お好み焼き、もんじゃ。

作家石田衣良のインタビューで興味深いことを言っていた。

「石田さんは海外へ住んでみたいと思うことはありませんか」という質問に「日本語を扱っている作家が海外に住むとどうしても言葉が甘くなる。村上春樹にして海外で書いた『ダンスダンスダンス』は甘さが見える。それだけ言葉って微妙なんだよね」

納得できる話だった。反対に海外で成功しようと思ったら向うに住まないといけないということにもなる。

よく何を撮ったらいいかわかりません、という人がいる。写真は好きなのだが何を撮ったら「作品」になるか分からないというのだ。

そんな時は目の前から始めれば、家の周り半径50メートルでも写真は撮れるよ。別に海外で撮ったから面白くなるわけじゃないと答えている。

その言葉通りの写真展をやっている。

アート・スペース・モーターギャラリー林 幸子 写真展「ミテイル」http://www.hit-on.co.jp/gallery.html
注・日曜日月曜日はお休み。

ほとんどが家の中で撮られているモノクロ写真だ。カーテンが揺らぎ、食卓が写っている。どこにもありそうでいてドラマの中の世界にも見える。

乾いたグレーの調子が満たされた日常をあらわしている。決して予感めいたものはない。ただ永遠に続くのではないかと思われる日常。

見ていて北井一夫の写真を思い出した。ギャラリーの人に聞いたら北井さんが監修をしているそうだ。

今の時代、海外に行って目新しいものを見つけようと思っても、大抵がテレビで見たことがあるものばかりだ。

目の前の日常に新しさを感じることもある。