デジタルモノクローム

朝=カフェでパニーニとコーヒー/夜=いなり寿司、鯖寿司、煮麺

今週末からの八戸ワークショップの準備。呼んでもらうのは、これで4回目になる。メーカーとか自治体じゃなくて、八戸在住のカメラマン向田さん個人の開催で続いている。今回のワークショップでは「モノクロで撮ってみよう」という回があるので、僕のモノクロプリントも持って行って、参加者に見てもらう予定だ。それと撮影実習もあるので、その時に使う用に、リコーからペンタックスK3モノクロームを借りてきた。

一眼レフのデジタルカメラだけど、カラーフィルターが張り込まれていない素のままのセンサーを積んでいるので、モノクロ画像しか作れない。通常のデジタルカメラでも、モノクロームは撮れるのだけど、それはカメラ内処理で色情報をなくしているだけ。K3モノクロームは、カラーフィルターがないから純粋なモノクロ画像になる。でも両者を比べてみたらその差はわからないかもね。試し撮りをして、いくつかのファイルをインスタにあげているので、興味のある方はそちらへどうそ。

モノクローム機を使っていると、フィルム時代のようにモノクロフィルムを詰めた気分になれる。だから見るものが変わってくる。「モノクロの目」になるわけだ。そしてミラーレスにはなくて一眼レフであることのメリットに、触っているうちに気がついた。その話は八戸から帰ってから。

<2021年7月13日の日記から>

江東区区民センターでやっている「エイトバイテン展」に顔を出す。この展示には僕のワークショップ「2B&H」に参加した人も多くいる。見に来てくれた人の中にも、ちらほらと「2B&H」の人たちがいて、ついつい話し込む。彼らは社会人で写真を趣味にしているわけだが、中には個展を開いたり、写真集を出版したり、国内外のコンペで賞を取ったりと、その活動に刺激を受けることが多い。16年もワークショップを続けてこれたのは彼らのおかげ。よく「最近はワークショップやっているんですか」と聞かれるのだが、コロナ禍となり昨年4月以来中止したまま再開の目処は立っていない。来年にはなんとかしたいのだが。そのかわり新しい試みとして、11月にやるルデコグループ展の学生限定枠に16名が集まったので、4月から彼らとオンライン講義と個人面談のワークショップをやっている。でも、授業ではないから参加している学生に温度差がある。というか3分の2は音信不通状態(笑)。こちらもまったく矯正はしていないのだが、最初の顔合わせ以来、一度も顔を見ていないのが多くいる。毎週水曜日の21時からは全体向けのzoom講義、土日はzoomと対面の講座のために時間を作っているのだが、顔を出す学生はいつも同じ。やっている方としては顔を出してくれる彼らに救われている感じがある。「オンライン中心だからかなあ」と思うことはあるが、一度だけ北海道の方々を中心に、6回連続でやったzoomオンライン写真講座は盛り上がったし、その経験から学生相手をやろうと思ったのだが。まあ11月の展示が近くにれば、駆け込みで来るんだろうな。学生の頃、僕もそうだったもんな。なんであの時もっと先生と話をしなかったんだろう? 自分のやり方にこだわって、人の意見を聞くのが嫌だったんだよなあ。今の学生だって同じなんだよな。でも、やっていて思ったのだが、僕が彼らを変えることはできないけど、彼らによって自分が変っていくのは強く感じる。

<2012年7月13日の日記から>

友人の別荘に行ってきた。本人は「アトリエ」と称しているが、あきらかに別荘だ。森の中の小川に囲まれていて、夜には蛍が飛んでいる。ウッドデッキに椅子をだし、日暮れから飲んだ。彼とは同じころにフリーカメラマンとなり、ほぼ同時に結婚し、競うように外車を買って、そして同じようにカメラマンとしてのキャリアを積んでいった。絵にかいたような貧乏カメラマンからの「成り上がりの友」なのだ。もうこの年になると、何を買ったとか、何の仕事をしたとかはどうでもよくなってきて、くだらない、どうでもいいような話で何時間も飲んでいた。蒼穹舎で染谷學写真展「道の記」をやっている。6X6と35ミリのモノクロ。ああ、もう自分なんて消えてなくなりたいと思った。蒸し暑い日なのになんだか冷たい汗が出る。見なきゃよかったと思う自分と、見れてよかったという自分が両方いる。片方は写真を撮る自分で、片方は写真好きな自分。またしてもサリエリの気持ちが分かてしまった。