自分がSONYα7とα7Rの写りの違いがわかる男ではないことは確かだ。

毎年2Bの新年会では余興としてクイズをやっている。

たとえばハッセルとローライで同じものを同じ構図で撮って、同じサイズにプリントし「どちらがハッセルでしょうか」というやつだ。

キヤノンの3万円くらいで買えるレンズとライカの50万円のレンズを比べたり、トライXとT-max400で撮ったプリントを並べたりする。

もともとはローライコードを持っていた受講生が、ローライフレックスがどうしても欲しくなり、奥さんにそれを言ったら「そのコードとフレックスというのは形は同じに見えるけど写りが違うの?」と聞かれたことに始まる。

コードは4万円くらい、フレックスとなると15万円はする。その4倍近い値段の差が写りに現れるのかということだ。

一生懸命その違いを説明するも納得を得られず、ついにフレックスを借りてきてコードと撮り比べをするということになった。

一般的にローライコードの写りはコントラストが高く、ローライフレックスの写りは繊細で柔らかいとされている。

ところが二つのカメラを同じ場所で、同じ露出で、同じ画角で、同じフィルムを使い、同じ現像をし、同じ引き伸ばし機で、様々なシチュエーションの10場面を撮ったものをプリントしたところ「渡部さんどうしましょう、僕にはその違いが分かりません」と泣きついてきた。

長いことローライフレックスを使っている自分にとって両者の違いを見極めることなど造作もないことのように思われた。

「そんなのすぐにわかるよう」

果たして10組の写真を見比べると簡単に両者の写りの違いを見つけられた。

ところが、

どっちがコードでどっちがフレックなのかまるで分からない。確かに違いはある。でもこれがコードでこっちがフレックスとは言いきれないのだ。

重箱の隅をつつくような見方をして「周辺が流れているような気がしないわけでもないからコードだ」ぐらいの感覚。

結局10組中7枚が正解で面目は保ったものの、はっきり言って半分はあてずっぽう。

その写りの差が値段の差ほど明確ではない事実に驚いた。

この10組のプリントを皆に見せて、これまでの固定観念を崩してやろうと思ったのが新年会のクイズの始まりだ。

その結果、一番当たったもので10問中8問正解。ほとんどが5割。二択だから適当につけても半分は正解なはずなのに悩みに悩んで3問なんていうのが続出した。普段レンズ描写の違いを言い合っているものにとって、これは衝撃的なクイズだった。

以来毎年の恒例となり、そのたびに己の見る目の無さにがっかりするものが続出する。

今年のクイズ制作には買ったばかりのソニーα7が大活躍だ。ソニーツアイスvsライカズミルックスとか、α7vsライカM9、それと目玉のα7vsα7R。EOS5DMark2vs5DMark3も比べてみた。

男はどうも本能的に何かと何かを比べることが好きなようだ。女性にとってはどうでもいいことで喜んでいる。

α7Rと7なんてA2サイズにプリントしても、ちっともその差はl分からない。ローパスレス3600万画素と2400万画素なのだから1.5倍も情報量に違いがあるのにA2くらいじゃさっぱりわからない。

果たして来年の新年会で、その違いを見極められる目利きは誰なのか。

難問をクリアしクイズに正解できたものにはビックリするくらいの商品を手にすることができるのだ。