今年に入ってからというもの、自分の写真展で精一杯で他の写真展に行ったり写真集を買うということはほとんどなかった。
時間的にどうこうというより、人の写真が見たくなくなるのだ。
納品も終わりようやく解禁というわけではないが、写真展を見に行こうという欲が湧いてきた。
手始めに野口里佳を見ようと国立新美術館に行った。乃木坂の6番出口は美術館と直結している。
改札を出たら無情にも「本日は休館です」とあった。火曜日が定休なのだ。知らなかったあ。公的なものは月曜休だとばかり思い込んでいた。
乃木坂から新宿へ戻り、プレイスMや蒼穹舎、ルーニィを回る。蒼穹舎では写真集を購入。あれもこれも欲しくて抑えるのが大変。
鈴木龍一郎「Druk」 吉行耕平「The Park」村越としや「草をふむ音」
吉行耕平の写真集の初版本は以前パリの美術館でショーケースに入って「Recommend」として展示してあった。
村越としやは名前は知らなかったが617で撮られた写真が実に地味でいい。なんでもない風景をなんでもなく撮っている。こんな地味なことができるのはすごい才能。まだ20歳代の写真家らしい。オリジナルのプリントを見てみた。多分相当きれいなはず。
夜の7時からはギャラリートーテムポールで写真家百々 新トークショーがあった。相手役は映画監督川瀬直美。
会場で1999年に出版されている百々 新「上海の流儀」を購入。Moleから出版されている。
写真展はカスピ海沿岸の国を撮影したものだ。http://tppg.jp/
トークショーはあっちこち飛びながらも制作の本質的なものを二人で語っていくものだった。僕は川瀬直美の言葉を聞いていて手のひらがぐっしょりと汗ばんできたのを感じた。会場の暑さのせいでは説明がつかないほどの汗だ。
さっぱりした。ふたりの言葉はすごく腑に落ちた。
阿佐ヶ谷の駅で降りて、一杯飲み屋で生ビールと焼き鳥を数本注文し写真集を広げる。
たまにはひとりで飲むのもいい感じだ。