「すき焼き」

朝 鮭とキャベツの玄米フィットチーネ

夜 すき焼き

やらなければならないことがあって事務所部屋に行くけど、ついカメラを触ってしまって仕事が進まない。月末なので数件の請求を出して、掲載物の文字チェック。その後は、映画を1本みる。昨日見たのと同じ監督で『走れ、絶望に追い付かれない速さで』。映画を作る人の頭の中ってどうなっているんだろう。これを書いている最中にもハッセルブラッド907Xを触ってしまう。ついつい「これで動画も面白いよな」と妄想してしまい、部屋の中で動画を撮ってみたり。

「夜ご飯は何がいい?」と聞かれたので「すき焼き」と答える。もうずいぶん、家では食べてない。米沢の母がまだ元気だった頃、僕の誕生日にはよく米沢牛が送られてきたから、年に1度の贅沢で食べていた。それと、30年も前に、妻の実家に結婚前の挨拶に来た母と一緒に、人形町の「今半」に初めて行ったことも思い出す。だから「すき焼き」って何か特別な響きがあるんだよな。やっぱり東京の味だ。そんなこんなで今日も一日が過ぎる。

<2003年1月25日の日記から>

午前中雑用を済ませ、お昼から昨日の撮影分のプリント。1時間半くらいで終わるかと思っていたら、なかなかうまく焼けず、たった3枚のプリントに5時間かかる。途中、元アシWが露出計を借りに暗室に顔を出した。彼にはシノゴのセット一式とローライの2眼レフを2台持を買出し中なのに今回は露出計。油断しているとハッセルのセットまで持っていかれそうだ。Wは入社した出版社の仕事にも少しは慣れ楽しそうだ。
夜、格闘家魔裟斗の撮影。174センチ70キロ、意外と小さい。が、目は鋭い。ついついアップ気味で撮ってしまう。撮影後デザイナーO氏のところへ今日焼いたプリントの納品。ついでに今やっている「東京」の写真集を作る相談。ざっと制作費の見積もりをしてもらうと1千万円かかるという。僕の考えていた500万円じゃ出来ないだろうということだった。どこの出版社が出してくれそうか情報をもらう。テーマがテーマだけに外国の出版社はどうかという話になる。NYで出してくれないかなあ。以前、「サイトに文章を書くのは暗闇に向かってボールを投げているようなものだ」と書いた。写真集もそうだが、今やっていることに僕自身不安を感じることも多い。そんな中、今日うれしいメールをもらった。メールにはカリフォルニアで写真を学んでいるが、なれない言葉と人間関係に疲れていたとあった。
「このところたくさんのストレスと不安から精神的にとても不安定になっており人との接触がこわくなってちょっと人間不信っぽくなっていて、外の世界にも扉を閉ざし気味でした。でも渡部さんの写真を見た時に一瞬にして心の中がポワーンと温かくなって安心し涙がでてきました。なぜそこで涙がでたのかは自分でもわかりませんが、、、」
写真を見てもらうことで自分が誰かの役に立てることがわかった。メールありがとうございました。