これからギャラリー冬青へ展示準備へ。明日11時からです。

カメラマンの友人から電話があった。

「渡部さん、フォーサーズの25ミリレンズと35ミリフルサイズの50ミリレンズとシノゴの150ミリレンズで同じもの撮ったら背景のパースって変わりますよね?」

「違うんじゃない。写る範囲は一緒でもレンズの焦点距離が違えばパースも変わると思うけど」

「僕もそう思っていてメーカーの技術者にその話をしたら笑われました。全部写り方は一緒だって」

僕は仕事の撮影でずっとシノゴと35ミリを併用していた時期がある。その時感じていたのは、35ミリの50ミリレンズとシノゴの150ミリレンズでは同じものを写しても明らかに背景の立ち上がりが違うということだ。ずっとそう思っていた。電話をくれた彼もそう思っていたそうだ。

ところが「渡部さんびっくりしますよ。証拠のデータ送ります」

フォーサーズの25ミリと35ミリの50ミリ、フォーサーズの12ミリと35ミリの24ミリを使って同じものを撮影したものを送ってくれた。それをPhotoshopのレイヤーで重ねてみたら完全に一致した。手前から奥まで完全な一致。

ということはシノゴの150ミリで撮ったものも一緒ということだ。写る範囲を一緒にすれば焦点距離によってパースは変わらないということか。

「ね、渡部さん驚いたでしょ。意外とカメラマンは誤解してるかもしれませんよ」

35ミリは2:3の比率、シノゴは4:5。双方を比べるとシノゴは左右が短い。それに同じ絞り値にすればボケかたも違う。そこで誤解が生じていたようなのだ。技術者曰く「カメラマンの皆さんパースが違うと言われるかたが多いんですけどね。錯覚です」

僕は30年、彼も20年近くカメラマンをやっている。二人は今の今までフォーマットと使うレンズの焦点距離によってパースに変化があると思い込んでいたのだ。これは僕らだけではあるまい。その手の話は他のカメラマンともしていたはず。

こんな光学の基礎的なことを誤解していたなんて。

その話に流れで彼が「ということはセンサーサイズはフォーサーズでもいいってことじゃないですかね。顔認識がついてるミラーレス機種の方が確実に人物にピントを合わせてくれるし。フォーサーズにおける焦点距離が短くてピントが深いっていうのは仕事じゃメリットですよね」

まさにその通りだ。ボケ味よりも確実性を取るならそのほうがいい。先日TIPギャラリーで見た藤代冥砂の展示もオリンパスOM-Dで撮られていたが中判デジタルで撮りましたと言っても信じてしまうほどだった。まったくセンサーサイズが小さいというデメリットを感じない。

話しているうちにフルサイズ一眼レフ神話みたいなものが崩れつつある気がしてきた。

とはいえ、次に買うのはやっぱり一眼レフかな。古い世代だからねえ。