屋久島最終日、目が醒めて窓を見ると青空が見えた。久しぶりの快晴。
普通なら「最後に晴れるなんて」とがっかりするところだが、今回に限ってはそれほど晴れにこだわらなかった。
屋久島は緑が深い、木々に苔が絡みその青さを一層濃いものにしている。そこへ雨が降ると美しさが増すからだ。
行く前は雨の山歩きなんて御免だと思っていたのだが、いざ森に入ると、全くと言っていいほど雨が気にならない。小雨ならむしろ気持ちがいいくらいだった。
雨季ど真ん中の屋久島に行ったのだが、都合よく雨がやんでくれたのには驚いた。カメラを取り出すと雨がやむのだ。天候に関しては奇跡的。予報では雨なのにそこだけ晴れていたり。
縄文杉だけは行かなかったものの、島中を見て歩いた。ある森の中に鹿と猿のサンクチュアリのようなところがあって、野生の動物が目の前まで現れる。小猿や子鹿が手が届くようなところで遊び、それを見守るするように親が我々に近づいてくる。
敵意を見せるわけではなく、ボスザルは僕の目の前に座りじっとこちらを見ていた。雨上がりの薄暗い森での不思議な出来事だった。
屋久島での経験は素晴らしいものだった。でも実は一番心が踊ったのは、船で1時間半の口永良部島での3日間だった。一泊の予定で渡ったのだがあまりに気持ちよくて2泊してしまった。できれば一ヶ月くらい滞在したいほどだ。
泊まった宿からの眺めはこれまで泊まった宿の中でも最高クラス。でも素泊まりで食事なし。島に食堂はない。お米を宿で分けてもらえるが、おかずは海で調達してくるしかない。
岸壁で釣り糸を垂れると、素人でも高級魚の縞鯵が釣れる釣れる。結構大物もかかって刺身にしたりお吸い物にしたり焼いたり揚げたり。自分で釣った魚って美味しいものだ。
火山口まで登り、温泉に入り、魚を釣って、酒を飲んで。宿には大きなテラスがあり目の前には海が広がっている。今、一番やりたいことがすべて詰まっていた。
右目を悪くしtて、頼みの左目もどうなるかわからず、強がっていても運の悪さを呪いたくなるときもあったが今回の旅で、まだまだ自分の運は捨てたもんじゃないなと思えてきた。
本来なら4月頭に3泊4日の予定で「ちょっと屋久島を見てくる」はずだったのにそれがかなわず屋久島には縁がなかったのかなと思っていた。それも今回のためのお膳立てのように思えてくる。
一緒に行った妻は帰るなり「次の屋久島はいつにする?」と言っている(笑)