濡れたままのバライタ

朝=ホットサンド、トマトスープ/夜=手羽元スパイス焼き、ポテトサラダ、そら豆のソテー、サーモンキャベツ、無限卵、玄米、豆腐スープ

2B Channnelライブの動画は、音が低いというコメントが多いので、これからはライブ動画を再編集して切り出し動画を作ることにした。毎回写真集に付いて話しているので、それだけでも残しておく意味もありそうだし。1回のライブで2本くらい動画が作れるので、ライブを含めると週に3回くらいアップできるようになる。

夜7時、写真学生が「バライタ印画紙をフラットニングさせて欲しい」とやってきた。なのに印画紙は濡れたまま。今プリントし終わりましたという感じ。酸っぱい匂いがするから、まだ水洗もしてない。風呂場で40分くらい水洗、その後小一時間ガスファンヒーターを回して乾燥。その間、一緒に夕ご飯を食べながら待つ。写真学生は、今年も写真学生を続けるそうだ。今年は昨年と違うことを始めるみたいで、それをどうやって先生方にプレゼンするか相談されるが、答えはすでに自分の中にあった。

3枚のプリントのフラットニングが終わったのは11時過ぎ。雨の中、写真学生は高円寺へと帰っていった。

 

<2004年4月15日の日記から>

高円寺南口からすぐのところに写真専門のギャラリー「イルテンポ」がある。場所貸しではなく、企画展だけで運営しているギャラリーでオリジナルプリントを販売する日本でも数少ない専門ギャラリーだ。そこでは内外の質の高い作家の展示を見ることができる。京橋の「ツァイトフォトサロン」が国内の現代写真家を扱っているのに対し、イルテンポはモノクロを中心にした力のある作家が多い。
北井一夫「1990年代北京」の展示があるというので撮影帰り寄ってみた。北井さんの代表作「村へ」を高校生の時に『アサヒカメラ』でオンタイムで見ていた。また来月から僕が受講する写真ワークショップの講師の一人でもあるため、是非見ておきたかった。コントラストの低い「ネムメ」のプリントに戸惑う。「きちんと黒が出ているのが正しいプリント」と思い込んでいると肩透かしを食う。ところがずっと見ていると、柔らかいシャドーの出方に慣れてくる。むしろそのほうが見ていて疲れないことに気がつく。木の陰というのは、写真にするとやっかいなもので、コントラストが無用に付きやすく、その場で見たような陽射しの柔らかさを出すのは難しい。北井さんの写真には繰り返し木陰が出てきて、それが見事に描写されていた。写真集も同時発売されており、比べてみたら若干本のほうがコントラストが高く、スッキリしている。作品を見ていると北井氏本人が現れ、話しを聞くことができた。7年間中国に通い詰め、年5回20日の撮影行を5年間続け今回の発表になったそうだ。セレクトやプリントの話しなどを伺ったが、興味深かったのは、やはりカメラの話し。ずっと使っていたライカのズミルックス50ミリだと、どうも中国の黄砂が写るようで画面がザラザラする。それで初期の沈胴エルマーを使ってみたら、写りすぎずうまくいったとのことだった。写真集を買うつもりでいたのだが、エイトバイテンのオリジナルプリント付特別版(3万5千円)が100部限定であったのでそっちにした。今年の自分への誕生祝いである。写真を何にするか迷ったあげく、写真集の表紙と同じものにすることにした。「2B」に持ち帰りさっそく額装してみた。一枚の写真を飾ることで、印刷では味わうことのできない満足感を得ることができる。