「写真の物質性」

朝 粗食

夜 温野菜、マッシュポテト、豆キーマカレー、

松本地域の17歳を撮影したインタビュー動画の編集をどうやったらいいか悩んでしまった。写真と違って動画編集の引き出しがほとんどない。そこで動画のプロの北桂樹さんにアドバイスをもらうことにした。北さんと言えば 2B Channnelでの「拡張する写真」が1時間動画にも関わらず、 2万回以上も再生されている。「エモい写真」と並んでこの回は 2B Channnelでの柱的な存在になっている。北さんはこんな時期だけど、わざわざ家まで来てくれて僕が仮編集した動画を見ながら、編集のヒントをたくさんしてくれた。おかげで全体像がはっきりした。後は地道な作業を繰り返すだけ。

せっかく来ていただいたので、収録させてもらうことにした。今回はいま大学で博士課程を専攻している北さんに「写真の物質性」について教えてもらった。この「写真の物質性」という言葉は、ここ数年のパワーワード的なもので、現象は知っているけど、なぜ物質化が起きているかはわからないでいた。それを今回「スネ夫の髪型問題」を引き合いに、ものすごくわかりやすく教えてもらった。その中で大事だったのが、これまでの写真は三次元を二次元にするものだったけど、現在のテクノロジーを使えば、二次元を三次元にすることもできる。それが「写真の物質性」ということに深く結び付いていた。これは面白い。そして同時に現代写真のツボだと思う。これを知っていたら現代写真の見え方が変わる。90分も話を聞いたけど、どこも重要に思えてカットするところが見つからない。 2本立てでもいいかな。近日公開、お楽しみに。

<2005年1月26日の日記から>

ロシア出身の指揮者でありピアニストでもあるウラディーミル・アシュケナージ氏の撮影。何度聞いても名前が覚えられない。現在NHK交響楽団の音楽監督を務めている。例によってホテルのスィートでの撮影なのだが、今回は部屋内に撮影に向いている場所がない。ベッドルームは使えないし、リビングは狭いしで場所探しに難儀した。結局白壁を使うことにする。「狭いねえ」と編集者に言ったら「7万5千円もしたんですよ」と言われてしまった。海外で7万5千円も出せばお屋敷が借りられそうだ。場所選びに苦労したがアシュケナージ氏の顔の彫が深く、フォトジェニックだったので撮っていて手ごたえがあった。翌日プリントしてみると白壁バックは正解だった。数枚のプリントでOKが出せた。少ない枚数で終わるときほど撮影がうまくいった証だ。シチリアに住んでいる元アシスタントYがやってきた。明後日またイタリアへ帰るという。向こうで知り合いができ、カメラマンをやっている。サッカーを撮る仕事のためにEOS1-Dの中古を買っていくと言う。日本からの雑誌連載が決まったし、もう1年住めるようだ。3月のシチリアはいい季節だと言うから行く約束をする。
夜、林家こぶ平の舞台撮影で国立劇場小劇場へ。落語協会の人に挨拶をしたら「旅するカメラ」を読んでます」と言われて驚いた。仕事先で言われたのは始めてだ。仕事なのに落語をたっぷり楽しんでしまった。気がつくと2時間半があっという間に過ぎていた。アシTは始めての落語だったようだが面白がっていた。そういえば落語家の友人がいたのを思い出した。このところずっと会ってないけど元気かな。