男泣き

朝 「ガスト」の朝バイキング

夜  玄米のドライカレー

昨夜撮った写真を、ホテルの近くのコンビニに行って、カラーコピーでプリントし、借りていた公民館で担当者と一緒に写真集の構成。長机をつなげて、プリントした写真を並べて順番を作る。当初考えていたアイデアは一度すべて忘れて、ポートレートと風景を組み合わせていく。撮影した8つの地区のバランスを考えながら64ページを作っていった。

プリント1枚1枚を重ねて「マケット」と呼ばれるダミーブックにする。本の形にして、パラパラとめくり、並びを再度調整して両面テープで閉じると、不恰好ながら1冊の本が出来上がった。写真集を作っていて一番感動する瞬間だ。担当者がそれを手に取りゆっくりとページをめくっていった。彼が「すいません」と言うので、何か不具合でもあったのかと思って振り向くと肩を震わせて泣いていた。2年前の6月に企画が始まり、前例のない案件を彼がさまざまな折衝をし具体化したのに、コロナの影響で撮影は二転三転。でも最終的に僕らが思っていた以上のものが出来上がった。万感の思いってこういうことなんだろう。男泣きを見て、2年間の彼の思いが伝わってきた。この仕事ができて本当によかった。まだデータの整理や動画の編集などやることは残っているが、大きな頂を登った感じではある。恵まれた仕事に巡り会えたと思う。

 

「まさかのα7Ⅳ」続き “レンズ編“

24-105F4の標準ズームをつけて覗いてみても感動がない。これまでなら単焦点を3本くらい揃えるのだが、α7Ⅳは「動画撮影でも役に立つ仕事カメラ」という立ち位置。趣味でα7Ⅳは買わない。ハッセルのように色気があるカメラではないが、しっかりものという感じ。店員さんに中古の「GM16-35mmF2,8」を探してもらいボディにつけてみた。デカくて重い。でもこれまでの経験で、この手のワイドズームはF4の小さくて軽いものよりも、F2,8を選んだ方が後々後悔が少ないということは知っている。

16ミリスタートは動画では扱いやすい。こっちか? でも1本では焦点距離のレンジが極端すぎるか? 来月から始まる仕事では中望遠が必要だ。そこで70-200mmF4も見せてもらう。ここは定番の望遠ズーム。3本をとっかえひっかえつけてみて、最終的に16-35F2,8と70-200F4にすることにした。70-200F4は昨年1週間使って間違いないことは確認済み。

レンズをリュックに入れてボディの箱を抱えて帰る。玄関で妻が「まーた、なんか買ってきたね」というので話題をそらしつつ、仕事部屋に直行。そして、いま一緒に仕事をしているプロデューサーに買ったことを伝えると「おお、すぐに元を取れる仕事作ります!」と返信が。仕事があるからカメラを選ぶじゃなくて、カメラが仕事を作ってくれた。でもその仕事、どうやらハッセルで撮ってもらいたいようだ(笑)  もうちょっと続くよ。

 

<2012年1月16日の日記から>

仕事始めは暗室の大掃除。4人がかりで6時間以上かかった。暗室の窓は一年中ずっと窓を閉めっきりなのでカビが出やすい。カラー現像機もローラーを分解して洗う。これはFの担当だ。後はいらないものを捨てるのだが、引出しに山ほど用途不明のガラクタが詰まっている。何が必要で何が必要じゃないかわからない。なので2年間使わなかったものは全部捨てることにしている。もしくはワークショップの新年会景品として出してしまう。カメラもレンズも大放出だ。少なくしようとしているのに、どういうわけか別のものがやってくる。シノゴのレンズと引き伸ばし機のレンズが大量に事務所に届いた。その中にはヘリヤーというポートレートレンズも含まれている。今年はまたシノゴを使ってみようかな。

新年会が済むと、すぐに撮影にでかけた。今年の10月に出す写真集用だ。雪が撮りたくてとりあえず米沢へ向かう。今年は雪が多いと聞いていたが、道路は除雪が完璧になされていて、そんな感じがしない。中学時代の友人に付き合ってもらって車を出したのだが、ピンとこないうちに夕方になってしまった。宿を探して銀山温泉へ。大正時代の木造三階建て建物が残る風情のある温泉街だ。一枚も撮らないまま温泉に入ってもリラックスはできない。その後は山形の新庄、秋田の横手、湯沢と回るが、全然撮れない。しょうがなくて4日後米沢に戻り、今度は高校時代の友人の車で、夜明け前から山のほうに行ってもらう。いい場所があったのだが、肝心な時にローライSLXのバッテリーがダウン。35年前のカメラは寒さに弱い。室内に戻り暖まると再び動き出した。4日で8本。しかも半分は今まで撮ったものを、もう一度なぞっただけ。相変わらずのスロースターター。明日からもう一度行ってくるつもりだ。新潟から福島、山形のあたり。雪を撮るなら北海道じゃないの? と言われるが、北海道の雪はちょっと違うんだよなあ。