好き嫌いは情報量の差

朝 豆とヨーグルト

昼 べーグル、サラダ、トマトスープ

夜 キャベツと切り昆布のサラダ、牛肉のチャプチェ、ご飯、具沢山の味噌汁

 

学生に「どんな写真家が好き?」と聞くと必ず上がる名前が「奥山由之」

奥山由之は現在30歳、「ポカリスエット」のTVCMの撮影や米津 玄師、星野源のミュージックビデオ、CDジャケットなど映像全般で今もっとも注目されているクリエイターだ。

写真集はすでに13冊出版されていて、代表作『Bacon Ice-cream』は講談社出版文化賞を受賞、2016年には同写真集で木村伊兵衛賞に最終ノミネートされている。

 

僕も『Bacon Ice-cream』を見ていたが日常を「写ルンです」で撮った、なんとなくエモい写真だよね、と解釈して分かったような気になっていた。どちらかと言えば好きではない。「なんかうまくやっているよね」という印象でしかなかった。

それが2018年にキヤノン品川Sギャラリーで行われた「白い光」の展示を見に行った時、ちょっと彼に対する見方が変わった。そして学生が持ってきた『Bacon Ice-cream』を彼らと一緒に見ているうちに、奥山由之の写真がどんどん違うものに見えてきた。

すぐに写真集を注文してじっくり見ていった。


写真を言語化することなく、一切のつながりを絶って断片化する。断定することなく曖昧。コントラストが高い表現は黒が漆黒でハイライトは限りなく透明。

何度も見直すうちに、これが森山大道が1982年に出した写真集『光と影』のカラー版に見えてきた。

僕が学生時代に抱いていた写真の面白さがそのまま『Bacon Ice-cream』にある。学生たちがこぞって奥山由之を好きなのが分かる気がする。それは僕らが森山大道に憧れるようなものなのだろう。そこに写真の面白さのひとつの解があるのかもしれない。

 

それに気づいてから彼のインタビューを探して読んでみた。すると彼は写真の魅力を「物事の見え方を断定しない」「場所や時間、媒体によって同じ写真でも感じ方が変化する写真」など刺激的なことを自分言葉で語っている。

そして映像は、中学生の頃に人形を粘土で作ってコマ撮りする「クレイアニメ」を3年間取り続け、高校生の時は自主制作映画でグランプリを撮っている。実は写真よりも映像のキャリアが長い。

 

そうやって彼のことを知っていくうちにファンになってしまった。「好き嫌いは情報量の差」ということなのかもしれない。