コダックのエクタルア

朝=ホットサンド、野菜トマトスープ/夜=玄米のドライカレー、胡瓜と切り干大根と生ハムのサラダ

冬青で展示している「午後の最後の日射」のプリントはコダックのエクタルアという印画紙を使っている。表面が縮緬状になっていて、マットとも半光沢とも違う。ベースの色は乳白色と言うよりクリーム色に近い。銀の含有量が多いから黒が締まって見える。ただしコントラストは変えられない。プリント時には明るさしか変えられないから、ネガの調子が整ってないとプリントすることはできない。

エクタルアを使うようになったのはセイケトミオさんのプリントを見たからだ。PGIというギャラリーで見た時に「こんなプリントをしてみたい」と思った。いま思えば、あの時プリントを買うべきだった。もう手の届かない値段になってしまって、いまでも後悔している。

セイケさんが使っていたのがエクタルアだった。それから全てをエクタルアに合わせて考えるようになった。オーディオでいうなら、鳴らしたいスピーカーがあって、そのためにシステムを組むようなものだ。最終的な出口がエクタルアに決まったことで、露出や明暗差というものがわかるようになってきた。エクタルアが使えるようになったことで、モノクロプリントの面白さがわかった。エクタルアを使わず、それまでのようにコントラストを変化させられるものを使っていたら、途中でモノクロをやめていたかもしれない。

それだけに、2002年頃に生産中止になった時のショックは大きかった。その後ようやく見つけたアグファMC111も2005年で生産終了というかアグファ自体が消滅してしまった。その度に次のものを探すのに時間と手間をかけることになる。正直モノクロは昔焼いたもの以上のものが作れる気がしない。

最近、カラーネガフィルムを大量に仕入れた。もうこれが最後になるかもしれないという危機感もある。5月の写真展が終わったら夏は積極的に撮影することになる。

 

<2009年5月9日の日記から>

米沢のプリントを2日間かけてプリント。ようやく調子が出てきた。「俺って天才!」と思えてきた。これで絞り、秒数、コントラスト、印画紙現像時間の基本設定が確立した。後はこのまま焼くだけ。基本的に覆い焼きも焼きこみもしないストレート焼き。こうなると焼くのが楽しい。これまで焼いたプリントはゴミ箱へ。ここで大問題が発生。印画紙のストックがもう残り少ない。後120枚ちょっと。設定を出すのに使いすぎたようだ。実は使っている印画紙がデッドストックのアグファ111。とてもいい印画紙だったが製造元のアグファが会社精算。最後の流通分200枚以上を買ってあった。サイズは大四つ切。これで25カットのプリントを作るつもりだ。販売用も考えると残りを丁寧に使わないと。でも、「俺って天才」って思えたのは大きい。少なくとも自分くらいそう思えないと1ヶ月の展示は荷が重過ぎる。7月の会期が近づくにつれ「作品できました?」と聞かれることが多くなった。実はまだギャラリー冬青には何も見せていない。何を撮っているかも言ってない。昨年パリフォトの時「渡部さんは7月だから」と言われたきり打ち合わせもしてない。7月の冬青の展示は撮り下ろし。初めての経験だ。