米沢から戻ってきた。近頃行くたびに自分の力の無さに深く落ち込んでしまう。東京に戻ってもしばらくはふさいでしまう。
その足でギャラリー冬青で小栗昌子写真展「トオヌップ」を見に行く。
疲れた体と心をノックアウトするような力強い写真だった。昨年のニコンサロンの展示より一層凄みが増している。こんな作家が日本にいるとはね。
写真集も素晴らしい出来。印刷も構成もサイズもトータルでいい。
「写真集といえば」と社長と写真家内藤小百合の話になる。彼女はついにシンデレラになった。http://tosei-sha.jugem.jp/?eid=339
彼女がその話を報告に来たのだが、そんなすごい話が舞い込むとは彼女の持つ強運に驚いた。
写真集が良かっただけでは起こりえない奇跡であり、写真家の資質として大切な運を彼女が持っていることを実感した。
彼女はこれから作家として晒されることになる。国内はもとより海外でもその存在をアピールし続けなければならない義務が生じてくる。それが作家を大きくしてくれるはずだ。
冬青に関係している作家の多くが海外へと向かっている。そんな環境の中にいることができるのは僕にとっての運だと思う。
もし写真をやっていなかったら。そんなことはずっと考えたこともなかったが、近頃帰るたびに、米沢の風景を見るたびに、もうひとつの人生を思う。
あれもこれもの人生はないはず。やはりどう考えても写真をやっていない自分は想像できない。