冬青から「なんか渡部さんの写真集"prana"を見たというドイツの出版社だかブックショップだかがギャラリーに来るって連絡があったんだけど知ってる?」
知らないな、アルルでも会ってないよな?
時間があったので冬青に行ってみることにした。やってきたドイツ人はやっぱり知らない人で、なんで僕の写真集を知ったのかも分からない。
彼が言うには「数ヶ月前に冬青から出ているグレーと茶色の写真集を手に入れた」ということだった。
グレーの写真集というのはどうやら"prana"のことのようだ。彼はもともと実業が他にある写真集とプリントのコレクターで、それが高じてベルリンに出版社を立ち上げ、ブックショップとギャラリーを作ってしまったそうだ。
ギャラリーの大きさは天井高も広さも冬青の2倍はあると写真を見せてくれた。なんか立派。
モノクロ写真が好みで、特に日本の写真が大好き。ドイツ有数の日本写真集のコレクターでもあるという。
最近ヨーロッパで高梨豊氏が人気が出ているが、それは彼の作った写真集がきっかけだったらしい。
ふーん、と思って見ていると、彼は冬青の写真集の本棚に向かい一冊一冊手にとっては「これ2冊、これは3冊、これは2冊」とどんどん買っていく。
どうやら日本の写真集の買い付けに来ているらしく、冬青に来るまでかなりの量の日本の写真集を購入してきたそうだ。
"prana"は3冊、"da.gasita"は2冊買ってもらったようだが、実は"da.gasita"は残部僅少のため8000円になっているのだ。スタッフがそれを告げても「大丈夫」。
棚の上から下まで冬青から出ている写真集を全部見ていった。100冊以上買ったんじゃないだろうか。中には5万円もするオリジナルプリント付きの写真集も2冊含まれいる。
会計している間世間話をしていると突然「ベルリンでやってみる気がある?」
エッ?
「来年僕のギャラリーでやってみないか」
返事の代わりに思わず手を差し出した。で、握手でニッコリ。
とりあえず9月のシカゴアートフェアに数枚出して様子をみることになった。パリフォトにもブースを持つらしい。
うーん思わぬ展開。