「8×10展」と「駄カメラ展」

美術史本講座は11日日曜日の夜8時から。

朝=きつねうどん、茹で卵/夜=鳥唐揚げ、トマトときゅうりとチーズのサラダ、べトナム風炒飯

8×10グループ展の搬入に東陽町の区民センターへ。毎年大型カメラ縛りのグループ展が10年以上続きていて、僕も数年前から参加している。このデジタル時代に大型カメラをわざわざ使っている「変わり者」の集団なので居心地がいい(笑)。なにせフィルム1カットが千円くらいする。カメラだって特殊。わざわざ費用対効果で考えたら一見無駄なことをやっているのだが、これが写真を撮っている気にさせてくれる。

今年は新宿ゴールデン街の「こどじ」で撮影したものを2枚展示している。このグループ展がなければ、8×10のカメラを使うことはないだろうな。一旦離れてしまうと戻れなくなってしまって、選択肢をひとつ手放すことになる。なのでこのグループ展は僕にとって重要。

東陽町から小伝馬町へ出て「Monography」に行ってみた。まずビルの1階にあるアイアイエーギャラリーで「駄カメラ展」を見る。これは3000円以下で買ったカメラを使うという縛りでの展示。これが面白い。すべてフィルムカメラで撮られているのだが、モノクロの方が多かった。カラーフィルムが入手困難ということも影響しているのかもしれないし、自分でプリントするためにモノクロを選んでいるというのもあるだろうな。

「Monography」はアイアイエーの2階にあって、写真集や雑貨、ギャラリースペースもある。写真家の上田晃司さんとコムロミホさんが運営している。上田家には一度インタビューで自宅に伺ったことがある。今回は上田さんのルート66を撮影した作品の展示をやっているというので見に行ったのだ。ステファン・ショアを彷彿させるオンザロードの写真が並んでいる。作品集も出ていたので購入。これはライブ配信の時に紹介しようと思っている。

上田さんはデジタルハッセル使いで、すでに1億画素のXD2のレビューもYoutubeでやっている。「普通に使いやすいカメラになりました」ということで、早く触ってみたい。新型レンズを付けるとおそらく160万円から170万円。ちょっと前までだったら500万円はするようなスペックなんだけど、安いとは言えないよなあ。

 

<2021年9月11日の日記から>

午前中に用事を済ませて東京都写真美術館へ。まず2階の「宮崎学 イマドキの野生動物」。カメラを「けもの道」に設置して、そこを何かが通った時にセンサーが感知し自動でシャッターが切れる。これによって撮られた写真は人間が介在しないせいで本来の姿のまま写る。通常は望遠レンズで捉えることの多い動物写真が、触れるくらい近くで写っている。動画もあったけど、写真のほうが全然面白い。じっくりと細部まで見る楽しさ。これまで見てきた動物写真展で一番面白かった。

3階は「リバーシブルな未来 日本・オーストリアの現代写真」。

“日本とオーストラリアという二つの国にはそれぞれの歴史的背景があり、そこに住む人々は独自の精神文化を培っています。しかしながら、グローバル化が急速に進むなか、想像をはるかに超える出来事が日々当たり前のように起こる現代では、私たちが国という枠を越えて共有できるものはますます多くなっています。”   (東京都写真美術館のホームページより抜粋)

 個人的には横溝 静の作品が見られたのは思わぬ収穫。中々出てこない作家なので。オーストリアの作家をまとめて見たのは初めて。ヨーロッパとアメリカから離れた文化は日本文化と親和性があるのかもしれない。地下では沖縄の女性作家「山城千佳子リフレーミング」をやっている。ほぼ映像作品で奥の会場でやっているのは「映画」。何となく1970年台日活時代の大島渚を彷彿とさせる。思わず30分くらい見ていた。1階に戻ったらちょうど映画の上映が始まるアナウンスがあったので内容も知らずにが飛び込んだ。どうやら世界の秀作アニメの上映のようだ。「ナタ転生」という中国の3DCGアニメだった。映像は素晴らしいのだが、僕にはストーリーが1ミリも刺さらず「萌え」要素もゼロ。配信で見ていたら30分で脱落していただろうが、2時間きっちり見てしまった。誰かがゲームをしている画面を横から見ている感じで、内容は「京劇」にある孫悟空の冒険か三国志。今日は違う文化を垣間見る日だったということだ。

 

<2008年9月11日の日記から>

10日夜に帰国。ギリシャのミコノス島から成田までは、ほぼ24時間かかる。でもラッキーなことにビジネスクラスにアップグレードしてもらうことができた。今のビジネスクラスって座席が完全にフラットになるのね。ものすごい楽ちん。今回はヒオス島、サントリーニ島、ミコノス島、世界遺産のデロス島を巡ってきた。毎朝、日の出とともに起きて撮影を終えてホテルの自分の部屋に戻るのが12時過ぎ。日本じゃ考えられないくらい働いた。編集者もライターもコーディネーターも凄い人ばっかり。何が凄いって経験も機転も体力も兼ね備えている。ライターの女性なんて世界で行ったことのないところはないんじゃないかというほど。小脇にかかえたバックからは、魔法のポケットのようになんでも出てくる。お醤油にワサビにショウガに柚子胡椒。カリカリ梅にレモンにカッパえびせん。船で酔って青い顔をしていると、さっとバックの中から酔い止めの薬トラベルミンが出てくる。トラベルミンなんて小学校以来だが劇的に船酔いにきく。飛行機の乗り遅れ、ホテルトラブル、取材不許可、毎日のように降りかかるトラブルを笑い飛ばしてしまえる彼女のバイタリティのおかげで、取材中なんの不安も感じずにすんだ。リゾート地で恥ずかしかったのだが、カメラマンベストを着用して撮影。デジタルとフィルムを使い分けながら島を撮影していった。さっそく今日、ポジフィルムを現像にだして仕上がりを確認する。ラボのライトテーブルに並べる時はいつでもドキドキする。デジタルで同じカットは撮っていて確認ずみなのだが、フィルムだと別物のように写っている。そのなかで1枚、ルーペを覗いていて声をあげてしまったカットがあった。絶対デジタルでは無理というほどの鮮やかさ。ヴィヴィッドなのに嘘っぽくない。10日間苦労したかいがあった。