感情は体調とも密接な関係があるんじゃないかと友人からメールがあった。
彼は風邪のひき始めとか、わずかに体調が変化するときに怒りっぽくなると気がついたそうだ。確かに自分も思い当たることがある。
ムカッとすると体調が悪くなると先日書いたが、逆もまたそうなのだ。考えてみれば体調が悪くなると悪感情を起こしやすくなるのは当然のことだろう。
自分のことで振り返ってみると、訳もなく気持ちが大きく沈んだ時は例外なく怪我をする。何度も繰り返すものだから、そういう気持ちになった時は身構えるようになってしまった。
でも起きる。昨年も落ち込んだときに、気をつけて、気をつけて行動していたのに関わらず自転車で派手に転んで肋骨を強打して路上で悶絶した。しばらくは動くのが辛かった。
ところが怪我をするとそこにだけ意識が集中するからそれまで巣食っていた感情は霧散していく。まるで脳が怪我をしろと命令しているようなのだ。偶然かもしれないが因果関係があるようにも感じられる。
感情が体に影響を及ぼすことから、体を触っただけでその人の性格が分かる整体師がいたりする。1985年、御茶ノ水駅の近くに「赤ひげ」という整体院があった。そこの院長はまだ誰も語っていなかった「気」ということを本にして発表していた。僕は新聞社にいて取材で彼のことを知った。今よりも西洋医学への偏重が強かった時代に東洋医学をすすめていたことで取り上げたのだった。
気が元に戻るから「元気」という近頃当たり前に使われているフレーズは赤ひげ院長が流行らせたものだと思う。
彼は体のコリのある場所を触ると、その時の感情をピタリと言い当てることができた。若かった当時はこの人は超能力者かと思っていたが、次第に体調と感情の関係性に気がつくようになった。
大きな整体院を経営していて繁盛していたのに、急に縮小して一人で診るようになると、間もなく亡くなってしまった。最後には痩せて仙人のような風貌となり、近未来のことまで言うようになった。それは具体的で、それに限りなく近いことが本当におきたのだった。未来予測などその手のことはまったく信じていなかったが、その時ばかりは驚いた。
インド人を夫に持つ女性が友人にいるのだが、彼は菜食主義者で人当たりや顔つきが、どこか映画や写真で見たマハトマ・ガンジーに似ている。徹底した菜食主義者で、趣味は瞑想だと言っていた。穏やかで聡明であることがすぐに分かる。ちなみに彼女は中国人で雑食。性格はアグレッシブを絵に書いたような女性だ。
肉を食べない、飽食をしないということは、感情に大きな影響を与えていることだろうことは容易に想像できる。
菜食主義までとはいかなくとも腸に負担をかけない食事が感情をコントロールするのにいいと言うのは近頃よく耳にする。実際ちょっとお腹がすいたくらいの状態で寝ると翌日はとても気持ちよく目覚めることができるし、当然その反対もある。
分かってはいるのに食事のコントロールほど難しいものはない。ついつい脂質と糖質を余分にとってしまう。ならいっそ決まりごととして菜食しかしないと決める方がコントロールするより楽なんだろうな。
野菜と豆が中心の食事というのは2500年前からインドで聖職者が行なっていた。西洋の宗教では羊が生贄とされているように肉食が許されている。
もし各国の首脳が全員菜食主義者になったら世の中はどう変わるんだろう?もっともすぐに肉食者がその座をうばいにくるだろうが。