豚キムチ、鯖大根、さつま揚げ。

今月は「お庭と建築」の特集のために寒い中撮影せねばならない。今日は芝離宮と高輪プリンスホテル。撮影量が多くて後のセレクトが大変なのと、屋外の撮影に向いている理由でデジタルではなくポジを使う。

フジクローム400Xは好きなフィルムだが値段が高い。でもフィルムを売っているだけありがたい時代になった。とうとうコダクロームの国内販売終了が決まった。http://wwwjp.kodak.com/JP/ja/corp/info061213.shtml

撮影後PGIギャラリーで坂田栄一郎写真展「Just Wait」を見た。アベドンのアシスタント時代に撮られたNYの人々のポートレートだ。

道行く人に「Just Wait」と声をかけて撮られたシリーズだ。坂田栄一郎の初期代表作であると聞いてはいたが初めて見る。

1階の展示を見ているとダイアン・アーバスの影響が色濃く見える。そういえば坂田栄一郎はアベドンスタジオでアーバスと交流があったはずだ。

そんなことを思いながら階段を登るとアーバスの一番の代表作、双子の姉妹のプリントが目に飛びこんできた。思わず「おお!」と声を上げてしまった。

アーバスのプリントは希少価値も高く、アーバス自身が焼いて、サインが入っていて、人気のモチーフなら5千万円はくだらない。

そのプリントはアーバス自身からもらったものだった。右下に小さくアーバスのサインが見える。「プリントの仕上げを手伝ってくれてありがとう」という内容のアーバスから坂田栄一郎に宛てた手紙も一緒に展示されていた。

大全紙サイズの大きなプリントだ。右側の少女の顔とその横の2箇所に茶色い染みがくっきりある。

坂田栄一郎がアシスタント時代ハンバーガーを食べながら見たときに飛ばしたケチャップの染みだ。その話は有名で以前聞いたことがある。

その伝説のプリントを見ることができた。アーバス自身がプリントしたものを見るのも初めてだ。大きく伸ばされたから分かったが、ちょっとだけ前ピンでピンとは服に合っている。キズや汚れも多い。

でもそれらを全部ひっくるめて「物」としても魅力にあふれている。

若き日の坂田青年とアベドンの2ショットもあった。その角刈りの青年と今の坂田栄一郎が同一人物だとは思いがたい。

坂田青年の撮ったNYは夢のような場所だ。映画に出てきそうな人が当時は歩いていたのだ。ひたすら「Just Wait」と声をかける姿が写真から見える。