もう一度、手塚治虫の『ブッダ』を読みたくなった

朝 バゲットのバインミー、野菜スープ

夜 野菜の餡かけパスタ、リンゴとセロリのサラダ

ルデコウィークで2週間お休みしていた美術史講座の配信。12回目は「宗教」。つい熱が入っていつもより時間が押してしまった。

宗教は美術に大きな影響を与えている。僕が最初に宗教に興味を持ったのは日本神話で、ステートメントに使ってやろうという下心があった。古事記を読み始めた頃にちょうど式年遷宮ブームもあって伊勢、出雲、熊野と足を運んだ。神道をやっていると仏教が気になってくる。加えて、母親が亡くなった時のお寺の対応に憤りを感じていたので、「そもそも仏教を始めた釈迦はどんな人だ?」ということが気になった。そこで最初に読んだのが手塚治虫の漫画『ブッダ』。これは3回読み直した。この物語は古びない面白さがある。『火の鳥』と同じくらい面白い。そこから仏教関連の本を読み進めていった。そしてユダヤ教、キリスト教、イスラム教にも手を伸ばしていくうちに、すっかり宗教の勉強にはまり込んだ。実は美術史を本格的にやるきっかけになったのも宗教を知ったから。世界情勢のほとんどに宗教が絡んでいて、当然のように美術にも大きな影響を及ぼしていた。

最近宗教と哲学の必要性を説く人が増えてきた。僕も山口周や佐藤優の本を読んでいる。宗教も哲学も長いこと苦手だと敬遠していたものだが、やってみたら面白い、というか実生活に役に立つ。僕が今プレゼンをするときのベースになっている。何しろ2000年以上ずっと考え続けられていることが裏付けになっているので説得力がある。そしていろいろな人と会話をする時にも役に立っている。最近写真以外の専門家とも話が弾む。つまり質問ができるのだ。何よりこの知識はアップデートしやすいのがいい。

<2007年12月6日の日記から>

松前蟹が送られてきた。まだ生きている。

パリのビエンナーレから帰って1ヶ月になるのに未だに社会復帰できずにボヤボヤしている。たいしてやることもないので毎日早帰りして晩御飯を作っている。
昨日は久しぶりにバライタプリント。フォコマート2cを使うのは久しぶり。いざスイッチを入れたら電球が切れていた。予備球があってよかった。注文された3枚のプリントを焼く。1枚は先日コニカミノルタで個展をやった竹下太郎が注文してくれたものだ。彼は初めての個展でプリントを30枚販売するという、今まで聞いたこともないようなことをやってのけた。当初ギャラリー側からは「どうせ売れないよ」と言われていたらしい。もっとも、そう思うのが普通だが。
彼は個展成功の記念に僕のプリントを買ってくれたのだ。イメージはケ・ブランリー美術館お買い上げのものと一緒のda.gasitaシリーズの1枚だった。

今日パリからメールがあって「あなたの作品をパリで見ました。とてもよかったので作品を買いたい」美術関係者ではなくて一般の人のようだ。米沢の中の一点をクリスマスプレゼントに欲しいということだった。海外ではクリスマスプレゼントに絵や写真を送る習慣があると聞いたことがあったが本当なんだ。パリの展示でこういった直接的な効果があるとは思わなかった。
竹内万里子ビューイングを受けた休日郎がその心境を語っている。 http://iq3.cocolog-nifty.com/kagami/2007/12/post_48a4.html#
彼とは一緒にアルルにいってレビューも一緒に受けた。彼がアルルで言われた「Subjectを撮れ」とはいったいなんなのかを僕もずっと考えていた。それが竹内さんの言葉で氷解する思いだった。日本語でしか理解できそうにない哲学すら含んだものだった。彼はアルルで出された宿題を日本で解いた。もし宿題を出されなかったら、竹内さんの言葉の10パーセントも理解できなかっただろう。半年間ずっとSubjectについて考えていたからこそ竹内さんの言葉が入ってきたのだ。おおげさではなく、アルルは彼にとって人生において大事な出来事だったというのが、半年たって分かった。