2本撮り

昼=鹿肉の玄米カレー、菊のおひたし、タコとカリフラワーとブロッコリーのスパイス炒め/夜=キノコと野菜のラーメン鍋

昨日は午前中からずっとバタバタしていたので日記を書かなかった。ただの日課みたいなものだから、別に書かなければならない理由はないのだけど。

石井さんに来てもらって「2B Channel」の写真集紹介動画を2本収録。彼の持っている写真集で気になるものを僕が解説していくシリーズを作っている。今までクーデルカ、ブレッソンとやってきて、今回はソール・ライターとロバート・フランク。時代背景を考えながら説明してみた。写真集は小説なんかと違ってわかりづらい面がある。名作写真集というのは、即ち時代性を写し込んでいるので名作と呼ばれるので、その時代がどのように映り込んでいるのかを見ると面白いのだ。

石井さんは先月買ったバルナックライカに夢中なようだ。露出計がついていないので、4パターンだけ露出を教えたのだが、ネガカラーだからまったく問題なく写っている。そうなると気になるのがM型ライカなのは間違いないところ。復刻のM6は75万円だそうだ。

 

<2021年10月23日の日記から>

雨。肌寒いんじゃなくて、芯から寒い日に、千葉の佐倉にある「川村美術館」へ。ここは年に一度は来る。一番好きな美術館かもしれない。東京駅八重洲側近くから直通のバスが出ていて、遠いけど意外と便利。朝10時ちょっと前に出て11時には美術館につける。晴れたら広い庭の中でお弁当を食べるつもりだったが、この天気では無理なので、まずは館内のレストランで昼食。さて、美術館では現在、「ミニマル/コンセプチュアル」の企画展をやっている。1960年代からアメリカを中心に、美術はミニマルとコンセプチュアルの時代になっていくのだけど、川村美術館の今回の展示は、ドイツデュッセルドルフにあったフィッシャーギャラリーで扱われた作品を中心としたもの。工業製品や既製品を使い、作者の感情を廃した「じゃない美術」だ。当時いち早くその存在に目をつけデュッセルドルフで、ギャラリーを開いていたフィッシャー夫妻の膨大なコレクションと資料が展示されている。その中には写真だとベッヒャー夫妻のものもあるし、ゲルハルト・リヒターのフォトペインティングもあった。かなり大きなスペースを使っての企画展で、じっくり見ていたらかなり時間がかかった。常設展も昨年とは違った作品が掛けられていて、あっという間に3時半の帰りのバスの時間になってしまった。できればあと1時間バスが遅ければといつも思ってしまう。

<2007年10月23日の日記から>

写真の審査を終えたら、次はコンテストの講評を書かなければならない。見るのはこれほど楽しいことはないが、それにコメントをつけるのは毎回苦労する。基本は、なぜこの写真を選んだのか、ということをコメントとして書く。金賞を選ぶ基準はといえば、上手い下手より「すげなあ、こんなの撮れない」につきる。

半日かけて書き上げたところで新宿へ。今日は竹下太郎写真展の初日。コニカミノルタフォトプラザが若手写真家を発掘するためのアワード、フォトプレミオ受賞展だ。彼はフィリピンの島を舞台に作品を作っている。僕が南の島のシリーズで撮ったカオハガン島も入っている。タイトルは「望郷」20歳の年齢で感じる望郷の意味は作者コメントにある。正方形の画面のモノクロ写真。新しさはないが、いつまでたっても古くはならない写真だと思う。今回のコニカミノルタプラザは3ブースともモノクロ。ギャラリーAの平松伸吾もよかった。どこか醒めた熱さを感じる写真だ。ギャラリーCは長野重一。あきれるくらい凄いプリントだ。AとBが「まだまだ子供だね」と思えてしまうほど。閉館後、10人ほどで竹下太郎の祝賀会。僕が竹下太郎くらいのプリントを作れるようになったのは35歳くらいだったなと飲みながら思う。