上からどうぞ

家に戻りお茶を飲んでいると携帯が鳴った。電話に出ると「Hellow,Marth I am Martha」

ガイジンだ!なんか言ってる。パリフォトて聞こえる。私を覚えているかって、そりゃ無茶だ。本を買ってくれた人のようだ。メールを出したが読んだかって言ってる。

慌ててパソコンの迷惑メールを見たら確かに入ってる。全然気がつかなかった。彼女は写真集素晴らしかった。あれもこれも(以下しばらく彼女が感じたことをずっと話している)本当にエクセレントでアメージングだ。

僕はイエスとサンキューくらいしか発していない。ところどころたどたどしい日本語で話かけてくれるので、英語で答えていいのか日本語でいいのか戸惑う。としかくメールを見てすぐに返信しますといって電話を切った。

メールには「私はパリフォトであなたの写真集を買った。とても素晴らしかった。私はボストンでギャラリーを持っている。日本人作家もたくさん取り扱っている。東松照明、土田ヒロミ、柴田敏夫、他にもたくさんいる。あなたのことがもっと知りたいのでこれからずっと連絡を取りたい。英語ができないなら日本語でもいいからあなたのことを詳しく、テクニックの面も含めて教えて欲しい」とあった。

思い出した。写真集を買ってくれたときにギャラリーを経営しているが今はスケジュールが決まっていてあなたの写真展ができないのがとても残念だと言ってくれた人だ。向こうの人は褒めるのがとても上手いから社交辞令だとばかり思っていた。

とりあえず作ってあった英語のバイオグラフィーを送った。このために作ったようなタイミングだ。

パリフォトが終わって英語を続けるモチベーションをどこに持っていこうかと思っていたが、それは向こうからやってきた。

電話でワタワタしている僕を見て娘が「お父さんあんなに勉強していたのに全然英語喋ってないじゃん」

無理を言うな。朦朧とした頭で、突然の電話で、流暢な英語が出てくるわけないだろう。言ってることが理解できただけ上等でしょ。ちょっと前なら即座に電話切ってたよ。

フランスの次はアメリカか(笑)