先生

大学時代の恩師である女性教授が亡くなった。突然のことで驚いている。3,4年のゼミでお世話になり、偶然元アシスタントのTも先生についていた。

4月の末、アシTが事務所を離れる時、「先生に会いに学校に行きますけど一緒に行きませんか」と誘われたのだが、つまらない用事を理由に行かなかった。

その代わり自分の本を2冊持っていってもらうことにした。先生に会ってきたTは「お元気そうでした。渡部さんのことも覚えていましたよ」と言っていた。本のお礼にと先生が出版された写真集を頂いた。先生はポラロイドSX70の使い手で、僕が学生の時からだから、SX70の魅力を伝えてきた草分けと言える。

大学の先生であり、亡くなるまでずっと創作活動を続けていた。ゼミにおいて先生は生徒の写真をけなすことは一度もなかった。ただし、やる気のない写真はすぐにばれてしまう。ゼミの時は色んな写真集を見せてくれて写真の広がりを教えてくれた。

今、ワークショップで写真を伝える時のスタンスは、実は先生の授業から来ていることに気が付いた。

大学の近くに住んでいながら最後に先生に会ったのはもう10年以上前のことだ。本当に情けない学生だったから合わす顔がなかったのだ。

先生は今年退官だったと思う。先生はずっと先生でおられた。その役目を終えられたのだ。

葬儀は大きくしないで、というのが先生の希望だったそうだ。意に反することはしないでおこうと思う。

ただ先生を思い出すためにこの日記を書いた。