地方大学のコミュニケーション学科で「表現」をテーマにした講義をおこなってきた。
始まるまでは写真を軸に話そうと思っていたのだが、学生に「渡部さとるの名前を聞いたことある人いる?」と尋ねたら誰もいなかったので路線を一般論に変えることにした。
自己紹介の後にプロジェクターで「da.gasita」のスライドショーを見せた。その後それがどうやってできていったのかの経緯の説明。そして僕がどうやって生きてきたかを話した。
「僕は写真を通して世界(人)とつながっていこうと考えている。僕にとって写真家は職業ではなくて生き方だ」
後は自分がやってみてダイレクトに影響があった英語でのレジュメ制作の話をメインにした。要約すると「自分が何者であるかを知るのに、今までどうやって生きていたか、社会とどうやって繋がってきたかをまとめてみるといいよ。頭で考えていてもまとまらないから文章にするといいよ」ということ。
1時間話してから質疑応答の時間になった。「何か質問は?」とふっても僕のことを誰も知らないわけだから何もでてこない。これはしかたがない。
そこで目の前の学生に「大学では何をやっているの?」と聞いてみた。学生はびっくりした顔で「いえ、まだ・・・」「イラストレーターとかフォトショップ使って・・・」「webデザインを」「小説を書いています」。
自分に置き換えてみたら大学2年の時に「何をやっているの?」と聞かれても何も答えられなかっただろうな。でも自分は何者であるかを説明できるのは、どの世代においても大事なはず。
お疲れ様で今回呼んでくれた講師の先生と飲んでいたら一人の学生がやってきた。「皆を誘ったんですけど」。
彼はイベントの打ち合わせがあるからということで、店で蕎麦を食べると足早に去っていった。
話をしながら目の前の彼がうらやましくてならなかった。
「もう一度学生に戻してくれたら今度はちゃんと勉強します」って誰もが思うんだろうな。
ニヘイ君頑張ってね。