11日は軽井沢でWS

朝=ホタテ出汁の雑炊/夜=とうもろこしの出汁豆腐、親子丼、唐揚げ、味噌汁

目黒の「ふげん社」に石川竜一さんの展示を見に行って来た。先月末、沖縄の石川さんのアトリエに訪れる予定だったが、同行者との予定が合わず中止になってしまっていた。今回ふげん社での展示のため、石川さんが東京に来ていたので、会いに行ったのだ。残念ながらインタビューの時間はとれなかったけど、ちょっとだけ話ができた。

会場には石川さんのファンがたくさん来ていて、最新刊の『z k』にサインをもらっていた。そのうちのひとりが石川さんに「仕事を辞めたばかりで今後どうしようか悩んでいる」と人生相談を持ちかけた。それに対して石川さんはじっと考え込んで、言葉をひとつひとつ絞り出していた。「僕はこう生きてきた」と言う話だから、誰にでも当てはまることではないのだけど、思わず聞き入ってしまう。たまたま横にいた僕にとっても素晴らしいものだったから、その人にはそれ以上だったろう。次回、石川さんに「2B Channel」に出ていただく時には「石川竜一に聞く人生相談」と言うのをやってみたい。仕事も人生も、全部写真に関わっているからこそ、人生相談の中に石川さんの写真に対する考え方が出てくる気がする。

「2B Channel」は水曜日にライブ配信をして、週末にインタビュー動画をアップするというサイクルになって来ている。現在進行中なのは造本家の町口景(ひかり)さんのインタビューで、これは三部作になっている。そのほか、今週末は石井朋彦さんと「日本の写真賞」について、そして北桂樹さんには「ギャラリー、コレクター、写真家」の関係について聞いている。すでに1ヶ月分のストックがあるので心穏やか。8月はそのほかに、石川武さん、そして女性の写真系Youtuberのみなみさんにも出てもらうことになっている。先月の萩庭桂太さんとの対談では、大きな反響があって、そのフォローとして8月19日の土曜日にはふたりでライブ配信することになっている。

というわけで、2Bスタジオの機材は順調に増えていって、かなり揃ってきた。これで終わりということはないけど、だいぶ落ち着いて来た感じはする。と、数年前も思っていたけどね(笑)。

<2021年8月10日の日記から>

八戸オンラインワークショップ。本田夫妻を迎えて3時間、30人の視聴者と9人のレビュー参加者で行った。目の前に誰かいるだけで、気持ちが落ち着く。いつも2BChannelでひとりで配信でいるのとまったく違った。レビューの中で子供が撮った写真があったのだが、これがものすごくいい。こんな風に撮れたらいいなと本気で思わせる。コンテストなんかで小学校、中学校、高校生の部があると間違いなく小学生の写真がいい。中学校になると、見られることを意識し始めて、高校生は女子はマクロに、男子は望遠で部分を切り取るようになるからつまらなくなる。土門拳は「モチーフとカメラの一致」を強調しているが小学生の写真はまさにそれ。「写真は教育できない」と田中長徳さんがずっと言っているが、そういうことかもしれない。

<2012年8月10日の日記から>

近ごろ印画紙類はアメリカのFreeStyleから買っている。日本では手に入らない印画紙や薬品が豊富に在庫しているのが魅力だ。使っているADOXという印画紙はここでしか手に入らない。しかも早ければ中2日で届く。以前は「ヨドバシカメラより早い」と驚いていたら、近ごろヨドバシは即日配送になった。午前中に頼むと午後に届いたりする。しかも配送料無料。Amazonへの対抗だろうが、これで通販の敷居がとても低くなった。なんでもかんでも通販になってお店に行かなくなってしまった。写真展だけはネットで済ませられるわけもないので出かけるしかない。東京都写真美術館で田村彰英「夢の光」。戦後生まれの天才のひとりだ。なんだか久しぶりに写真を見た実感というか満足感がある展示だった。見ていて思ったのは「まずは写真ありき」という田村さんのスタンス。多種多様なものを撮っている。面白いのはすべての写真にカメラやレンズといった機材名が記してある。通常は「ゼラチンシルバープリント」とか「Cタイププリント}というようにプリントタイプだけが書いてあるものだ。美術館展示で機材名があるのを見たのは初めてだ。「何で撮ったか」を大事にするのは田村さんらしい。僕らの世代は、ずっと田村さんの世代の背中を見てきた。だからその足跡を一堂に見ることのできる展示はとてもうれしい。前回は川内倫子だったし、次回は繰上和美、12月は北井さんだ。今年の都写美は面白い。