鳥の水炊き鍋

暗室でプリントをしていたアシFから電話がはいった。「印画紙乾燥機、バチッという音とともにヒーターがいかれました」

10数年使っている乾燥機は近年あちこちに不具合が出て、だましだまし使っていた。とうとうその最後をむかえたようだ。

暗室に行って念のためヒューズを確かめるが切れてはいない。どこか根本的な問題のようだ。

修理をしようにも製造元のハンザ写真要品はすでにない。新しく購入しようとすると国産ではキングになるが、これも既に生産を中止していて店頭在庫のみらしい。

モノクロプリントのための備品が徐々になくなりつつあり、続けていくのに不安を覚える。

乾燥機問題は早期に解決したいのだが…

新宿コニカミノルタで齋藤亮一写真展「INDIA下町劇場」を見る。齋藤さんがモノクロではなくデジタルのカラーを使っている。

齋藤亮一といえばこれまで6×7のカメラを使い、モノクロで世界を撮り歩いてきた人だ。デジタルのカラーになったことでどう変わるのか興味があった。

見ていくと齋藤亮一は齋藤亮一のままで、何の変わりもない。本人に機材が変わって何か変化があるかと聞いたら「別に変わりはない。かえって67時代に比べストレスなく写真を撮れて楽しい」

モニターで撮ったものをつい確認したりしてリズムが変わりませんか、という問いには「ニコンD70sを使っているのだけれど昼間に液晶を見ても見えづらいし、ホテルに帰るまでモニターのお世話になることはないなあ。仕事の撮影だったら確認するんだろうけどね」とのことだった。

同名の写真集「INDIA下町劇場」を購入。齋藤さんは写真集の人だと再確認する。

昨日見たピンホールの写真はピンホール写真芸術学会(PPAS)のグループ展だったようだ。同時開催で新宿御苑前のギャラリー円月でもやっていた。

その中に鈴鹿 芳康 「SAMSARA」がある。一際大きく美しかった。

そのまま四谷三丁目へ歩いてルーニィでやっている竹花聖美写真展 「R15」を見に行く。

彼女の作品は、以前吉永マサユキのワークショップ終了展で見ていて魅かれるものがあった。そのときの作品は自分の幼い子供を撮っているのに、どこか妖しげな怖さを感じるものだった。

今回は15歳の自分の子供を撮ったものだ。「羽化」という言葉がキーワードになっている。彼女から聞いた蝉の脱皮の話が印象的だった。