大根の煮物

朝=野菜あんかけパスタ/夜=土鍋で豚と大根と野菜の煮込み、納豆、白米

自営業にとって1月2月は憂鬱。確定申告の時期だから。妻が1年分の経費をさらっていくのだが「これは何?」と問い詰められる。妻はただ帳簿に記載するためにやっているわけだが、その度に「あ、それカメラ、それはレンズ、それはマイク」と説明するたびにビクビクする。とうぜん必要経費なのだがなぜか後ろめたい(笑)。

僕は一日中写真展の準備とトートバック作り。そして朝と夜のご飯作りをしたのだが、最近は作ってもらってばかりだったから、ひさしぶりすぎて手順を忘れている。沢木耕太郎がインタビューで「掃除も洗濯も料理もなんでもできるのがいい」と言っていた。自由についての話の中で出た話だったが、大きくうなづいてしまった。ひとりでなんでもできるようにというのは、つまり一人旅につながるわけだ。

<2022年1月15日の日記から>

午前中に松本入り。今回で4回目で最後の撮影になる。戻ったらすぐに画像を納品、これまでの写真と合わせて2月中旬に印刷物となる。今日は土曜日の人物撮影のロケハンと足りない場所の風景撮影。ハッセルブラッドX1D2を使った。1年使っても撮るたびに感動してしまう発色。色の作り方が抜群にうまい。ポートレートだとなおさら。寒くてバッテリーの消費も早いので大型のモバイルバッテリーから給電しながら使う。夕方ホテルに戻り、PCで今日の撮影分のチェック。センサーに数カ所ゴミがついていた。絞り込んで撮影していたので目立ってしまう。帰ったらサービスに出さないと。翌日の動画撮影で使うために持ってきたパナソニックS5の設定を最終チェックしていたら、担当者から電話があった。「松本のコロナ警戒レベルが5になってしまったため、非常に残念ながら明日の人物撮影は中止となってしまいます」。まさかのタイミングでの警戒レベルMAX。さあ、どうする。もう撮り直す時間はない。とりあえず冷えた体を温めに銭湯へ。風呂につかっているうちに「なんとかなるさ」と思えてきた。

 <2003年1月15日の日記から>

朝5時半集合。当然外は真っ暗、風が強く寒さがしみる。アシT、自転車で20分かけて暗室に到着。ちょっとだけ同情。外気温3℃。朝がこんなにこっぱやいわけは、築地市場を撮るため。築地には一般客が入ることが出来る「場外」と関係者オンリーの「場内」とにゲートで仕切られている。場外をうろつくも築地らしいところがない。意を決して場内に潜入。許可はない。だまてん。すると場内は「おお、これこれ!」という活気にあふれている。ぼやぼやしていると運搬車にひかれそうになる。皆、寒空のなか湯気を上げて働いている。どこかいいところがないか場内を歩き回る。ここぞと思っても三脚を立てるスペースなどありはしない。30分以上歩き回るが見つからない。段々日が登ってきて焦りが出る。今日はロケハンでもいいやと考えていたが、なんとか1カットは撮りたい。最後にマグロを並べている入り口付近にポジションを発見。急いで三脚を立て撮影。アングルを少し変えて2カット。最後にはもうマグロが引き取られて少なくなってしまったので終了。外はもう朝日が差していた。暗室に戻り、依頼のあった以前撮ったネガを探し、ベタ焼きを作る。家に戻り休憩の後、渋谷を撮影にもう一度出る。渋谷に来たついでに「ウィリアムモリス」でやっている「千田貴子写真展」を見に行く。送ってもらったDMにそそられるものがあった。今年初めての写真展だったが大当たり。モノクロで撮られた水族館や温室などのガラス越しの風景。久々に「眼においしいプリント」だった。帰路ディレクターTさんの事務所にベタ焼きを納品。彼は今月5日に子供が生まれたばかり。忙しそうだったが顔はほころんでいた。家に帰ってネットを見ていたら「長島有里枝の電子子育て通信」
というのを見つけた。子育ての懐かしい記憶がよみがえる。彼女は写真だけではなく文章もいい。