地方で出張ワークショップができるようになりました

2月18日火曜日、東京は良い天気です。なんだか春の陽気ですね。

 

ワークショップ「H」7期は3月7日の土曜日から始まります。現在募集中です。すでに7名の方から応募があったので、あと3名ほど余裕があります。告知はほとんどしていないので、ご存じない方もいるかと思いますが、概要欄にHのサイトのリンクを貼っておきますので是非。

実は東京でのワークショップは、7期以降、しばらくお休みするかもしれませんので、興味のある方はお早めに。

 

今週末、22日から3日間は、八戸でワークショップを開きます。昨年に続き2回目なのですが、すっかり八戸のファンになりました。人もいいし、ご飯もおいしい。ちょうどいい町の大きさなんです。

 

今回は写真のワークショップ以外にも、ブックセンターで写真集の話をしたり、カフェで現代アートの楽しみ方の講座を開きます。

これは僕のワークショップに毎週八戸から東京まで通ってきてくれた方が、地元で企画してくれています。

実は八戸以外にも、北海道、岩手、宮城、福島、長野、静岡、名古屋、京都、大阪、岐阜、兵庫、福岡から通ってくれた方々がいました。

 

わざわざ地方から東京に出てきてまで知りたいのは何か、と考えたら、情報ではないのは明らかです。それはネット上にいくらでも転がっていますから。知りたいことはだいたいのっています。

それに僕のワークショップに3ヶ月通ったからと言って、プロ並みになれるという言い方はしていません。

でも「H」に来たら、ちょっとだけ考え方が変わるかもしれない。写真の話をすることで、ちょっとだけ楽しくなれるかもしれない。これは会って話をしないとだめなんです。

 

よく「オンラインでワークショップの内容を流したらどうですか。そうすれば地方に住んでいる人も参加できますよ」と言われるけど、そうすると情報を売る作業になってしまう。情報以外のことが大事だとすると、どうしても会わないといけない。

だからずっと少人数対面式にしているわけです。そして「H」で一緒にご飯を食べることもしています。ご飯って結構大事だと思っているからです。「同じ釜の飯を食う」って昔から言うけど、あれは真理だと思います。

 

東京だけではなくて全国に出張したいという気持はずっとあるんです。でも交通費、宿泊代などの経費がワークショップ受講料だけではどうしてもでない。呼んでもらった主催者側に負担をしいることにもなってしまう。

それでもいままで札幌、八戸、名古屋、屋久島などに呼んでもらうことができました

 

それをもっと増やせないかと、ある団体に助成金を申請してみることにしました。

それが審査を通り、1年間という期限付きですが地方ワークショップ開催の支援をしてもらえることになりました。

準備にしばらく時間はかかりますが、積極的に地方に行けることになりました。全国どこで伺います。

 

 今年はたくさんのところに行けることになりました。

これは僕にとって大きなことで、ワークショップをしながら、先々で写真を撮ることもできる。

それをまたYouTubeで配信していける。やっていることがちょっとづつ繋がってきました。

 

 

 

H7期の募集開始です

ワークショップH7期 募集開始します 

(2020年3月7日/8日スタート 全12回)

 

日程/毎週土日開催(いずれかを選択)>

★1 回目 3月7日/8日  「写真のレビュー」

 初回は参加者の方々が普段どんな写真を撮っているのかをレビューしていきます。

★2回目 3月14日/15日  「写真表現に必要なこと」

 解像度というと、カメラの画素数を思い浮かべますが、絵画を含め、その他すべてのことには解像度      

 が存在します。表現をする上でこれはとても重要なことです。

★3 回目 3月21日/22日  「小物撮影 実習」

 小物を使っての撮影実習。段ボールを使って自宅でも簡単にできる撮影方法です。

★4 回目 3月28日/29日 「屋外 撮影実習」(高円寺周辺)

 カメラを持って街に出ます。光の捉え方を中心に解説し、皆さんに撮影してもらいます。

★5 回目 4月4日/4月5日 「街撮りからの全員レビュー」

 阿佐ヶ谷の町をデジタルカメラで撮影し、DPE店で即時プリント。全員の写真を皆でレビューします。

★6回目 4月11日/12日 「ポートレート」(撮影実習/新宿中央公園)

 どうやったら人物が魅力的に見えるか実践します。

★7回目 4月18日/19日  「写真の歴史と現代写真」

 写真はいつ、どこで、どのように出来上がり、どのように表現と結びついていったのか。歴史を知る 

 ことで、現代写真を理解する手がかりを見つけます。

★8 回目 4月25日/26日 「美術館巡り」東京都写真美術館(予定)

 現代写真というものを美術館の作品を通して解説。知ることで面白さが増えていきます。

  5月2日/3日 GWのためお休み(特別講座予定)

★9回目 5月9日/10日 「コラージュ」

 実際に、色紙と写真でコラージュを作ります。誰でもできて楽しめます。出来あがったそれぞれの作 

 品は、その場でトートバックにプリントします。

★10回目 5月16日/17日   「写真のセレクト」

 写真はセレクトが重要。選択しながら並べかえることで、ひとつのまとまりを作ります。

★11回目 5月23日/24日 「スライドショー、ショートムービー制作」

 スライドショーとショートムービーを作ることで、タイムラインを意識します。

★12回目 5月30日/31日 「著作権と肖像権」

 最終回は質問が多い著作権と肖像権を、判例を交えながら説明します。

 

<講座料>

1回につき5500円(消費税込) お支払は受講当日ごとになります。

(フィルムカメラの場合はフィルムの購入や現像代は別途となります)

※入会金、年会費等は不要です。

<曜日・時間帯>

●土曜 11時から13時半 ●日曜 11時から13時半

ご都合のいい曜日を選択ください(初回お試し受講も可能です)

申し込まれた曜日で都合がつかない回があれば、土日の振り替が可能です。

*各回、単発の受講も可能です。その都度ご連絡ください。

 

<カメラについて>

カメラがなくても参加できます。(iPhone、iPad、Android 等でもOK)

*フィルムカメラを使ってみたい方には無料の貸出機があります。

 

<場所>

JR総武線・中央線/東西線「阿佐ヶ谷」駅もしくは丸ノ内線「新高円寺」駅。

いずれも駅から徒歩8分ほど。

正式な申し込み後にH(エイチ)の所在地や地図を添付にてお送りします。

<申し込み/お問い合わせフォーム>

form.run/@asagayah

最近、朝は鈴木麻弓に教えてもらった玄米サラダにはまっている

あっというまに1月が終わってしまった。

 

毎年1月が写真展。毎日会場にいるから他のことは一切予定を入れていない。なので僕の1年は、実質11ヶ月ということになる。

 

あれもこれも、やりたいことと、やらなければならないことが重なってきた。

 

今日は午後7時半から、銀座の蔦屋書店で東京都写真美術館の山田さんと僕の 新刊『じゃない写真』のトークイベントがある。70席あるのだけれど、ありがたいことに予約で満席になったようだ。出版社と書店の担当者はほっとしていることだろうな。人集めは本当にたいへん。

 

とくに緊張はないのだけれど、なんとなくこのイベントが終わるまで他が手につかない感じ。

写真展が終わってからは、家の掃除ばかりしている。大晦日にインフルで倒れていたので、大掃除をやっていなかったのだ。これでずいぶんすっきりした。

 

ところで、今回の写真展は19年前のプリントを展示したのだが、これがとても評判がよかった。同級生の写真家山下恒夫が来て「予想以上にプリントきれいだ」と言っていたくらいだ。山下に褒められるのが実は一番嬉しい。

 

19年前にコダックのエクタルアという印画紙にプリントしたのだが、あらためて良い印画紙だったなあと思う。この印画紙に出会わなかったらモノクロプリントをやめていたかもしれない。

 

今年になって「フィルムが値上がりした」という話を聞いたので、ヨドバシドットコムを覗いてみたら卒倒しそうになった。一本1400円近くするし、イルフォードの11x14のウォームトーンは1箱3万円以上する。カラーのほうがまだまし。

 

続けるには気合いが必要になってきた。うかつに使うわけにはいかない。でもうかつに使うくらいじゃないとできないもんなんだけどなあ。

 

さて、これからYouTubeの編集をちょっとやって、銀座へ。ニコンサロンが近くにあるのでちょっと覗いてから会場に。

トークイベント】 『じゃない写真 現代アート化する写真表現』刊行記念

トークイベント】

『じゃない写真 現代アート化する写真表現』刊行記念

 

渡部さとる×山田裕理(東京都写真美術館キュレーター)

 

日時 25日水曜日 19:3021

場所 銀座6内「蔦屋書店」ブックイベントスペース

参加費

 

[参加条件]

銀座 蔦屋書店にて下記の商品(どちらか)をご購入いただいた方にご参加いただけます。

・イベント参加券『じゃない写真 現代アート化する写真表現』刊行記念トークイベント 1,000円/税込

・イベント参加対象商品書籍『じゃない写真 現代アート化する写真表現』渡部さとる著 3,000円/税込 (うち書籍代2,640円/税込)

 

[申込方法]

・店頭

・お電話 03-3575-7755

オンラインショップ

※オンラインショップでの受付は202024()午前10時の受注分までとさせていただきます。

当日空きがあれば予約無しでも大丈夫だそうですが、席に限りがあるため、出来るだけ予約していただければと思います。

 

詳しくはこちらから

 

https://store.tsite.jp/ginza/event/art/12267-1102080115.html

今年は良い年になりそうです

あけましておめでとうございます。

 

年末は疲れからダウン。結局最後の2日間は寝込んでましたが、元旦はすっきり。良い年を迎えることができました。

未編集の『2BChannel』インタビューが2本溜まっているけれど、それは明日以降にして、今日は家で一日ウクレレ 弾くことにします。「グアバジャム」というハワイアンを練習中。

 

昨年はちょっと忙しくしすぎました。あちこちに種を撒いた感じ。今年はアルルに行くことになっているし、地方にも積極的に行きます。正月明けから全開です。

1月8日の水曜日からは、ギャラリー冬青で写真展がスタートします。冬青では11回目になります。毎週水曜日は21時まで開いていますので、仕事帰りにお越しください。

 

今年も「渡部さん、いったい何がやりたいんですか?」と言われるくらい、いろいろなことをやっていきます。

トマトを煮て、ご飯を投入。石油ストーブ最強。

年末というのに、2日間ダウン。風邪かと思ったらどうやら疲れがたまっていたみたい。

YouTubeを始めてからというもの、とりつかれたように動画を作っていた。なんだか年々集中力がついてきたような気がする。

動画を作り始めたのが6月で、9月に配信を開始して、3ヶ月で登録者1000人を超えて、現在1600人。まだまだではあるが、やっていて面白い。広告がつくようにはなったが、一日あたり200円から300円くらいなもので、かけた労力にはまったく見合っていない。

でもチャンネルが持てたということは、自分のメディアを持てたということ。会いたい人に「話を聞かせてください」とお願いできるようになった。これはすごいことだ。だから最近はインタビュー動画が主になっている。他にも考えていることは多いのだが、今はインタビューが面白い。商売なら「マーケットを考えて」となるところだが、続けていくために、今は自分がやりたいことを優先している。

 

インタビューがメインになってくると、ちゃんと録画できているかが一番大事。1台のカメラではやっぱり心配なので、2台のカメラを使うようになった。加納満さんも対談で「仕事では、よく写るより、ちゃんと写るのが大事」と言っていた。

最初に買ったのがパナソニックのGH4。これは4年くらい前のモデルで、現在はGH5になっているが十分実用機として使える。というか申し分ない。ちゃんと写るカメラだ。

2時間半もバッテリーが持つというのは何物にも代えがたい。アプリを使えばタブレットで確認できるし、顔認証でAFが追随してくれる。そして音がきれいに録れる。インタビュー動画では絵よりも音が大事。

 

初期は、GH4に35ミリ換算の単焦点レンズをつけて使っていた。最初に買ったキットズームは、暗くて室内では使い物にならなかった。

しばらくはGH4とソニーα7を併用していたのだが、α7はバッテリーの持ちが悪い上に、30分で動画が切れてしまう使用になっている。そうなるとインタビューを中断しなくてはならない。今年発売されたα6400やRX100 Mark7は30分制限が解除されたというので、そのどちらかにしようと思っていた。お店で触り倒した結果RX100Mark7に軍配があがった。

しかし冷静に考えてみると、GH4が使いやすいのだから2台同じものを揃えるほうがいいに決まっている。設定を揃えれば間違いが減らせる。しかも安い。

結局フジヤカメラでGH4のボディを57000円で、60ミリ相当のシグマの単焦点レンズを27000円で購入した。これで機材面は当面安泰。これまで機材費と経費で30万円は使っている。高いのか安いのか微妙なところだな。

「ハービー山口」ロングインタビューを終えて

「ハービー・山口」インタビューを終えて。

 

2019年12月10日火曜日 

本格的に寒くなってきましたね。寒いのは嫌いだけど、石油ストーブは好き。20年前に岩手で買った南部鉄瓶でお湯を沸かして、お餅を焼く。最高です。ネコがそのへんに転がっています。

 

さて、三夜連続の「ハービー・山口」ロングインタビューの配信は見ていただけたでしょうか。

第3話

「撮りたいという思い」 ハービー山口03

https://youtu.be/Umx_6lqcOPs

第2話

「Glorious Days」輝く日々 ハービー山口 02

https://youtu.be/Rfg8lwfZxl0

第1話

「ネガをポジに変える生き方」ハービー山口 01

https://youtu.be/DT5EJ6hObj4

 

収録したのが12月4日水曜日、一話目をアップしたのが6日金曜日です。

話を伺っているときから「これはすごい」と思っていて、一刻も早くアップしようと編集をしていました。そのくらい、心に響くインタビューだったんです。編集作業はまったく苦になりませんでした。

 

ハービーさんと知り合ったのは2004年なので15年前になります。もちろん「ハービー・山口」という存在は僕が30歳の時から知っていました。

これは僕のエッセイ集『旅するカメラ2』にも書いたのですが、最初は本屋さんで見かけた「吉川晃司」の写真集でした。アメリカで撮られたその写真集はすべてモノクロで構成されていて、新鮮に見えました。

ミュージシャンのポートレートに憧れていた僕は、音楽専門誌でたびたびハービーさんの名前を目にすることになります。

僕がモノクロでポートレートを撮るようになったのはハービーさんの影響なんだと思います。

 

ハービーさんはエッセイ集を出していることを知って『ずっと探していた』『女王陛下のロンドン』を読みました。

その中でジ偶然地下鉄でョー・ストラマーと出会ったときに「撮らせてください」とふりしぼるような思いで声をかけたハービーさんに「撮りたい物はすべて撮るんだ、それがパンクだ」と声をかけたもらえたというくだりは本を見て震えました。その言葉はまるで自分にむけられたように感じたんです。

その後僕もエッセイを書くようになったのは、やっぱりハービーさんの影響なのかもしれません。

 

インタビュー中にずっと思っていたのは「人生はすべてはつながりの中にある」ということでした。これはよく聞く台詞だし、自己啓発の本には必ず書いてありそうな言葉です。

でもハービーさんの生き方を聞いていると、とても納得いくものとして届きます。

「過去は変えられない」。あたりまえです。誰でも知っている。でもつい思ってしまう。

「あのとき、ああすればよかった。なんでやらなかったんだろう」と。思えばいつも後悔の連続でした。

なんでもそうでしょうが、クリエイティブな仕事、僕が生きてきた写真の世界は、才能がある人がたくさんいます。そのキラキラした才能を間近で見るから、自分の才能のなさに落ち込んでしまうわけです。

 

もっと才能があれば、もっとうまく世の中を立ち回れたら、もう一度20歳に戻してくれれば、今度はもっとうまくやれるのに。最近まで毎日のように思っていました。

でも僕がもっと才能があって、世の中をうまく立ち回れる人間だったら、間違いなくワークショップをやっていません。やったとしても長続きしないでしょう。

もしハービーさんがハービーという名前を自分につけていなかったら、学生のときに就職が決まっていたら、まるで違う人生だったように、僕に才能があったらもっと違った人生になっていたわけです。

 

今年になってワークショップを通じて親しかった人がふたり亡くなりました。

ワークショップを通じての出会いだから、やっていなかったら絶対にふたりとは出会ってない。ということは彼らと過ごした馬鹿みたいに楽しい時間はないってことになるんだと気がつきました。屋久島やアルルで僕は彼らと本当に楽しい時間を、代えがたい時間を過ごしました。

それがないなんてありえない。彼らが僕の人生に関わらないなんて考えられない。だから僕の人生はこれでよかったんだと思えるようになりました。才能がある人を、もううらやむ必要はなくなりました。

 

そう思った矢先のハービーさんのインタビューでした。だから3話目での冒頭の言葉になったんです。

いつもならカメラの話を聞くのですが、今回はしませんでした。インタビュー前は「ハービーさんだからライカの話をしよう」って思っていたけれど、もうその必要はないって話を聞きながら思いました。

 

願わくばこのハービーさんの動画をたくさんの人に見てもらいたい。今つらい思いをしている人に聞いてもらいたい。もしかしたらちょっと元気が出るかもしれない。聞いたときはなんでもないけど、あとで思い返すことで考え方が変わるかもしれない。

YouTubeを始めてよかったな、とあらためて感じたインタビューでした。

 

 

今月の『IMA』の特集ははアレック・ソス

2019123日火曜日。年末感が漂ってきましたね。

 

4回発行の写真雑誌『IMA』が届きました。写真雑誌なのですが、なんとカメラメーカーの広告が入っていない。「シャネル」とか「ヴァンクリフ&アーペル」といった高級ブランドの広告のみ。

 

以前はキヤノンが広告を出していましたが、昨年から見かけなくなりました。つまりカメラメーカーにとって、メリットのない雑誌ということなんでしょう。写真雑誌だけど、これを見た人はカメラを買わない。

 

創刊は2012年です。『IMA』が出るまでは、海外の写真の動向を知る手だてがほとんどありませんでした。ネットはすでに普及していましたが、日本語で書かれたものはなく、知るためには直接海外に行く必要がありました。

 

それが国内外の新しい写真情報を掲載してくれる雑誌ができたことで、とても助かっています。『IMA』を見れば、とりあえず現在の写真のニュースがわかる。既存の写真雑誌では絶対紹介されないであろう、国内の新しい作家の作品に触れることができる。

 

僕は創刊から定期購読しています。『IMA』という雑誌のデザイン面のすごさは、作家ごとに記事ごとに印刷の紙質を変えているところです。これはオランダの写真美術館が出している『Foam』と同じです。本のサイズも同じなので、何かしら創刊時に影響を受けているのだと思います。

 

さて、2019年冬号をちょっと見てみましょう。始まりは写真界隈のニュースが10ページほど続きます。面白かったのは題府基之さんの写真集『Holly Onion』の紹介記事。ただただ、タマネギを剥くお母さんをフィルム1本分撮影して164ページに構成したものです。どういった本になっているのか気になります。1冊の写真集を作るには通常何年もかかるものですが、これの撮影時間は30秒くらいだそうです。

 

今回の特集はアメリカの写真家「アレック・ソス」。実は2012年発売の2号目にも18ページほど特集されていますが、今回は誌面の3分の2を使っています。作品もインタビューも満載で「ALL ABOUT ALEXSOTH」という感じです。

 

アレック・ソスという写真家はご存じでしょうか。現在世界でもっとも注目されている写真家です。1969年ミネソタ生まれですから、今年で50歳。

 

彼は学生時代に彫刻を専攻していましたが、授業の中でジョエル・スタンフェルドの写真の講義を受け、写真を本格的に始めます。

 

2003年に「レビュー・サンタフェ」でサンタフェ写真賞を受賞すると、翌年には初の写真集『Sleepig by the Mississippi』を発売、これによって世界中から注目を集めます。

 

この作品はエイトバイテンの大型カメラを使ったネガカラープリント。車で移動をかさねて、撮影することから「On the rord」系の写真家だと言われています。ここでは「On the rord」とは何かを説明しませんが、アメリカ写真を理解する上で、このキーワードはとても重要になります。

 

僕は2015年にソスのトークショーを聞きに行ったことがあり、彼のドキュメンタリー映画「SOMEWHERE TO DISAPPEAR」も

見に行きました。

 

その中でソスは初期代表作『Sleepig by the Mississippi』について、こんなことを語っていた。

 

まず旅に出てみようと思った

場所はミシシッピ川沿いに決めた

撮影する対象はあらかじめ決めていない

ポートレートは顔を見て決める

写真を始めた頃はポートレートを撮影するのがとても怖かった

友人や彼女を撮影することで少しづつ慣れていった

写真を理解するには最低で10年かかる

筋肉に記憶させるんだ

写真集を編集する上でもっとも大事にしているのは写真と写真のコネクション

ただし、それが相手に伝わることはまったく期待していない

なぜなら国や社会、言語が違えば捉え方は大きくかわるから

ただし、自分の頭の中には必然ともいえるつながりが存在している

実は『Sleepig by the Mississippi』には飛行機という軸がある

構成は断片的で、最低限の情報しか与えない

 

 

そのほか彼の言葉には明言が多い。例えば、こんな言葉。

 

写真の意味は見る人によって変わってくる。

世の中の人が自分と同じように理解できるとは思っていない。

 写真は場所、方法によって意味が変わる。

 写真家は意味をコントロールすることはできない。

プロジェクトごとに機材を変える。

作品によってはデジタルカメラも使う。

若い人から「どうやったら世界で注目される写真家になれますか?」と聞かれるけど、まずは作品作りのほうが大事だと言っている。

 何かしらいつも撮っている。

 

 

僕は『Sleepig by the Mississippi』も好きだけど、モノクロで撮った「song  book」が好きです。

 

今回の『IMA』のインタビューはかなり充実しています。以前動画内で紹介したトモ・コスガさんもソス往復書簡のインタビューをしています。

 

IMA』は唯一現代写真の動向を伝えてくれる雑誌なので、なんとか頑張ってほしいものです。ネット上位の世の中でもやっぱり印刷された写真には魅力があるし、垂れ流しではなく、セレクトされ精査された情報に触れることができるのは本当にありがたいんです。

 

写真好きの人は是非。定期購読はこちら。

imaonline.jp

 

 

 

 

 

夜は生姜焼き。

2019年 11月22日金曜日 東京は雨。寒いです。今日の朝食はリンゴとラフランスのヨーグルト、それと昨日のカレーの残りで作ったドライカレーでした。

 

YouTubeを始めてから3ヶ月、ようやくチャンネル登録者数が1000人を超えました。アップした動画はすでに50本を超えています。

最近では鈴木麻弓さんとカメラの話をしている回が単独で延びています。タイトルに「ライカ」と入れたせいでしょうかね。

田中長徳さんのインタビューから「2B Channel」の初期方向性が定まってきたように思いますね。長徳さん本当にありがとうございました。新しくインタビューをお願いする場合「長徳さんにも出てもらってます」というのはすごい説得材料になっています。

 

今も4人の方にお願いしていて、近々収録予定です。とても面白いインタビューなります。チャンネル登録まだの方はよろしくお願いします。これ聞かないと損というくらいの話になりますよ()

 

機材のことやレクチャーではなく、写真の話ができるチャンネルが日本ないという理由もあって「2B Channel」を始めたのですが、アムステルダム在住のトモ・コスガさんが「トモ・コスガの言葉なき対話」というチャンネルをやっていました。これすごくいい。こういうの見たかった。

11月の最新動画は、パリフォトレポートだし、アムステルダムのアートフェア、「アン・シーン」の紹介動画もあって、参加していた写真家の山谷祐介さんや東京ルマンドさんのインタビューもあってライブ感があります。

他にも公開ポートフォリオレビューをやっていて、若手写真家の作品を見ることができるます。

「写真の話」や「写真集紹介」などコンテンツは似ていますが、トモさんは編集者、キュレーターとしての幅広い目線で、僕は写真家目線で個人的な話をしています。

 

さて、昨日はひさしぶりに時間ができたので、ギャラリーとブックショップに行ってきました。

お茶の水の駅から神田明神のほうに行くと「ギャラリー・バウハウス」があります。間違いなく写真専門ギャラリーでは日本一おしゃれ。ヨーロッパのギャラリーの雰囲気です。1階と地下を使った贅沢な空間で、コマーシャルギャラリーとして13年間続いています。

バウハウスに行こうと思ったのは、オーナーの小瀧さんにDMをいただいたから。毎月たくさんDMをいただきますが、今回のDMがめちゃくちゃかっこいい。それを壁に飾りたくなるくらいの質感があります。

実はギャラリーオーナーの小瀧さんは、同時に有名な写真家でもあり今回は彼の個展なんです。

会場には、4年かけて撮られたヴェネチアのモノクロプリントが展示してありました。言葉にするのは野暮なので、モノクロ好きは見にいったほうがいいです。会期は来年2月15日までですが、すぐに行ったほうがいいし、何度見に行ってもいいと思います。

小瀧さんの写真を見て、いい気持になってお茶の水から中央線で吉祥へ向かいました。

 

井の頭公園を抜けた先にブックショップ「ブックオブスクラ」があります。

写真集好きで評判のお店です。選書もさることながら、オーナーの黒崎さんがすごい。彼女に会うためにお店に行っているようなもんです。いhn

とにかくここは写真があふれています。

店内の壁はギャラリーとなっていて、主に若手の写真家が展示をしています。11月は赤木遙さんの「love letter」でした。

写真集とオリジナルを同時に見ることが出来ます。

オーナーの黒崎さんが、展示作家にあったコーヒー豆を仕入れて、それを出しています。おいしいコーヒーをいただきながら写真集の話を聞くのが楽しみで楽しみで。

彼女は間違いなく日本で一番、写真集を愛している。そんな感じが体中からあふれています。

またしても2時間近くいて、帰る頃にはあたりは真っ暗でした。井の頭公園の池が、もう見えなくなるくらい暗かったのですが、そこにむけてリコーGR3のシャッターを押してみました。

目には見えない物が、もう簡単に撮れる時代なんだとあらためて感心しました。

 

 

 

 

 

YouTube

 

https://www.youtube.com/watch?v=jRj2_OktwYg&t=10s

 

2019年11月11日月曜日です。

 

大学時代の同級生、山下恒夫さんが銀座ソニーギャラリーで写真展『日々Ⅳ』をやっています。先週金曜日に見に行ってきました。

彼の写真展は11月21日木曜日までやっています。

 

https://www.sony.co.jp/united/imaging/gallery/detail/191108/

www.youtube.com

 

 

 

ソニーギャラリーは土日もやっているし、夜7時まで開いているのでとても行きやすい。どことはいいませんが、日曜日が休みで夕方6時で閉まってしまうギャラリーもあります。働いている人はほぼ行けません。

ソニーなのに、バライタプリント。モノクロです。彼の写真はびっくりするほど普通です。だって日々の写真だから。人生にそうそうドラマチックな瞬間なんておきません。でも見入ってしまう。

たまたま、ギャラリーで知り合いの写真家に会ったら、「どうしてですかね」と聞かれたので即答しました。「だって天才だから」。

 

すんごい乱暴な言い方だけど、それ以外に説明がつかない。他の人が撮ったらおそらく全然つまらない写真になるだろうし、そもそも撮らないでしょう。 

秘密があるとすればプリント。おそらく現時点で、35ミリフィルムで撮られたものでもっとも優れたプリントです。たくさんあるプリントの正解の中で、ひとつの正解が出ていると思っています。

モノクロが好きな人は絶対見た方がいい。その普通さぶりに驚いてください。

 

そして来年2020年1月はギャラリー冬青で僕の写真展があります。ここ4年ほど毎年1月にやらせてもらっているんです。

今日はそのためのプリント。もう自分の暗室はないので、ある写真家の暗室をお借りしています。設備は完璧で、とても使いやすい。

ここが借りれることになったので、事務所を引っ越すときに引き伸ばし機8台と、自動現像機2台、引き伸ばしレンズ20本、その他イーゼルとかバットとかは、すべてきれいさっぱりワークショップの人で暗室をやっている人に譲ってしまいました。

残したのは愛用のローデンストックと、シュナイダーの引き伸ばしレンズ、それとピントルーペくらい。大全紙まで対応するカラー自動現像機も残しました。でもなかなかカラーでプリントする機会はないですね。たまにワークショップで使うくらいです。

 

さて、暗室に入って準備をしていると、定着液がないことに気がつきました。やる気が一蹴でなくなりかけたのですが、しかたがないので新宿ヨドバシカメラに買い出しにいくことに。

毎月かなりの商品をヨドバシカメラで買っているけど、すべてネット注文なので、お店にいくのは1年ぶりだと思う。暗室用品売り場がなくなっていたらどうしようと、ちょっと心配でした。

 

今やヨドバシは家電やパソコン、携帯がメインのお店だけど、名前の通り始まりはカメラの専門店。1960年に創業だそうです。

僕は61年生まれだからほぼ同い年ということか。最初は今のようなビルではなくて、ガラガラと引き戸を開けて入る小さなお店だったと聞いたことがあります。

現在、全国に23店舗あって、家電のネット通販だとAmazon についで2位なんだとか。そういえば家電量販店で初めてポイントカードを導入したのもヨドバシカメラ。株価はどうなっているんだと思ったら非上場会社。ちょっとびっくり。個人商店が大きくなった感じなのか。ちなみに社創業者は有名なライカコレクター。

もともと「ライオン」という自社ブランドの写真用品が、直販のメリットで他よりも安く、それがヒットして大きくなったのだとか。僕も学生時代によく買ってました。今の中国製品みたいに、正規品よりもちょっとクオリティは落ちるけど、値段は破格というやつでした。

 

以前は暗室用品だけで大きなフロがアあって、ところせましと引き伸ばし機や印画紙を売っていたけれど、今は見る影もなく縮小。カメラビルの裏側のひっそりした場所に暗室用品売り場がありました。

一応1階のワンフロアを使っていますが、品物は以前の数分の1。モノクロ印画紙はイルフォードとオリエンタルがメインでケントメアとフォマもありました。サイズはキャビネから大全紙まであります。まだまだ大丈夫そう。

 

引き伸ばし機はLPL社製の35ミリから67まで対応するタイプとシノゴまで伸ばせる2機種がありました。まだ売っていることにちょっと感動。でも価格は一番安いモノクロ専用機で187450円、シノゴのカラーとなると、なんと616000円! 同じタイプのものが、20年前は35万円でした。それでもあるだけ立派。 

おそらくもう製造はしていないくて、在庫のみなんじゃないでしょうかね。新品を手に入れることができる最後のチャンスですよ。 

周辺機器も値段が高くなっていてカイザー製の印画紙イーゼルで218210円するものもありました。以前1万7千円で売っていたLPL社製のイーゼルは37800円。安く感じます。

 

意外や意外、カラーの印画紙はまだ結構在庫がありました。もうカラー現像機は生産を中止して大分たつし、まともに動くのは少ないだろうに、ちょっと不思議。来年度からは日大芸術学部からもカラー暗室が消えるというから、これも残り時間わずかという感じがしますねえ。

モノクロフィルムはまだ結構種類があります。コダックの他にイルフォードとケントメア。ローライブランドもありました。値段は36枚撮りで1本1000円以上。まあしかたないです。

今一番使っているコダックのトライXブローニータイプは5本で5360円。やはり1本1000円以上。でも最近のトライXはなんだか焼きづらい気がしていて、来年から他のフィルムに変えることを検討中です。

 

カラーネガフィルムはコダックとフジが出していて、24枚撮りだと800円くらいだけど、36枚撮りはやっぱり1000円以上。定番のフジ400Hは1620円。

驚いたのはポジフィルムがまだあったこと。フジの他にコダックからも出ていますが、1本2000円もします。誰が使うんだろ?

エイトバイテンのフィルムも売っています。コダックのカラーネガは10枚入りで45320円! 1枚あたり4500円。現像代をふくめると1枚撮影すると7000円くらいです。これも誰が使うんだ?

お目当ての中外モノクロ定着液3本を手に入れて、帰りがけに向かいのカメラ館に寄ってみました。気になるのはやっぱりシグマの「fp」。

 

持った感じはがっちりしています。放熱用に開けられたベンチ部分が工業製品みたいで、なんかプロっぽい。オートフォーカスはスチールだとそこそこですが、動画だと心許ない。ソニーのようにスパッと切れるようには合わない。

もしかしたらプロ機だからマニュアルフォーカスが前提なのかも。どんな絵が撮れるのか興味あります。