高円寺のプラサンカフェでお茶を飲んでいると携帯が鳴った。
「コニカミノルタ通りました!」
昨年ネパールに一緒に行ったOさんからの喜びの報告だった。思わず僕まで「やったー」と店内にもかかわらず声をあげてしまった。
新宿タカノフルーツパーラーのビルにあるコニカミノルタが運営する写真ギャラリー。そこで展示するには年二回の審査に合格しなければならない。注目度の高いギャラリーのため競争率が高く通過するのは大変なのだ。
応募作はネパールの写真。マキナ67とトライX60本から生まれている。ネパールのためにマキナを買って行ったそうだ。最初はぎこちなかったカメラの持ち方も、最後には立派なマキナ使いになっていた。
レンタル暗室にこもり200カットをプリントしたものをセレクトし、コニカミノルタプラザの審査に応募したのだ。同じ時期にプリントしていた女性のSさんは、すでにニコンサロン銀座の審査に通っている。
どちらも全国から集まった大量の作品から選ばれるわけだから、同じ現像バットで「混浴」していた2人が同時に審査に通るのはとんでもない確率だ。
メーカー系のギャラリーでやることだけが正しいとは思わないが、最初の個展は人の手を通って認められて、皆から祝福されてやれるのはとても意味があると思う。
僕が最初にやった写真展は銀座コダックフォトサロンで32歳の時だった。届いた通知の封筒を開いたときのあの感覚は今でも覚えている。なんとも気持ちのいいものだった。これでスタートラインに立てたと思えた。
当時の館長に「君を選ぶかどうかで審査はとてももめた。君が選ばれたことで才能ある写真家が一人外れたことになる。君の若さにかけることにしたんだ。だから写真をずっと続けてくれ」
この言葉はずっと僕の支えになっている。
先週も何人かがニコンサロンの審査に応募している。経験者によると、審査後(審査日は教えてもらえる)すぐに通知がくると落選で、ちょっと間があると合格だそうだ。ニコンのユーナは80円切手だと落選で、120円切手だと合格だという話もある。
待っている間というのは時間が過ぎるのが長いんだよなあ。