冬青で待ってます

朝=野菜のあんかけ玄米パスタ/夜=お寿司

5月6日金曜日からギャラリー冬青で写真展『午後の最後の日射』が始まります。基本、毎日在廊しています。1993年から1999年までローライフレックスで撮ったモノクロのプリントを26セット52枚展示します。ひとつの額に2枚のプリントが入っています。「なぜモノクロで南を島を撮ったのですか?」と2000年に写真集『午後の最後の日射』を出した時によく聞かれたのだけど、最初は積極的な理由ではなくて、せっかく仕事を離れて旅に出るのにカラーフィルムを持っていくと、どこかで仕事と結びつかないか、撮ったものを出版社に売り込めないかと考えてしまうので、あえてモノクロで撮ることにしたのだ。モノクロで撮った南の島の写真には、誰も興味がないだろうから。だから8年間で撮りためた写真は、写真集が出るまではどこの雑誌にも掲載されていない。でもずっとモノクロで撮っているうちに面白くなってきて、気がついたらすっかりモノクロプリントにはまっていった。目的のために手段を選んだのではなく、手段が徐々に目的に変わっていった感じ。自分で言うのもなんだけど、味のあるプリントになっている。いま見るとかなり新鮮。

 

<2012年5月6日の日記から>

「こどじ」でハイボール。液温22度。フィルム現像にもプリントにも最適な季節となってきた。GW中ということもあって、ワークショップも通常とは違った特別講座をやってみることにした。1時間ほどかけてデジタルカメラで街中を好きなように撮って、その後お店の同時プリントで撮影した中から~30枚選んで2Lに焼いてもらう。それを2Bに持ち込んでひとりづつ大テーブルに広げ、自分が何を撮ったか説明していく。そしてどういうものに興味があって、何をどのくらいの距離(スタンス)で撮ったのかを検証していく。「こういったイメージ撮りたかった」と趣旨がはっきりしている場合は、その方向性が明確になっている写真集を2Bの本棚から引っ張り出して説明していく。気持ちの赴くままに撮った場合は、写真を分類していくことで何に興味を持っているのかをはっきりさせてあげる。実はこれと同じことを、2Bのグループ展の作品作りで最初に行う。テーマを持って撮影しようと思っても何を撮ればいいのかイメージが湧かなかったり、壮大すぎて手におえない場合が出てくる。なにせ写真はカメラを使うものだから考えたように撮れるわけじゃない。そこで「とりあえず、最近撮ったものをバサッと持ってきて」といことになる。六つ切りにプリントされたものをテーブルいっぱいに並べて作者から話を聞いていく。そして写真を分類していくことで、どのように被写体を見ているかをはっきりさせる。それを頭にいれて、もう一度撮影にでかけてもらう。そしてまた焼いたものをテーブルに並べ整理していく。それを繰り返すことで「どのように見るか」をはっきりさせていく。だから特別な風景とかではなくて、何度でも撮りに行けるところがいい。よく言うのは「まずは目の前から」。風景や物に対する接し方が決まってくれば、後はそれを外国なり、地元なり、その時興味があるところに当てはめていけばいいことになる。僕は「どのように世界を見ているか」がそれぞれの人の大きなテーマであり、コンセプトとなりうると思っている。