カナダ人のアーティストが、写真家の暗室を撮影するプロジェクトをやっているんだけど協力してくれない?と先月連絡があった。
暗室を記録するのに海外を回っているらしい。変なことをやっているアーティストだなと思ったら、国際的にも著名な人らしい。
作家の名前はMichel Campeau ミシェルさんだ。実は既に『Darkroom』という写真集が出ている。
http://www.photoeye.com/bookstore/citation.cfm?catalog=tr253&i=&i2=&CFID=10599009&CFTOKEN=41532018
そのミシェルさんが今日暗室にやってきた。今まで日本に来たことありますか、と聞いたら「94年に北海道の東川に行ったことがある」という。珍しいところに行ったなあと思っていたら海外作家賞の受賞で行ったそうだ。びっくりした。
以前の暗室シリーズは地元のモントリオールが中心でオタワで撮影したものがちょっと入っているものだったが、今回はヨーロッパやアフリカ、日本など取材場所を広げているという。
写真集を見せてもらったら、単純に暗室の記録ではなくて、特徴的な部分を抽出したアートワークになっていた。目をつけるツボが面白い。ディレクションは、あのマーティンパーがやっていると聞かされてまたびっくり。
やっぱり気になるのは撮影機材で「何のカメラを使っているの?」と聞いたらキヤノンのG9とG10だという。撮影は内臓されたストロボを使っているとのこと。
暗室に案内すると、彼はカメラを片手でホールドして撮っている。それだとストロボの位置が下からになってしまうのだが、そんなことはまったく気にしてない。床に這いつくばってコードのからみや器具の脚を撮っていた。
引き伸ばし機に書かれた数値のメモにも反応していた。人の撮影は面白い。見ていると何に興味が向いているか一発で分かる。次はこの辺かなと思っていると大体あたる。
30分くらいで撮影が終わり、後は雑談で色々な話を聞いた。アフリカのニジェールの暗室は手作りのものがあったりしてとてもエキサイティングだったとか、写真のセレクトってどうしてるんだ?とか。写真家の話題って世界共通。
写真集「traverse」を見せて自分の写真をアピール。とても気に入ってくれて、最後に彼と僕の写真集を交換した。
近いうちにセレクトして本にするんだと言っていた。うちの暗室も1枚選ばれるだろうとのことだった。『Darkroom2』の出版が楽しみだ。