とやるものか」と思っていたのに、半年も経つとムズムズと次のことを考えるようになった。個展をして儲かるなんてことは、ほぼないと言っていい。音楽なら入場料が取れるのに、写真展は基本無料だ。例外的に美術館は有料だけど、個人で行う展示では、余程のことがない限り、お金を取る事はないと言っていい。

僕は35歳の時に、会場費用はかからなかったけど、展示自体に100万円かけて大掛かりな個展をやったことがある。入場者は多分千人くらい。ひとり頭で割ってみると千円になる。その時に思ったのが、「何もない会場に僕がいるだけで、来た人に千円札を渡した方が面白いし喜ばれるんじゃないか?」ということだった。あ、いま思えば、これって現代アートだな(笑)

むろんお金が一番重要ではないわけで、それはわかるが、たった1週間の展示に100万円かけるって尋常じゃないなって、終わってから気がついたらというか。大金を投じたにもかかわらず、その後期待したほどの効果もなく、僕はちょっとだけ病んでしまった。プロモーションとしては大失敗。

アジアの島を回り出したのも、それが大きく影響していることにいま頃になって気がついた。島に行くことで次のことを考えられるようになったんだな。そしてそれは2000年に写真集『午後の最後の日射(ひざし)』になったのだ。