Dr.Tが説明してくれたミャンマーツアーは、すべて5つ星ホテルに宿泊。その中には11世紀の遺跡の中に建つホテルや、タヒチのような水上コテージも含まれている。ある部族の女王が全行程に同行し面倒を見てくれる。なんの心配もいらないということだった。
大企業の会議室で、肩書きが博士で、海外に住んでいて、とんでもない方々と交流があり、夢のようなツアーの説明。目の前のDr.Tはアロハシャツを着て微笑んでいる。「詐欺?」という言葉がチラリと頭をよぎった。
それを見透かされたように、自分がなぜわざわざミャンマーツアーを組んでいるのかを話してくれた。
彼はミャンマーの蘭を研究しているうちにこの国のことを詳しく知ることになる。その過程である部族の女王と親しくなり、ミャンマーに学校や病院を作る手伝いをすることになった。そのためボランティアでツアーを組み、ツアー費用の一部を建設費用にあてているということだった。
僕はその場で、Dr.Tの考えに賛同し、ツアーを申し込んだ。そして家に戻ると娘に言った。「家族でミャンマーに行く。学校は休め」。バンコク滞在を合わせると11日間の旅行になる。
ツアーの参加者は、僕の家族3人とワークショップの受講者5人、名古屋の写真家、Dr.Tの大学時代の同級生の計10人が集まった。
ある同行者の家族が、今回の旅行日程表を見て言ったそうだ「母さん、これって詐欺じゃないの? この値段でこんなおいしい話はないよ」。やはり僕と同じことを考えたようだ。
賛同はしたものの、最後まで不安は消えないままの出国だった。とにもかくにも12月9日、DrTと10人はヤンゴンへと着いた。