ポートレートのエネルギー

朝 出汁茶漬け

昼 「古陶里」のポークソテー

夜 チキンと厚揚げのタイ風炒め、野菜の玄米パスタ

2BChannnelでは「エモい写真」の人として知られている渡邊浩行さんから「益子に髙橋恭司さんの写真展を見に行きましょう」と誘われた。栃木県の益子まで車で3時間近くかかる。お昼に益子に着くと「高橋恭司さんのお父さんがやっている洋食屋で食べましょう」ということで、益子郵便局近くのお店に入る。「恭司さんの生まれ育ったこの益子からカラーが作られているんです」と逐一細かい説明を受ける。渡邊さんが高橋恭司に関する情報を仕入れた後、写真展会場の益子陶芸美術館に向かう。

「益子人 高橋恭司が撮る益子に暮らす500人の肖像」

高橋恭司が益子に暮らす500人の人々の顔のアップのポートレートが10センチ角の小さなプリントでランダムに並んでいる。500人ともなると量の面白さが出てくる。そっけなく撮っているのだが、僕も人物を撮ることが多いので、どんな感じで撮っているのか想像がついて面白い。その会場には498人分が展示されていて、残りの2点は近くの旧濵田庄司邸に展示してあるというので、その古民家に行くと、180センチ幅に伸ばされた若い女性と年老いた女性の肖像が裏表で展示されていた。「ああ、これを見に来られてよかった、益子に来た甲斐があった」と言うと渡邊さんも頷いていた。

良いポートレートは発光体というか、エネルギーを感じる。背景のボケがきれいだとか、肌の描写がいいとか、一般的に言われるポートレートセオリーに、今回見たものは全く当てはまらないが、清々しい気持ちになれた。

 

<2005年10月22日の日記から>

重慶

杭州でローカル便に乗り継いで8時間、ようやく重慶まで来たのに雨。空が重い。もっとも重慶は工業都市ゆえ煤煙がすごく、すっきり青空の日はとても少ないそうだ。人口は市全体で3000万人以上、面積は北海道よりちょっと小さいくらい。「重慶でデモが… 」と言っても住んでいると遠くの出来事のように感じると言っていた。稚内でおきたことを札幌の人に聞くようなものだ。初日の夕食は、着くのが遅かったのでホテルの中華にした。調子に乗って「スパイシーチキン」などと言ったら唐辛子の山に埋もれた鳥の揚げ物が出てきた。唐辛子をよけて食べる。知らずに山椒をかじると舌が痺れる。半分でギブアップした。牛スジのソバも辛い。ラー油に麺が浮いている感じだ。やっぱり山椒が効いている。胃が驚いて冷たい汗をかく。さすが四川の本場だ。

翌日から3日間、重慶はずっと雨だった。最後の撮影が終わりホテルに戻ってから自由時間となった。地図もなにもないのでとりあえずホテルの周りをうろついてみた。大きなビルの陰に坂道になっている路地が目に付く。その中の1本をおじいさんの後をつけるように入ってみた。細くて暗い曲がりくねった路地をビクビクしながら歩いた。奥に入ると路地伝いには間口一間ほどの小さな店がびっしりと軒を並べている。食堂、屋台、パーマ屋、雀荘、雑貨屋、ビリヤード…

映画のセットのような光景だ。夕暮れ時で子供たちがしゃがんでご飯をかきこんでいる。5分も歩いたら別の大通りに出た。道が分からなくなってしまうのでまた来た道をゆっくり折り返す。出口付近には屋台が集まっていた。今日の夕食はその中の麺のお店で食べることにした。お店のおばちゃんに平打ちの麺を指差す。おばちゃんは指を立てて「イー?リャン?」と聞いてくる。麺の量を聞いているのだ。迷わず「リャン」トッピングはザーサイ。辛い、けれど美味い。頭から汗をかきながら食べた。目の前に小さな餃子が並んでいる。これも頼んでみる。茹でた餃子は噛むと汁が飛び出してくる。麺の中に入れてもおいしい。海外に行って一番幸せを感じるのが屋台でのご飯だ。麺と餃子で5元。日本円で80円だった。

重慶の町を歩いていると活気があって中国の今を感じることができる。隙間さえあれば誰でもどこでも商売を始める感じだ。中国の諺で「明日良くなる」というのがあったが明日に希望を抱ける彼らがまぶしく見える。