「躍る阿呆」でいたい

朝=ベーグルサンド、トマトとビーツのスープ/夜=カツオ納豆と温玉丼、豆腐の味噌汁

曳舟のRMSギャラリーに、公開ポートフォリレビューを見学に行ってきた。作家9名が「レンズカルチャー」のジムキャスパーとRMSの後藤さんに20分間のプレゼンテーションをする。40名以上の観客の前でのプレゼンは緊張するだろうな。見ているだけでもピリピリしてくる。屋久島の写真祭で会った柏田さんもいたし、知っている作家がけっこう多かった。

20分のプレゼンテーションというのが、ポートフォリオレビューの定番なのだが、自分でやってみると20分はかなり短い。でも横で第三者として聞いていると十分時間はあるようにも感じる。作品や作家の前提を知らない人に対して、どこまで説明するのか、言葉なしに「写真だけ見てください」はほとんどの場合成立しない。相手は「あなたのこと作品のこと聞かせて」という態度だから。時間の都合で最後まで見ることはできなかったが、帰り道に「新作に早く手をつけないと」と思ってしまう。「見る阿呆より躍る阿呆」でいたい。

<2021年6月27日の日記から>

食堂」と呼ぶのがしっくりくる我が家のダイニングの壁を塗ってみた。色は彩度の落ちた緑で角度によってはグレーにも見える。僕ひとりではなんともならないので、自粛期間が開けたことで友人2人に手伝ってもらった。壁の一面だけ塗ったのだが、とてもいい感じになった。手前に置いたこげ茶のソファーとも合っている。あまりにいい色だったのでトイレのドアも同じ色に塗ってみた。そうなると次々に塗って見たくなる。借家ではあるが、自由にしていいということなので好きにできるのだ。ありがたい。プリントについて書いたら「インクジェットで良いプリントを作るコツはありますか」と質問があったのでここで答えてみます。まずは8万円以上のプリンターを買ってください。これでうまく出なければ、元のデータに問題があります。次に、気に入った写真を、一度プロのプリンターにプリントを頼んでください。これで気に入らなかったらやっぱりデータの方に問題があります。そして大事なのは、「自分の基準」を作ること。何が良くて何が悪いのかは基準があるからわかるもの。基準なしに考えていても常に「なんか違う」って思うはずです。プロのプリンターに頼むのは、その基準を探るためです。最後に、とにかくたくさんプリントを見る、つまり写真展をたくさん見に行くということ。そのためには足を運ばなくてはなりません。その点東京の人は有利ですね。「ああ、ここまでプリントは追い込めるんだ」っていう基準を作ることができる。階調が全部出てるからいいわけじゃないけど、どこまで出るかは知っておいた方がいいわけです。当たり前のことばかりだけど「自分の基準」がない限りは「良いプリントを作れない」というのが40年間プリントをやってきた結論。なんかつまんない答えですいません。劇的に変わるプリンターの設定方法とかあるといいんですけどね。

<2016年6月28日の日記から>

2段ベッドが並ぶパリ安宿の朝。中国人のイビキで断続的な睡眠になったが体調はいい。今回は長旅になるので、できるだけ支出を抑えていかないと。エアラインはエールフランス。直行便で一番安かった。9万円。食料も持ってきていて、後の宿泊はフランス人アーティストやオーガナイザーの家に泊めてもらうことになっている。昨日は宿に荷を降ろしてから近くのビストロで食事。5人で肉、魚、サラダ、トマトスライス、エスカルゴ、ソーセージ盛り合わせ、パスタ、ワインのボトルを一本入れて7000円弱の大満足。腹ごなしにノートルダムに寄ってお茶をして、地下鉄で帰ろうとした。電車に乗り込むときに妙に近づいてくる女性がいた。不審に思っていると、自分と僕の間を雑誌を横にして腰から下が見えない状況にした。するとズボンのポケットに入れてあったサイフを引っ張られる感触が伝わってきた。。あっと思って手を掴むと女の手は僕の財布を握っていた。スリだ! 手を掴まれて彼女は驚いたように僕を見ている。耳元で大声を出したらサイフを諦めて僕から離れようとした。周りを見たら仲間と思われる男がいたので、握っていた手を離して更に大声を出して突き飛ばすように女を電車からホームに追いやった。ドアが閉まると女はこちらに手を挙げ悪い悪いという仕草を見せて、男とともに足早に立ち去っていった。サイフは紐でズボンに結いつけてあって、すれ違いざまに盗むのは無理だったろうが、さすがに驚いた。日本でも海外でもスリに遭うのはこれが初めて。宿の人がパリではスリに気をつけろと言っていた時は、他人事のように聞いていたのだが。幸い被害がなくてよかった。最初から波乱含みのフランス旅のスタートだ。