5000円が1500万円に!

朝 乾燥豆とヨーグルト

昼 だし巻き卵、焼き鮭、納豆、ご飯、味噌汁

夜 水餃子、揚げ茄子と茗荷、冷奴、冷やし中華

 

新宿にあるギャラリー「プレイスM」が横浜に新しくできた。まだ仮オープンで本格的に始まるのは緊急事態宣言明けとなる。

ギャラリー施設の持ち主であり、プレイスM代表の瀬戸正人さんとともに共同運営者のUさんから「ギャラリーのオープンイベントをやりたいので渡部さんのプリントも1枚展示させて欲しい」と連絡があった。

おめでたいことなので小全紙のプリントを1点貸し出した。

 

お礼とともに、ギャラリーでの展示の様子がLINEで送られてきたのだが、思わず二度見してしまった。

細江英公の「薔薇系」、森山大道の「三沢の犬」、須田一政の「風姿花伝」、鬼海弘雄の「PERSONA」、瀬戸正人の「バンコク」そして極め付けが深瀬昌久の「鴉」。すべてサイン入りオリジナルプリントだという。

思わず「えー」と声を上げてしまった。なんだこれは、美術館レベルじゃないか。その中に僕のプリントが並んでいる。これは見ておかないと。神々の中にうっかり混ぎれ込んでしまったという感じだ。

 

横浜駅の一つ手前の反町駅から3分のところにギャラリーはあった。もともとは歯科医院だったそうだ。中に入るとそこには瀬戸さんの姿が。思わず2時間以上話し込んでしまった。

展示してあるプリントはすべて瀬戸さんのコレクションだと聞いて納得。それにしても凄いラインナップ。ほとんどが購入したものだが、1点深瀬さんの「鴉」のプリントは、80年代に深瀬さんのニコンサロン展示の際、プリントを手伝ったお礼にバイト代の代わりとしてもらったものだそうだ。その頃のバイト代って、せいぜい日給にして5000円くらい。

 

その5000円の代わりに深瀬さんからもらった「鴉」のプリントは、現在オークションで同じイメージのものが、なんと1500万円で落札されている。40年で価値が3000倍。

深瀬さん自身が焼いてサインを入れた鴉のプリントは、世界中に数点しか存在しない。その中の1点が目の前にあるわけだ。深瀬昌久はすでに亡くなっているが、今年世界配給で映画化されることになっているし、近年その価値が急速に高まっている存在だ。

ずっと写真表現の中心で生きてきた瀬戸さんだからこそのエピソードが他にもたくさんある。だから2時間はあっという間。

「プレイスM」は新宿、横浜だけではなく、中国に3箇所作られている。コロナの騒動が落ち着いたら一気に稼働するそうだ。瀬戸さんは日本の写真を中国に伝える大使的な役割も担っているし、日本の美術館にも関わっている。

 

「いつかやろうなんて悠長にこと言ってないで、やりたいことはすぐやるんだよ」

8歳年上の瀬戸さんを見てると、8年後の自分のイメージが湧いてくる。まだまだいけるということだ。