朝=2度目の暗殺者のパスタ/夜=豚の冷シャブと野菜、冷豆腐のモロヘイヤ和え、ポテトサラダ、白米、味噌汁
「暗殺者のパスタ」というのは、トマトソースの普通のパスタなのだが、麺を茹でる前にフライパンで焦げ目を作る。そこからフライパンの中に水を入れてソースと一緒に煮詰めていくから味が濃くて美味しいものができる。というのをYoutubeでやっていたので作ってみた。今回で2回目だが癖になる味。それにしても、「夏ってこんなに暑かったか!?」と、ここ毎年思う。暑いのは嫌いじゃないが、限度ってものがあるだろう。間違いなく南の島よりも東京の方が暑い。今週末は八戸、月末は沖縄、来月は軽井沢なので体力温存しておかないと。
会う人会う人に「受賞おめでとうとう」と言ってもらえて、少々照れくさいが嬉しい。「賞は10年前に欲しかった」と書いたけど、今でちょうどよかったんじゃないかと思う。「2Bchannel」に出演してくれた人が喜んでくれるのが、自分にとって一番嬉しい。現在公開中の新田樹さんのインタビュー動画の反響がすごい。視聴数も最近では一番だが、何より寄せられたコメントの量が今までで一番多く、そして温かい。2度の収録ミスから生まれたことを考えると、これは必然だったんじゃないかと思えるくらいだ。視聴していただいている皆様、ありがとうございます。そしてコメントをくださった方々にも感謝です。「2BChannel」が、メディアであると胸を張れるものになってきたようで、それが本当にありがたい。
編集を手がけている写真集のタイトルが決まった。二転三転、だんだんと当初のイメージからズレていって、言葉遊びになってしまっていたが、今日の打ち合わせでピッタと収まるものが見つかった。そのことで全てのピースがピタッと音を立ててはまった感じがしてスッキリした。
<2021年7月12日の日記から>
先週『シンエバンゲリオン』を見てからずっと気になって、ネット配信で観れる旧作のエヴァは全て見た。ついでに第一作となる『海からきたナディア』や『シンゴジラ』も。解説動画(中田敦彦のものは4時間もあった)も見て、おおよその世界観がわかった。これでもう一度見に行ったらどう感じるのだろう。1995年に始まった『新世紀エヴァンゲリオン』から見ている世代には、特別なアニメなんだろうなということがよくわかった。映画見に行ってよかった。これを逃していたら一生関わることはなかったはず。僕に新しい「推し」ができた。安野秀明は1960年生まれ、同世代の監督が作るものをこれからも見ていくことができる幸せを手に入れたことになる。同じようなことを編集者でありライターの渡邊浩行さんが言っていた。2Bchannelの「プリントを買う」という回で、渡邊さんが「同世代の作家プリントを買うことで、彼と時代を並走できる」と言っていた。彼の言葉で、僕もまったく同じ思いでプリントを買っていたのに気が付いた。そして今回、そこにもうひとり増えたわけだ。次回作が『シン仮面ライダー』に『シンウルトラマン』。これって1960年代生まれのものにとって、たまらないコンテンツだよなあ。
<2016年7月12日の日記から>
帰国。朝4時に目がさめた。パリに戻った日はサッカーユーロ2016決勝でフランス対ポルトガルだった。その日は早めにホテルに戻り、惣菜とワインを買い込んでホテルでテレビ観戦することにした。時おり窓の外から歓声が聞こえる。そして落胆の声が。帰国便が夜の11時だったので、翌朝は優雅にガルドリヨン駅構内の老舗レストラン「ル・トラン・ブルー」で食べた。ここは内装が素晴らしい。映画にもよく使われている場所だ。ミスタービーンのシリーズで、このレストランを舞台にした短編があるが最高に面白い。オムレツとベーコン、パンとコーヒーで2000円くらい。お昼からはポンピドーへ。昨年はオルセーだったから時代性で言えばその続きという感じ。エスカレーターで最上階まで登り特別展へ。むき出しのパイプ状の建物からはパリ市内が一望できる。こういうところでまず盛り上がれる。今回の企画展は「パウル・クレー」と「Beat Generation」。ヨーロッパ1920年代とアメリカ1950年代だ。ジャックケルアックの「On The Road」を中心にギンズバーグやロバートフランクの写真が並ぶ。ケルアックのタイプライターやテープレコーダー、そして伝説の「On The Road」生原稿が古文書のように展示してあった。アメリカを移動しながらタイプライターで書くのに、紙の入れ替えが面倒だからと最初にテープで紙をとめて巻物にして書いたものだ。アメリカ文学のバイブルみたいなものだ。ギンズバーグの詩の朗読があったり、8ミリ映画があったりと立体的な構成になっている。ロバートフランクの「The Americans」オリジナルプリントはやっぱり凄い。ケルアックとその友人達の行動が戦後アメリカの思想や文化に大きく影響しているのが見える。パウルクレーは、昔「彫刻の森美術館」で見た覚えがあるが、時代の流れを把握してから見るのは初めて。ピカソとの交流やバウハウスの時代、ヒットラーの台頭による芸術家の弾圧など、作品が時代とともに変わっていく様子が現れている。ヒットラー時代の彼の絵は、かなり精神的に追い詰められてきて、それまでの柔らかさから一変して暗くて重いものになっていく。アートが時代性を孕む、アートを見れば時代が分かるというのを実感する。ふたつの展示でたっぷり2時間以上使ってしまって、常設展は駆け足になってしまった。それでもピカソ、マチス、ブラック、レジェから始まって、これでもかと作品が並ぶ。一作家数点とかじゃなくて、個展レベルの量。初めてジャクソン・ポロック大型作品も目前数センチで見ることができた。企画展ふたつと常設展合わせて14ユーロ。1500円。パリはルーブル、オルセー、ポンピドーを回ればアートの歴史と流れがどうなっているか一目瞭然で分かる仕組みになっている。ヨーロッパでアートの話をすると必ず文脈の話になるが、ベースになっているものが連綿と残っているからこそだ。3年前に現代アートと写真の関係についてこの日記で書いたのがすべての始まりだが、ようやく知識と経験が輪になって繋がってきた想いだ。