昨夜から調子が悪く、早く寝たのに今朝は最悪。
土砂降りの雨にあたったせえだ。風邪かな。
撮影機材を事務所の2階から運び出し、電車を使って現場移動するつもりだったが、目の前にちょうどタクシーが止まっていたので乗り込んでしまった。
今日は4人のポートレートを撮る仕事だ。セットをひとり組んでディレクターを立たせてライトチェックをする。
撮影が始まるとストンと気持ちが良くなってきて、終わる頃にはほぼ全快していた。本当に仕事の撮影は僕にとって特効薬だ。今日が撮影でなかったら今頃家でゴロゴロしてたことだろう。
機材を現場において昼休みに銀座ニコンサロンとキヤノンギャラリーを見て回る。
ニコンでは染谷学写真展「温泉の町」をやっていた。彼のことは10年以上前のカレン族を扱った作品の頃から知っていた。
古びた温泉地を巡る2泊3日ほどの短い旅なんだろう。取材でもなんでもなくて、ただブラっと行っているのが分かる。同じ世代、温泉地への郷愁は似たものがある。
自分が子どもの頃まぶしくて、ちょっといかがわしい匂いのした温泉地。
なんでモノクロっていうのは朽ちてゆくものに合うのだろう。「昔は私も若くてねえ」というお婆さんになった温泉地のポートレートみたいなものだ。
キヤノンではF1ドライバー佐藤琢磨を3人のレースドライバーが撮った写真展をやっていた。いずれも雑誌『Number』でよく見かける名前だ。
写真はもちろんいいのだが、それぞれのキャプションが凄くよかった。佐藤琢磨のことがちょっと理解できたようで嬉しかった。
そういえば染谷さんのキャプションもいい。いい写真を撮る人の文章は例外なく良いものだ。美文というのではなくて、そこに撮る理由があって、それを伝えようとする気持ちがあるからなんだろうと思う。