銀座松竹で山田洋次監督の撮影。
ペンタックス645Nで撮っていたら監督が「そのカメラはフィルムだね。やっぱり音がデジカメと違うねえ」と話しかけてきた。そういえば以前もある女優がデジカメだと雰囲気が出ないと言っていた。ポートレートではシャッター音も大事なファクターになる。
アラーキーもペンタックス67でガシガシ撮っている。昨年のユニクロのテレビCMで流れたアラーキーの撮影音はカッコよかった。
撮影帰り東京都写真美術館に寄る。ウィリアムクラインと坂田栄一郎をやっている。
クラインは最近作のパリのスナップ。35ミリのモノクロとカラー。もういい歳なんだろうがいまだに20ミリくらいのワイドレンズを使ってストリートを撮っている。もう、なんか、「肉感」が凄い。エロだと思う。エロティックじゃなく日本語でのエロ。
坂田栄一郎展の写真の一部は今月号のアサヒカメラで見ていた。人物ポートレートと馬の尻尾の写真2枚が隣り合わせに組み合わされた奇妙なものだった。
それがどういうことなのか、会場で見てはじめて分かった。一枚のポートレートに無作為とも思える自然の風景が組み合わされる。それが相乗効果を伴って見える。どちらが欠けも成立しないバランスを保っていた。
坂田栄一郎のポートレートは雑誌「アエラ」で毎週見ているがここ近年は全てがそぎ落とされて凄みが増してきている。前回の写真展「アマランス」では樹木がポートレートに組み合わさっていたが、それが今回はもっと昇華した感じになっている。
ポートレートと風景を組み合わせられないか、僕もサイトのギャラリー「PARIS」で試しているが、今回の写真展を見てへこんでしまった。
とにかくここ最近で一番刺激を受けた写真展だった。