ネコのごはんを注文する幸せというものがある

雨太郎はおくびょうだと聞かされていたが、確かに今のところおとなしい。

 

目をまん丸にしてゲージの隅っこからこちらを見ている。マンガみたいな表情だ。

 

雨をかばうようにいつも月子が前にいる。雨にさわろうとすると、やんわりペシっとこちらの手をたたき「さわるなら私を」と体を差し出してくる。

 

けなげな女にみえてきた。

 

昨晩ちょっとなれたかなと思ったが、今朝は「あなた誰?」って顔されて笑ってしまった。食欲はあるし、ふたりでいるからストレスも少ないだろう。僕にはまだ警戒モードだが、妻とはおもちゃで遊んでいる。

 

彼らがきて家のふんいきが変わった。「いる」ってすごいな。

 

 

雨と月

ネコがやってきた。

 

保護ネコボランティアの団体からゆずりうけた。しかも2匹。8か月の女の子と10か月の男の子。

 

娘は半休を取り、夜には友人が見にくる。大さわぎだ。

 

迎えるにあたって、家に慣れるまで保護先と一緒の環境になるようにと、3段式の大型ゲージも用意した。

 

男の子は雨太郎、女の子は月子と名前をつけた。最初のネコは小太郎、次が風太郎だったから、飼う前から次は「雨」がいいということになっていた。

 

昨年の9月に風太郎が死んでしまって、もう新しいネコを飼うことはないと思っていたが、30年もネコがいる生活だったからやっぱりいないとさびしい。ひと月もしないうちにもう一度飼うことをきめた。

 

2Bの引っ越しもすみ、ワークショップも始まっていろいろなことが落ちついたので、娘が譲渡会に参加して決めてきた。

 

でも、まさか2匹一緒に決めてくるとはね。

 

雨と月がやってきて新しい生活が始まる。1年前の4月にこんなことになるとはまったく思ってもいなかった。

 

だからもう先のことを心配するのはやめにした。1年先のことすらわからないのだから、10年後のことなど思いなやんでもしょうがないなと。今思うのは早く彼らがここに慣れてくれることだけ。

 

月がゲージを出てそーっと近づいてきた。鼻をヒクヒクさせている。雨はその後ろでかたまっている。

 

 

 

トレーナー曰く、股関節を使えていない歩き方です

57歳になった。朝鏡を見るとき疲れていたりすると「ああ、歳をとったなあ」と感じることがおおくなってきた。

 

ついに同年代の友人との話題に血圧と血糖値が加わってきた。

 

香港に行く前に左ヒザが痛くなった。疲れがたまるといつも左側がわるくなる。2週間くらいで良くなったのだが、なんか気になる。

 

ご近所さんに近くの整形外科を教えてもらったので、痛みはないが一度診てもらうことにした。レントゲンの結果、ヒザは骨がガサガサになっているとのことだった。

 

「加齢の影響ですね、痛みが強いならヒアルロン酸を注射しますが、なければリハビリで周囲の筋肉をつけてください」

 

ということで57歳にしてリハビリ開始。リハビリというとなんだから、専属トレーナーをつけると考えることにした。

 

初回、トレーナーに体をチェックしてもらうと、右目が悪いことをすぐに指摘された。体の左半分で生きている状態なんだと。だから左側にだけ負担がかかる。

 

右半身の筋肉の低下が著しくて「生活大変でしょう」と心配されるが、生まれつき右目がわるいもんだからそのバランスで生きてきたので気にしたことなかった。

 

筋肉のハリがないらしく「不摂生な生活で、砂糖をたくさん摂っているでしょ」と言われるが、むしろ逆で、ジムにも行ってますと言うと驚かれてしまった。

 

もともと体質的に筋肉がつかないタチで、学生時代にけっこう運動していたときも上半身はヒョロヒョロだった。最近は、うかつに痩せると筋肉まで減ってしまうので気をつけている。

 

色々問題ありの体のようで、しばらく通って筋肉をつけ体の左右のバランスが良くなるようにトレーニングすることになった。

 

こういう体の性質だから今の自分の思考が形作られているわけで、もし筋肉モリモリだったら違う思考になっていたんだろうな。

 

体のバランスが良くなれば、考えかたのバランスも良くなるはず。

 

今年のテーマは「身体(しんたい)」。リハビリを通して体のことを考えてみるというか、感じてみることにする。

 

実を言うと最初に見たときは「なんじゃこれ?」と思った

ギャラリー冬青の今月の展示はちょっと変わっている。

北桂樹写真展「AA+A」
2018年4月6日(金) - 4月28日(土)
11:00~19:00
日曜・月曜・祝日 休廊

http://www.tosei-sha.jp/TOSEI-NEW-HP/html/EXHIBITIONS/j_exhibitions.html

今週水曜日に「作家の頭の中見せます―本棚が語る作家の素顔―北桂樹編」に参加してきた。

これはもともと北さんが考えたもので、ギャラリーで展示する当月の作家が自分の本棚から好きな本をセレクトしてギャラリーに運び、みんなに見てもらうことで作家の背景を探ろうというものだ。もう6回目となり、僕も1月におこなった恒例となっている企画だ。

今回はほとんどが初めて見る本で、貴重なものばかりだった。写真集は、いわゆる名作じゃなくて、コンセプト重視のものばかり。北さんは「本を買うときには結果としてのクオリティはそんなに重要じゃなくて、それが持つコンセプトに共感できるかどうか」と言っていた。それは自分の作品作りにも大きく反映されている。

活字だと写真史や、現代アート論がほとんど。僕自身この企画を実際やってみたからわかるが、持ってくる本のセレクトには本当になやむ。それだけに残る本というのは自分のコアな部分だとおもう。

この本棚の企画は作家を知る大きな手がかりになる。

さて写真展タイトルの「AA+A」のAAとは単3乾電池のことだ。AAは世界中の90パーセントが使っている国際規格。これほど浸透している規格はめずらしい。誰もがその形から使用用途が理解できる。

そのパッケージデザインは、国によってメーカーが変われば当然変わってくる。世界中でAAは作られていて、お国柄のようなものがあるのかもしれない。

そのデザインを北さんが自分で作ったプログラムにより数カ国のAAデザインをオートマチックに変化させてひとつにまとめている。

このオートマチックというのが肝だ。トーマス・ルフの作品が好きだったり現代アートをよく見ている人なら理解できるだろうが、写真だけやっていると「こんなの写真じゃない」と言ってしまうかもしれない。

そういう人には「では写真ってなんですか?」と聞いてみたくなるけどね。

今回の北さんの写真は今までの冬青の展示とは大きく異なる。単3乾電池を被写体にしているが、出来上がった結果は単3乾電池の実態(イメージ)ではなくて、概念(コンセプト)。

アンディ・ウォーホルやトーマス・ルフを下敷きに構成されている。

「踏む」という行為がすべての根底にある。何を下敷きにするか、そこにどのように新しさを積み上げられるか。

もしこの日記を読んでいる人で「近頃の写真はちっともわからない」と感じている人がいれば、冬青に行って北さんからAAの制作過程を聞くといいとおもう。ギャラリーに問い合わせれば在廊日を教えてくれる。

話を聞くことでそのコンセプトが理解できて、面白いと感じたら写真集を買ってプリントを買うと、より理解できるはず。

世界はどのようなマーケットになっていて、若い作家はどのようなアプローチをするべきかを踏んでいる次世代の作家だ。

ここ数年彼の活動を間近に見ているだけに、今回の本棚イベントは面白かった。

ジム帰りにタコ焼き

家のレイアウトがワークショップ用になってしまった。

人が集まるからとエアコンも2機新しくしたし、A3エコタンクプリンターも買ってしまった。引っ越しもあったし、ここ数ヶ月の出費はえらいこっちゃ。

しかも来週にはネコが2匹もくる。つまりネコ付きワークショップとなるわけだよ。すごいコンテンツだ(笑)

それにしてもこの家は人があつまるのにちょうどよくできている。土曜日と日曜日の午前中は写真のワークショップだけど、夜は違うことに使おうとしている。

第一弾はウクレレ。5人くらい集まってウクレレ弾いてご飯を一緒に食べる。その道を極めたりしない。

友人が、そういうのを「お稽古」って言うのよと教えてくれた。仕事だけじゃなくて、家庭だけじゃなくて、集まってなにかをする。こういうのをコミニュティって言うんだろうな。

10年以上前にハービー山口さんから「僕はひとつの外国語と、ひとつの楽器ができたことで、人生が豊かになった」と聞かされてずっと心に残っていた。

ハービーさんの名前の由来はフルート奏者のハービーマンからきているのは有名な話で、ハービーさん自身もフルートを吹いている。それに70年代はロンドンに住んでいたから英語は堪能。

それがあったから英語を始めたというのも大きい。そして今年ようやく楽器にたどりついた。

英語もウクレレも趣味。まあ写真も同じようなもんだけどね。














 

「右」を写真に写すとすれば、、、

江古田から阿佐ヶ谷に場所を移して初めてのワークショップ。

実を言うとまだ手探り状態で、はっきりしたカリキュラムはない。初回は写真雑誌『IMA』の最新号と本年度の木村伊兵衛賞のふたりを引き合いに現在の写真の状況を説明していきながら、参加者が持参した写真を見ていった。

このへんは2Bとあまり変わりはない。ひとつ大きな違いと言えば宿題があること。iPhoneでも構わないから次回まで3枚写真を撮ってくる。

そのお題は「右」

なんでもいいから右だと思うものを撮ってきてもらう。右って左の存在なしに説明するのは難しい。男を説明するのに女を抜きに説明できないのと同じだ。

当然撮った写真に正解などない。どう撮るかというより、どう思考するかというゲームだ。これは京都の荻野さんから教えてもらった。

対話型美術鑑賞というのがあって、作家の意図や背景を抜きにして作品から感じるものをグループで話あうものに一度参加したことがある。

「作家の意図はこうでした」という正解を探るものではなくて、自由に発想して発言しあう。とはいえ、自由にというのが意外と難しい。へんなこと言ったら恥ずかしいという気持ちもある。

でも正解はないのだ。とっぴであればあるほど、対話はもりあがるし、他人の意見の面白さを受け入れることができる。MOMAがすすめているプログラムで、最近は学校や会社内でも行われているんだそうだ。

条件さえよければiPhoneと最新ミラーレス機の違いはほぼない。誰が撮っても写真は撮れる時代だ。テクニックはAI化がすすめばすぐに陳腐化する。そのときに必要なのはむしろ撮ることよりも、見る力のような気がしている。

100年前に「20世紀の文盲は写真を読めないことだ」と言ったのは誰だったっけ。そんな時代がきてるのかもね。

新しいワークショップでは新しいことをやってみようと思っている。

 

ジムトレーニングも再開 タンパク質を多く取らないと

香港から戻ったら季節が変わっていた。

今週末から始まるHの準備で、部屋の模様替えをしている。エアコンも2機新しくしなければならないし用意するものも多い。

もうひとつ、ネコの引き取りが決まって来週保護ネコボランティアの方の自宅訪問面接がある。そこでOKがでれば再来週にはやってくる。

しかも2匹。

7か月と8か月のオスとメス。娘がひとりで見に行って決めてきた。写真を見るとオスは白と黒、メスは三毛っぽい。名前はもう決まっている。

白川静の古代文字カレンダーによると4月の文字は「告」。新しいことを告げる月なんだそうだ。

香港ブックフェア

香港の夜。

深夜、中華料理からのスイーツ屋。いろいろ満たされた4日間。

アートブックフェアの冬青ブースは、昨年を大きく上回る過去最高の売り上げでみんな機嫌がいい。

高橋長以下フォトグラファーHAL、北桂樹、亀山仁、そして僕の4人が参加していた。冬青社が出店するのは4年連続。僕としては昨年台湾のブックフェアに参加したので香港は3回目になる。

持っていった本はすべて売れてすっきりした。自分の本を販売するのは疲れるけれど面白い。

アートバーゼル香港というアジア最大の現代アートフェアが同時期に開催している。それを見るのも香港行きの大きな目的になっている。

今世界中のトップギャラリーが何を売ろうとしているのか、どのような流れにあるのか。会場ではおお、とか、ああ、とか感嘆詞ばかり発している。

やっぱり写真作品が気になる。トーマス・ルフやシンディ・シャーマン、ロバート・メープルソープといった伝説級が並んでいる。ルフは1000万円、シャーマンは3000万円だった。

価格は公になっておらず、スタッフに聞くしかないのだが、一緒に行った高橋社長がいかにも作品を買うような感じでスラっと聞くものだから「こりゃお客さんに違いない」と丁寧に説明してくれる。奥の特別室に連れていって、ほんまもののお客様だけに見せる作品も見せてくれた。

横にいる僕は、お付きのもののように「彼は東京の有名な出版社の社長で美術品のコレクターです」と説明する。たしかに本当のことなのだが、言っていて照れてしまう。

シンディ・シャーマンの17枚組の小さな作品がすごくよくて、買ってしまいたくなる。残念ながらカードの限度額オーバー(笑)

香港には日本では想像もつかないビッグギャラリーもあって、一点数億円のものがさらっと売られている。価格を訪ねると「300万ドルです」と聞きなれない数字を言うので、思わず「いち、じゅう、ひゃく、せん、まん、じゅうまん、ひゃくまん、せんまん、いちおく」と指を折って数えてしまった。

出発直前に左ヒザが痛くなってどうなることかと思っていたが、かなり面白い旅になった。

 

 

 

 

釣り上げた真鯛をいただいたので煮付けと炊き込みご飯に

土曜日の2Bお別れ会の翌日は東大で受講していたAMSEAのl修了式だった。

修了証が手渡されると区切りがついた感じになった。修了特典として今年度の講義は自由に聴講できる

赤門前の一番餃子で打ち上げ。ナスの揚げ物と黒酢酢豚がおいしい。2B前にある三東餃子と似てる気がする。

月曜日は書家の友人が2Bの壁に古代文字を書いた。まっしろな壁に墨が垂れて、それがすごくいい。

壁には僕のモノクロ写真も数枚貼っていた。そこへ僕自身が大きな筆、というよりホウキで写真の上に墨をバサーっとかけてみた。壁の上から雨だれのように墨が落ちてきてプリントにかかる。ジャクソン・ポロックの気持ちがちょっとわかるね。

白と黒で構成されている写真に墨の黒が別の構成要素が予測不可能に加わる。

それをハッセルにモノクロフィルムで撮影する。寄ったり引いたり、偶然が作る墨の形はいくらでも撮れる。

その後も部屋中に書いた。大家さん公認だったが、中を見せたら苦笑いしていた。

部屋中墨で覆いつくされた2B。先月までワークショップをやっていたなんて想像もつかない。

その日僕は57歳になった。特別感満載で忘れられない日になったな。夜更けに2Bでケーキを食べた。幸せな誕生日。これで本当に最後。もう来ることはない。

ひとつ終わって、次が始まる。今週は香港に行く。

 

 

 

 

今朝はお赤飯とシジミの味噌汁

2Bのあるビルは3月31日で引き渡し。4月には解体が始まる。

土曜日は最後のイベントとして写真展「2B CONTINUE 」と、さよならパーティーだった。

ちなみに「to be continued 」と2Bをかけてあるのだが、あえてdを抜いてcontinue にしている。

暗室があった10畳ちょっとの部屋の壁すべてを600枚近い写真で埋め尽くした。もうこれは立派なインスタレーション。

14年9カ月に渡って撮られた2B関係の写真。懐かしさに溢れている。「記念写真とは撮った瞬間ではなく、あとで消費するもの」と常々言っていたが、まさにその通りだった。

2Bの部屋のレイアウトもどんどん変わっているのがわかる。僕の顔も変わっていく。自分で言うのもなんだか、昔は可愛かったなと思う(笑)

がらんとした2Bにシートをひいて花見のような宴会になった。桜の写真でも持って来ればよかったな。

たくさんの人がやってきて最後の2Bを楽しんだ。おかげでとても良い終わりかたができた。これ以上ない、満点だろう。

始めるのは勢いだから、ある意味簡単。でも終わるのは難しい。想像がつかないことだから。

いつも心のぉこかで「どうやって2Bを終わらせようか」と始めたときから考えていた気がする。

終わってしまう寂しさよりも、うまく終われたことの安堵感の方が今は大きい。

4月からは阿佐ヶ谷。Hはまだ募集します。よろしくお願いします。新しいこと始めます。

 

 

わさび菜のサラダ、手羽元と大根の煮物、厚揚げ納豆

新島に行けなくなったので、3日間の予定がなくなってしまった。

昨日は雨ふりだったので、家でずっとウクレレを弾いていた。友人が遊びにきて、高円寺の「インド富士子」というカレー屋さんに夕ご飯を食べに行く。友人は3日連続カレーだと言ってた。

キーマとチキンのダブル載せとホットラムチャイを注文。最近食べた中では一番おいしいカレーだった。妻が頼んだポークダルも辛くておいしい。

今日は妻が合羽橋に買い出しに行くというので荷物持ち。Hには夜の部があって、講座のあとにご飯を一緒に食べることにしている。そのための食器や調味料の調達だ。

ご飯って大事だから。

あれこれ買い込んでリュックがパンパンにふくれた。ついでだから浅草まで足を伸ばして「浪花屋」で焼きそばと鯛焼き。浅草寺はしだれ桜が満開だった。平日なのに観光客が多い。

ローライフレックスの2眼レフにローライキンを入れてモノクロ35ミリフィルムで撮ってみた。レンズが80ミリだからちょっと望遠になる。縦位置しか撮れない。いつもは正方形だから視点が変わって面白い。

家に帰るとソファに座りまたウクレレを3時間。ひさしぶりに趣味とよべるものができた。以前はバイクとかスキーとかキャンプが趣味だと言っていたこともあったが、ここしばらくはなかった。

もっとも写真がが趣味みたいなもので、仕事なんだか遊びなんだか区別がつかない。

そこへふってわいたようなマイブーム到来。

ウクレレをやっている間はネットも見ないし、ほかのことはまったく考えない。集中はするが、リラックスできる。

いまはカメラ屋よりも楽器店に行きたくてしょうがない。いいウクレレってどんな感じなんだろう。このあたりはカメラも楽器も同じ指向性だな。