等伯「松林図屏風」

朝=海苔巻きお餅/昼=卵サンド/夜=牛肉弁当

上野の東京国立博物館で15日まで長谷川等伯の「松林図屏風」を公開しているというので見に行ってみた。先史古代から始まるのは先週行った国立歴史民俗博物館と同じ。でも上野の東博の方が、ちょっといいもの置いてある感じがする。飛鳥時代の仏教美術館から平安、鎌倉、室町と続き、安土桃山のハイライトが「松林図屏風」。思ったよりも大きかった。ガラスがあるものの、近くまで寄れるので細かいディティールが確認できる。実際に見に行くって大事だね。「松林図屏風」は明治政府になって、一番最初にコレクションしたものだそうだ。水墨画の中の水墨画だというが、なるほどね。今まで画像でしか見ていなかったので実物を見られて良かった。どうやら毎年正月企画として「博物館に初もうで」見れるようだ。

上野からお茶の水のギャラリーバウハウスへ。写真展「LIFE 写真のある生活Ⅲ」が2月25日(土)までやっている。これがすごい。まず最初に目に飛び込んで来たのが杉本博司「劇場」。それも4枚。「フェロがけ」してあるプリントだから、かなり初期もの。そのほかにもザンダー、スデク、フランクと目がまわる。田原桂一の「窓」とか森永純の「河」まである。しかも買える。決して高くない。オーナーの小瀧さんにいろいろと話を伺う。最近「写真をアートにした男 石原悦郎とツァイト・フォト・サロン」を読み返していたので、石原さんのことを聞いてみた。僕が大学に入学した頃は面白い時代だったみたいだ。そこに気がつけないなんてなんだか損した気分だ。

<2022年1月14日の日記から>

写真集印刷2日目。とてもスムーズに進行した。印刷は謎のムラだったり、色転びなど一度問題が出たりすると、解決に時間がかかり、現場が徐々にピリピリし始めて控室での口数が少なくなるものだ。でも今回は終始和やか。2月上旬の配本が楽しみだ。写真集を1冊作るのには、撮影だけではなく編集、デザイン、印刷、製本と手間と時間が膨大にかかる。かといって大きな利益が出ることはない。それでも作りたいのだ。「2BChannnel」では、これまで作家の話は色々と聞いてきたが、今年は写真集を取り巻く人たちのインタビューをしていきたいと思っている。印刷所からは、車で中野駅にまで送ってもらった。数ヶ月かかった仕事がひと段落して、気持ちが晴れやか。そのまま駅裏にある「フジヤカメラ」に寄ってみた。ここ最近、僕の周りではソニーのα7Ⅳの話題で盛り上がっていて、友人も数人購入している。30万円と普及機並の価格で、7Ⅲよりも動画性能が飛躍的に上がっている。触らせてもらったら確かにいい感じ。でも欲しくても物がない。今予約しても早くて4月。中古品が新品より高いところもあるみたいだが、都内の目ぼしいお店で検索してもどこにもない。そのことは事前に知っていたので冷やかしに「ソニーα7SⅢの中古はありますか」と店員に聞いてみたが「新品も中古もございません」。でしょうね。ついでに「まさか7Ⅳはないですよね」と聞いてみたら「少々お待ちください」と店員は奥に消えていった。続く。

<2014年1月14日の日記から>

娘が成人式を迎えた。20年はあっという間。生物学的な責任を終えたような気になっている。もっとも何にもしてこなかったけれど。もう父親は頼られる存在ではなくなった。娘ができることのほうが多いのだ。ちょっと寂しいが、その分嬉しい。成人式で着る着物で写真を撮ることになった。小さい頃から写真を撮りすぎたせいか、娘は写真を撮られのが嫌いになった。小学校5年生くらいからかなあ。今回も「お父さんとお父さんの知り合いには撮られたくない!」と断固拒否の姿勢だった。まあしかたあるまい。着物はレンタルだったので、セットでスタジオ撮影がついているからそれでいいということなのだ。で、前撮りに行ってきたのだが憮然としている。出来上がった写真を見たら十分よく写っている。ライティングもいいし、プリントもきれいだ。いいじゃないか、と言ってもこんなの嫌だと言う。なんでだめなの?と聞いたら「こんなポーズありえない」と言うのだ。確かに傘を持っているポーズは如何なものかとは思ったが。それでようやく父親登場になった。再度着付けをして自宅で撮ることにした。ガレージの物干し竿に大きな布をかけて即席スタジオを作った。α7にコンタックスのプラナー85mmF1.4をつけて撮ることにした。この組み合わせは肌の色ノリがいい。レタッチしなくても十分きれいだ。幸い薄曇りでちょうどいい光になっていた。ガレージから始めて玄関、彼女の部屋と場所を変えて思う存分撮った(笑)。アップはもちろんだが、ちょっと引いて家の様子がわかるようにした。彼女の娘が成人した頃に楽しめるようにだ。プロカメラマン30年の仕事だ、結果は悪かろうはずがない。以来、娘の父親に対する評価はちょっと変わったようだ。