ミャンマー1

さて、何から話そうか。

ミャンマーに行ってきた。
バンコクの「レディボーイショー」の絢爛、チャックチャットマーケットの喧騒、豪華なタイ料理と、てんこ盛りの「俗」を満喫したあと、「聖」なるミャンマーへと飛び立った。

ミャンマーの首都ヤンゴンへは、バンコクから空路で90分。タイ航空とミャンマー航空が就航している。3年前には名古屋からの直行便があったが、現在はない。

ヤンゴンの空港は、とても国際空港とは思えない建物だった。飛行機のタラップを降りると、ドアが閉まらない日本製の中古バスが待っている。空港の外側は工事中のまま、ほったらかし。

荷物受取のターンテーブルはひとつだけ。天井の蛍光灯は節電のためか点灯と点滅を繰り返している。免税店が三軒、申し訳程度のものを販売していた。

壁の隙間からは外が透けて見える。預けた手荷物は飛行機からリアカーで運ばれていた。

とんでもないところに来てしまった。

ミャンマー? どうして? なんのために?」出発前に会う人ごとに聞かれた言葉だ。モンゴルに行った時のように「いいなあ、行ってみたいなあ」とは誰にも言われなかった。

実家は心配するし、外務省の海外危険情報を送ってくれるものもあった。3ヶ月前にはヤンゴンでテロがあったばかりで、ミャンマー国内には危険地帯が点在している。そんなところになぜわざわざ行かなければならないのか。

しかも今回は11歳の娘の初めての海外旅行だ。グァムでもパリでもハワイでもなくて、初めての海外がミャンマー

きっかけは農業博士で蘭の研究者であるDr.Tとの出会いからだ。ワークショップの受講者が紹介してくれた。Dr.Tはバンコクに住み、ミャンマーの蘭を研究している人物。これまでも蘭愛好者のためにツアーを組んでいるということだった。

「渡部さんもミャンマー行きませんか。10人集まればツアーを組めますよ」