プアハウスでコーヒー。チーズケーキは品切れだった。

今までに『日本カメラ』や『デジタルカメラマガジン』などいくかの雑誌やイベントの写真コンテストの審査をやってきた。

最初はたくさんの写真を見て評をつけるのは刺激的で面白かったのだが、段々と苦しくなってきた。

理由は「いい写真ってなんだ?」という疑問が写真を見れば見るほど湧いてきたからだ。

この写真が金賞、でこの写真が銀賞と自分がつけた理由はいったいなんなんだろう?掲載誌を見ていると金賞と銀賞が入れ替わってもいいように思えるし、もしかしたら選外の中にもっといいものがあったかもしれないと思えてくる。

そもそもコンテストにおいてのいい写真ってなんだ?


そんな中で今月は二つの写真雑誌の審査をした。『写ガール』と『pHat Photo』だ。

受けた理由は複数で審査をするスタイルのため。一人で決めるのではなくて数人で対談形式で決めていく。これはpHat Photo』が創刊からおこなっている方式で、写真家評論家、編集者など毎回色々な人が参加している。審査講評を読んでいても面白い。常々これはいい方式だと思っていた。

『写ガール』から話を頂いた時も『pHat Photo』形式なら、と無理を言って写真家の山本まりこさんとの対談形式にしてもらった。

いったい山本さんはどの写真を選んで、どういうところが引っかかったのかを現物を前に説明を聞けるのは「何がいい写真なのか」を考える上でいい経験になった。

合議の結果一番にしたのは最初に僕がスルーしたものだった。しかしそれが山本さんの手でピックアップされて提示されると「あ、これ」と素直に受け入れられた。もし一人だったら違う結果になっていたはず。

その写真を前に二人で「なぜこに写真が良かったのか」を話し合い、それが講評になっている。

今日は『pHat Photo』で小林紀晴さんとテラウチマサトさんと三人での審査だった。それぞれが付箋を持って一位、二位、三位、特別賞を付けて行って合計ポイントで決めていく。

一位になったのは三人が票を入れた作品。いわゆるコンテスト写真とは違ったものだった。

それを三人でなぜ面白いのかをそれぞれ説明していく。重なるところもあるし、まったく違うところもあった。

講評の過程でタイトルの話になった。コンテストの場合、写真はいいのにタイトルが曖昧なものが多い。

タイトルは応募する人にとっても悩みの種だと思うが、とても大事な部分でもある。作者がその写真をどう思っているかが現れるからだ。タイトルについての小林さんの話はよかった。本当に言葉を大事にする人なんだな。

今回テラウチさんや小林さんが写真をどう考えているかの一端が感じられた。自分は自分で考えていたより写真にたいして保守的なんだということも気がついた。

あっという間の時間で話し足りないくらいに感じるほどだった。

「いい写真ってなんだ」はおそらく一生ついてまわる。いくら考えても答えは出そうにないが、写真を続ける限りずっと考えていくことになる。

せっかく小林さんの話が聞けたので、品川キヤノンSタワーでやっている「遠くから来た舟」を帰りに見に行った。http://cweb.canon.jp/gallery/archive/kobayashi-vessel/index.html

それにしてもいいタイトルだ。