今日は46歳の誕生日。
昨日ワークショップで田中長徳氏を迎えてビューイングを行った。1982年にニューヨークで撮られたエイトバイテンカメラでの作品を中心にカメラの話ではなく写真の話を伺った。
漂流者が田中長徳氏から購入した1982年に撮られて今年プリントされた10枚の写真と、僕が6年前に購入した1982年当時の5枚のプリントを比較してみた。
同じネガなのにまるで違うものに見える。印画紙の違いが作品性まで変えてしまうのだ。1982年当時お金がなかった長徳さんは期限切れのアグファの印画紙を安く大量に購入する。それは「エクストラハード」の高いコントラストの印画紙だった。ハイライトの描写が美しく、ドライな印象を受ける。
今年再プリントされたものはイルフォードのバライタ印画紙にプリントされている。トーンが重めの中間調を重視したプリントになっていた。
どちらがいいと言うわけではない。25年の間に作者の思いと、印画紙が変わったということだ。以前と同じものを作る必要はどこにもない。
1時間半という約束ははるかにオーバーし、3時間たっぷり「写真について」話してもらい、その後居酒屋で続きまであった。
話を聞いていると長徳さんの歩んできた道の華やかさに驚いてしまう。長徳さんの同年代の写真家が口を揃えて「あいつはすごかった」というのが理解できる。
しかし、問題がひとつ。長徳さんは、本気で僕のことを同年代かちょっと下の年齢だと思っていたようなのだ。近頃団塊の世代の写真家からそう思われていることにうすうす気づいていた。
この際、言っておきたい。僕は今年46歳だ。