「写真集は作るより売るほうがずっと大変」
と、写真家齋藤亮一さんが言っていた。置いておけば勝手に売れるもんじゃないから。ちなみに齋藤さんはこれまで14冊の写真集を出しているから実感がこもっている。
現在「demain」はまだ流通していないので手売り状態。毎日梱包しては郵便局に運んでいる。10冊送ろうと思うと結構大変。
Anypay決済を導入してみたが、どうやらVIZAか masterカードしか使えないようなので、銀行振込希望のかたはご連絡ください。
「da.gasita」と「prana」は1キロもある大型本だったので梱包も発送も大変だった。海外に運んだりすると泣けるほど。10冊で10キロ。20冊持っていくとスーツケースひとつがパンパン。他のものは一切入らない。
海外のブックフェアで、ある出版社から目からウロコ級のことを教えてもらった。
「我々の写真集は海外通販と手売りが基本。だから軽くて質の高いものを作る。半分の重さで作れば倍もっていけるし、海外に送るにしても送料が安く済む」
これには驚いた。これまで重さで写真集を考えたことなどなかった。写真集を作ろうと思うと、つい大きくて立派なのがよく思えてくる。そうではなくて、デザイン性はあるが軽いものを作り、ネットや手売りで売っていくというのだ。
冬青で本を出してもらうと、大手流通会社との取引と信用があるため全国どこでも書店で購入できるようになる。
「da.gasita」は書店で売ってもらうことで完売できた。手売りなら無理だったろう。文庫本の「旅するカメラ」のシリーズは自分の知らないところで売れていった。書店流通というのは実にありがたいシステムだった。
しかし現在書店は激減している。ということは、これまでのビジネススタイルが変化してきていることになる。ほっといて売れる時代ではないなら、手売り直販のための仕組みを考えざるをえない。
今回「demain」のサイズを決めた背景にはその辺もある。デザインと重さとサイズ。今回はそれらのバランスがピタリと決まったと感じている。
というわけで「demain」は梱包も郵便局に運ぶのも、前回とは比べものにならないほど楽になった。