「4月らしさ」

朝 ベーグルのバインミー、ベトナム風豆スープ

夜 粗食(野沢菜茶漬けにカレーとチーズのトッピング)

 


今日も学生がひとりやってきた。学内選抜展に出すためのブックの見本を見せて精也もらう。ローカル線での車内スナップ。国内の路線をくまなく乗って写真を撮っていて、何冊も自分で本を作り販売もしている。作品を見ていると、どうしても鉄道写真の第一人者中井精也さんの写真と比較してしまう。

学生の行動力や写真は、それ自体素晴らしいのだが、問題はどうやったら中井精也さんと勝負できるか。クオリティの差は簡単には縮まることはないから、アプローチを変える必要がありそうだ。

それが簡単にわかったら苦労はないわけだが、中井さんは、それまでの鉄道写真とはまったく異なるアプローチで世の中に出てきた。早稲田の鉄道研究会の頃から、中井さんの写真は異彩を放っていたそうだ。他の部員がどうやって車体全体をきれいに見せるかを競っている時に、とんでもない視点から列車を撮っていた。

 


最近来た学生に、いま学校でどういった授業をしているか聞いたら、お題が出されてそれに合った写真を撮ってくるというものだった。

たとえば「4月らしさ」。これに対してある女子は「4月は芽吹きとか、色で言うならピンク」と話していた。

僕が米沢に住んでいた40年前は、4月でもまだ日陰に雪が残っていたし、植物はまだ葉もつけず、桜が咲くのも田んぼに苗木植えられるのも5月になってからで、色で例えるなら薄い茶色。

その話をすると驚いていた。

「自分にとっての4月らしさ」であるなら発想は自由だけど、それだけだと感覚に依存することになるから、まずは「4月」ってどういうものか調べることから初めて「4月というものを調べてみたら、こういう調査結果が出てきたので、それを踏まえてこういう写真を撮りました」っていうと、他の学生より一歩先をいけるよとアドレスした。これってビジネスでは当たり前のことだ。

 


彼らにしてみたら、「オヤジ、ウッセーわ」って思ってるんだろうなと思いつつも、これが後々、ほんのちょっとでも役に立ってくれたらなと思う。

 


今年で最後になる「キヤノン新世紀」、僕の「ワークショップH」の中からふたりが応募することになった。去年のルデコグループ展でのふたりの展示を見てから、新世紀に出すことを強く勧めていた。

5月末の締め切りに向けて現在最終調整中。どうなるか楽しみだ。今年で最後の新世紀だから競争率も注目度も高いだろうが、十分いけると思っている。